hololive IDOL PROJECT 1st Live.「Bloom,」徹底レポート 新たな門出に花が咲く

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カバーは17日、VTuberグループ「ホロライブ」内の新プロジェクト「hololive IDOL PROJECT」で初となるライブ「Bloom,」を東京ガーデンシアターにて開催し、オンライン配信した。同プロジェクトは、昨年12月21、22日に開催した全体フェス「hololive 2nd fes. Beyond the Stage Supported By Bushiroad」にて発表(関連記事)。「ホロライブ」内の「もっとみんなでアイドルがしたい」タレント22名により組成したものだ。

ライブ自体は、「青春」というフレーズがぴったり当てはまる素晴らしいできだった。

タレント初のオリジナル曲や、誕生日記念の発表曲、ファンから贈られた曲など、それぞれの楽曲に様々なストーリーがあった。ライブパフォーマンスはこれまで以上に洗練されており、アイドルとしての成長を感じさせる。MCで見せた、普段の配信のようなゆるい会話やハイテンションな姿も印象的だった。

あっという間に過ぎた2時間30分は「hololive IDOL PROJECT」初めてのステージにふさわしいライブと言えた。筆者が印象に残った楽曲を中心にレポートしていこう。


全曲オリジナル、これまでとは異なる新たなライブへ

「ホロライブ」では、今まで豊洲PITのノンストップストーリー、昨年12月の「Beyond the Stage」2度の全体フェスをはじめ、「湊あくあ アニバーサリーライブ 2020 『あくあ色すーぱー☆どり~む♪』」や、「Congratulations!! FUBUKI BIRTHDAY PARTY.2019」といったソロライブなど、数々のイベントを実施してきた。

今回の「Bloom,」はそうした「ホロライブ」所属メンバー内の中でも、特に「もっとみんなでアイドルがしたい」という意欲を持ったタレントたちが集まり、同グループにおいて初めて全曲オリジナル楽曲で開催したという点で、今までとは異なる意味を持っている。内容もタレントの意思に寄り添う形で、そもそものライブ出演も自由で、セットリストについても歌いたい曲や曲数をアンケートして決めたという。

ライブの最後には「ホロライブ」の次期プロジェクト「ホロライブ・オルタナティブ」を発表(関連記事)。

今後「ホロライブ」は普段の配信をベースに、イベント出演などのタレント活動、アイドルプロジェクト、さらに世界観を構築していく「ホロライブ・オルタナティブ」と主に4つの軸を持って展開することになる。その嚆矢が今回のライブだ。


大盛り上がりの「ぺこみこ大戦争」初パフォーマンス

本編のセットリストは、「Bloom,」開催発表と同時に始まった9週間連続リリースのオリジナル曲を中心に、過去のオリジナル曲、そして本ライブ初お披露目となる新曲4曲を合わせた全22曲。別会場からの中継となった「BLUE CLAPPER」を合わせると23曲だ。もちろん今回披露していない楽曲や、星街すいせいさんなどをはじめ出演していないメンバーによるオリジナル曲もあるわけなので、これまでに本当に多くの楽曲をリリースしてきたのだなと改めて驚く。

中でも印象的な曲を振り返っていきたