「えのぐワンマンLIVE2020」第二章レポート 現場だからこそ実感した4人の熱意と成長

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「世界一のVRアイドル」を目標に掲げ、昨年も数多くのライブやフェスに出演、待望の1stアルバムもリリースするなど、さらなる躍進を遂げた4人組VRアイドル・えのぐ。12月29日には、2020年3回目のワンマンライブとなる「えのぐワンマンLIVE2020 -だからいま、ここにいる。-」をヒューリックホール東京で開催。ニコニコ生放送での有料同時配信も行った。

昼公演を「第一章」、夜公演を「第二章」と題した二部構成で、「えのぐ結成からの約3年間の軌跡を追憶するストーリーライブ」として実施したこのライブ。第一章では、後にえのぐを結成する鈴木あんずさん、白藤環さん、日向奈央さん、夏目ハルさん、栗原桜子さんが岩本町芸能社に入所した2017年の春から、2019年夏の「TOKYO IDOL FESRIVAL 2019」出場、「栞」の発表までを描いた。その第一章に続いて、本記事では2020年1月から現在までの歩みを追った第二章をレポートする。

「えのぐワンマンLIVE2020」第一章レポート ルーツを振り返る怒涛のオリジナル曲熱唱に感動


ライブパートは二周年記念の思い出の曲で開幕

「映像」「インタビュー」「パフォーマンス」を組み合わせ、えのぐの歴史を追憶していくこの公演。第二章は、2019年に実施した全国握手会ツアー「えのぐに逢いに恋!!」の思い出を振り返る映像とインタビューから始まった。

夏目さんと栗原さんの活動休止により、鈴木さん、白藤さん、日向さんの3人で行っていた「逢い恋」だったが、2019年9月には活動を再開した夏目さんが合流。翌月にはライブ復帰も果たす。しかし、2周年記念ライブ直前の2020年1月、休養中の栗原さんのアイドル活動引退が正式に発表された。

夏目「『enogu 2nd Anniversary Live -Colors-』は、5人のえのぐに『さよなら』を告げ、4人のえのぐとして最初の一歩を踏み出すための決意を込めたライブでした」

夏目さんのナレーションとともに映像が終わると、ステージにえのぐの4人が登場し、ライブパートが開幕。1曲目の「Colors」と2曲目の「スタートライン」は、2周年記念ライブで初披露された曲でもあり、当時のメンバーやファンの思いを想像すると複雑な気持ちにもなったものの、歌詞と曲はポジティブで、4人のパフォーマンスもエネルギッシュだ。

2曲とも落ちサビの印象的な曲だが、特に安定感と繊細さという相反する魅力を兼ね備えた鈴木さんのボーカルが印象に残る。落ちサビを4人が歌い繋ぐ「Colors」ではその先頭を切り、「スタートライン」では一人で熱唱。一見、内気そうだが、発する言葉に込められた思いは、誰よりも熱い鈴木さんの印象にそのまま重なる。

2回目のドキュメンタリーパートでは、新型コロナによって活動自粛が続く中でのメンバーの心境、そして、新型コロナウィルスの感染拡大防止策を徹底した上で、8月に開催された2DAYS公演「えのぐワンマンLIVE2020 -次章-」に向けての思いが語られた。

「こんな時だからこそライブで世の中を少しでも明るくしたい。同じ思いを持った多くの方々が集結し、えのぐの『次章』は幕を明けました」

白藤さんのナレーションに続いてステージに登場した4人は中央で円になり、「いくぞー!えのぐー! わんつーさんはい!」の掛け声で始まるハイテンション曲「e☆Jump!→Dream!!」を披露した。元気な歌声とコミカルなダンスと満面の笑顔に、こちらも自然と笑顔になっていく。

また、鈴木さんの「みんな! この歌ももう終わりだけど何かやり残したことはない~?」という問いかけから始まる白藤さんの見せ場「たまきの歌」パートでは、日向さんと夏目さんがまさかの乱入。決めセリフの「たまきだよー!」にも「ひなおだよー!」「ハルだよー!」と重ねていくライブならではのアレンジでも驚きと笑いを生んだ。

続く「ギザギザコミュニケーション」はクラブミュージック調のイントロで始まりながら、曲と歌詞の変化の振り幅が大きく、まさにギザギザな印象の楽曲。4人のパフォーマンスからも、可愛さとカッコ良さの両面が伝わってくる。特に、冒頭のクールなセリフではボーイッシュな一面を見せた日向さんは、2番の「ライブが好き」というアドリブは語尾にハートマークが付いてそうなほど可愛い。さらに、落ちサビでは思いを込めてソロで歌い上げるなど幅広い表現力を発揮。動きが大きくキレのあるダンスとともに、公言している「歌とダンスでえのぐを引っ張る」という目標を実践していた。

3曲連続パフォーマンスの最後の曲は、「えのぐワンマンLIVE2020 -次章-」で初披露した「Original Color Girls!!!!」。前曲の「ギザギザコミュニケーション」とはガラリと変わり明るく可愛いポップスで、寸劇風のコミカルな振りも含めて4人のパフォーマンスも楽しさ全開。イントロからスロットルを緩めることなく、あっと言う間に終わってしまった。


「Welcome to Live」でライブ後半がスタート

3回目のドキュメンタリーパートでは、「次章」を振り返っての4人の思いが語られ、その後、「Life Like a Live!」(えるすりー)「バーチャルTIF」と大型フェスに立て続けに出演し、9月には全20曲収録の1stアルバム「真っ白な夢の世界」がリリースされたことを紹介。

鈴木「アイドルにならなければ、観ることができなかった景色。出会うことのなかった仲間。そして、応援してくださる方々。4年前、アイドルになりたいと思ったから、私たちはいま、ここにいます」

公演のタイトルへと繋がるナレーションでドキュメンタリーパートは締めくくられ、過去のえのぐの追憶は終幕。6曲目「Welcome to Live」の「始まるよ ワクワクな未来 GO♪」という4人の歌声とともにライブパート後半が幕を明けた。ある意味、ここからが真の「だからいま、ここにいる。」なのかもしれない。どんな状況でも揺るがない未来への期待に満ちた曲で、4人のパフォーマンスもどんどん熱を帯びていく。ラスサビで大いに盛り上げた後のアウトロで白藤さんと日向さんはステージ袖に退場。すぐに鈴木さんと夏目さんのデュエット曲「午前0時のプリンセス」のイントロが始まった。

えのぐのオリジナル曲の中でも特にキュートな楽曲で、どんな声と重なっても存在感を損なわないオンリーワンの甘く優しい声を持った夏目さんと、熱い歌声から可愛い歌声まで表現の幅の広い鈴木さんの魅力が全開。振り付けも愛らしく、間奏では投げキッスのサービス付きだ。

可愛い担当の2人と入れ替わりで登場した白藤さんと日向さんが歌うのは、「無敵のヒーロー」。イントロとともに登場した瞬間から元気いっぱいの二人は、まるで競い合うかのような力強いパフォーマンス。間奏では拳を振り上げながら、「みんな、もっと盛り上がれるでしょー!」「スティックバルーン持ってる人はいっぱい叩いてー!」とあおる。観客はそれに応えて、声出し禁止というルールを守りながらも会場の空気をさらに熱くさせていった。

二人が「ありがとうございましたー」と手を降る中、鈴木さんと夏目さんも合流。すぐに「It’s 笑 time!」のイントロが流れ出す。えのぐの楽曲の中では珍しいファンキーな曲で、白藤さんと日向さんは力強いラップも披露。ダンスも、間奏での膝を開閉させるコミカルな動きや、落ちサビでの日向さんと夏目さんのハイキックなど他の曲にはない特徴的な動きが多い。CD音源を聴いた時からライブ映えしそうな曲という印象はあったが、まさにその想像通り。なにより、ステージに立つ4人のテンションもどんどん上がっていくのが分かって楽しい。

9曲目を歌い終えた後、大きな拍手の中、ようやく自己紹介の時間。そして、なぜ今回のライブが、「映像」「インタビュー」「パフォーマンス」によるストーリーライブという形式で開催されたのかを第一章と同じく鈴木さんが説明した。今回も、言葉を選ぶ時に右手をグルグル回す姿が可愛い。

白藤さんが残り2曲と告げて、ライブが再開。まずは、1stアルバム「真っ白な夢の世界」の表題曲「Dreamin’World」がライブ初披露された。声優アイドルユニット「i☆Ris」若井友希さん(ソロでは「友希」名義)が作詞と作曲を担当しており、同じアイドルの先輩だからこそ書けたであろう歌詞と、爽やかで清涼感ある曲が印象的。第二章では熱い曲も多かった分、ますます耳に残る曲だった。

ラストは、第一章で初披露されたえのぐ初の冬曲「Present for you!」。白藤さんの演じる女の子と、鈴木さんの演じるお母さんのお芝居パートを含め全編が楽しくかわいく、ほっこり温かい気持ちになる曲だ。ラスサビでは、4人の「Present for you!」という声に合わせて、客席に向かって銀テープが発射。ラストを一気に盛り上げて、全11曲の本編を終えた。

ライブの内容とは関係のない話だが、アンコールの拍手が起きる中、スクリーンに「銀テープのお持ち帰りは感染症対策のため、ご遠慮いただいております」という注意書きが表示され、安全なリアルライブ開催のために、ここまで対策を徹底しているのかと驚かされた。


感動のフィナーレの後、次のワンマンも発表!

拍手に応えてステージに戻ってきた4人は、客席に大きく手を振りながらお礼を言った後、1人ずつ順番に今後の目標を語っていく。

夏目「ハルは、今、挑戦していることがありまして。それは……まだ内緒~(笑)。でも、これが上手くてきるようになったら、えのぐの楽曲とか、ライブにも活かせる思うから、ハルの新しい武器にしたいと思って、今、特訓中です! ハルはえのぐのライブが本当に大好きで。えのぐのライブをもっともっとたくさんの人に観てもらいたいんですよ。『えのぐのライブ、すっごい楽しい!』ってみんなに思ってもらえるように、ハル自身できることを増やして、表現の幅とかを広げていけたらいいなと思ってます。だから、2021年はえのぐもハルもどんどん進化するので、楽しみに待っていてくれると嬉しいです!」

日向「えのぐのライブはすっごい楽しいし、さっき第一章が終わった後にエゴサをしてたとも、そう言ってくれてる人がめっちゃいっぱいいたんですよ。それは本当に嬉しいんだけど、でも『えのぐ、ダンスすごい!』とか『歌が上手い』とか言ってくれている人はあんまりいないなって、ちょっと感じていて。それは私たちの実力がそれくらいだからかなって思うんですよ。だから、実力をパワーアップさせるのはもちろん、苦手なジャンルにもいっぱい手を出して、いろいろな歌とダンスができるようになりたいなと思ってます。歌もダンスもいっぱい練習して、一番になります! 私たちは『世界一のVRアイドル』を目指しているのだから、いろんな意味で一番じゃないといけませんよね? 2021年は、えのぐのライブを観てくれた人が、パフォーマンスすごすぎて、開いた口がふさがらない状態にすることが目標です。顎が外れるくらいに驚かせたい!(笑)。そんなライブパフォーマンスができるように2021年も日々精進していきますので、えのぐと日向奈央をよろしくお願いします!」

白藤「たまきもやっぱりライブのことなんですけれど。観た人の感情を動かすライブがしたいなって思っています。自分がすごく心打たれるライブを観た時って、急に何かをやりたくなったり、行動的になりませんか? それって、そのライブをした人から感情のエネルギーをもらった状態なのかなって思ってて。環は、『ちょっと落ち込んでたけれど、えのぐのライブを観て、元気が出た』とか言ってもらえることが本当に嬉しくて。そういうエネルギーにあふれたグループになりたいなって思っています! そして、個人的には、ずっと言ってるんですけど、トーク力を鍛えていきたい。2020年、ラジオ日本さんで、『えのぐ白藤環の推してまいる!』を始めさせていただいて、ラジオをやるという夢がかなったので。2021年は、地上波のテレビにも出演したい! そういうチャンスが巡ってきた時、爪痕を残せるようにトーク力を磨いていきたいと思います!」

鈴木「まず、あんず個人としては、もっと歌が上手くなりたいなと思っていて。作家さんが歌詞に込めた思いを聴いて下さるみんなに届けられるような表現力はもちろん、歌い方の技術とかでまだできないこともいっぱいあるので、そういう技術を身につけて人の心に届くような歌を歌いたいなと思います。そして、えのぐとしては、やっぱり新しいことにどんどん挑戦していきたいと思っていて。今年は特にたくさんライブもさせていただいたし、『えるすりー』みたいなバーチャルタレントさんのフェスに出演させていただいたりして。そういう活動を通して、私たちのことを知ってもらえたなと思うし、私たち自身も成長できたなって思ってますが、『ライブは、えのぐが一番!」とみんなに思ってもらえるように、もっともっと実力をつけたいし、まだ誰もやったことのないようなライブにも挑戦したい! そうして、私たちを応援してくださる方が増えて欲しいし、近い将来、もっともっと大きな会場でライブがしたいと思います!」

白藤「えのぐは2021年、もっともっと成長して、みなさんに、これまで以上の元気や勇気や感動をお届けします! 改めて、これからも応援よろしくお願いします!」

鈴木・日向・夏目「お願いします!」

白藤「ということで、『えのぐワンマンLIVE2020 -だからいま、ここにいる。-』、本当にラストスパートです!」

ラストスパート最初の曲は、「常夏パーティータイム」のライブアレンジバージョン。タオル曲らしいノリとテンポの良さはそのままに、主張強めのパーカッションなども加わってトロピカルムードが増量。4人のパフォーマンスも、さらにテンション重視でフリーダムになっていた。ラスト前には客席とコールアンドレスポンス。ファンは、4人の名前のコールに合わせて、ペンライトの色を変えていく。

アンコール2曲目は、「2019年のえのぐを象徴する曲」である「栞」のライブアレンジバージョン。イントロが流れた時、一瞬、何の曲か分からなかったほどオケの印象ががらりと変わり、4人のボーカルがよりダイレクトに届いてくる。サビの疾走感もさらに増していた。

鈴木「2020年もいろいろなことがあったけど、応援してくれるみんながいたから、もっともっと頑張れた! 絶対、世界一のVRアイドルになるぞって前を向いて立ち向かってきました!」

白藤「この気持ちが報われるまで、努力することを諦めずに、私たちえのぐは走り続けます! 来年もえのぐに」

えのぐ「ついてこーい!」

ラストは「えのぐの原点」である初オリジナル曲「えのぐ」のライブアレンジバージョンだ。サビに向けての盛り上がり感がさらに増しており、4人のパフォーマンスも2020年のフィナーレを飾るのに相応しい熱を帯びている。1番と2番の間奏にはセリフパートも追加。

夏目「アイドルになって、いろんなことがありました」

日向「楽しい事も辛い事も全部、私たちと皆さんの歴史です」

白藤「世界一のVRアイドルになったとき」

鈴木「過去を振り返って、笑顔でこう言いましょう!」

えのぐ「だからいま、ここにいる!」

胸の内で魂を燃やすような静かで熱いラスサビを歌い終えると、「今年も応援ありがとうございましたー!」と満面の笑顔を見せる4人。最後はマイクを通さず「来年も応援、よろしくお願いしまーす」と絶叫し、感謝の言葉を告げながらステージを下りた。

そして、4人のいなくなったスクリーンでは、初解禁の情報が次々と発表。その中でも特に大きな拍手が起きたのは、2021年3月「えのぐ結成3周年 記念ライブ開催決定!! in 日本橋三井ホール」の文字が映し出された時だ。わずか3か月後という短い期間で、えのぐはどのような進化や成長を遂げているのか? ライブの度に「最高」を更新していると評判の4人だけに、2021年最初のワンマンに対する期待は、すでに高まっている。

筆者としては、今回初めて現地で体験したえのぐのワンマンライブ。このような情勢下で強く主張するべきではないかもしれないが、やはり、ステージ上のパフォーマンスをすべて観て、すべて感じることのできる現場にいられた幸せを強く感じるライブだった。3月の3周年記念ワンマンが安全に開催され、自分を含むより多くの人々が安心して現場に集まれるように、これからの日々も自分にできる予防対策を徹底していきたい。

(TEXT by Daisuke Marumoto)

●セットリスト
M1. Colors
M2. スタートライン
M3. e☆Jump!→Dream!!
M4. ギザギザコミュニケーション
M5. Original Color Girls!!!!
M6. Welcome to Live
M7. 午前0時のプリンセス
M8. 無敵のヒーロー
M9. it’s 笑 time!
M10. Dreamin’World
M11. Present for you!
EC1. 常夏パーティータイム
EC2. 栞
EC3. えのぐ

●配信情報
ニコニコ生法送にて有料アーカイブ配信中。
・配信チケット販売期間 2020年11月30日10時00分~2021年1月27日23時59分
*2021年1月28日23時59分までタイムシフト視聴が可能。
・第一章・第二章チケット料金 3800ニコニコポイント(税込 3800円、税込)
・第一章・第二章通しチケット料金 7000ニコニコポイント(税込 7000円、税込)

●関連リンク
配信チケット販売ページ
岩本町芸能事社HP
えのぐ(Twitter)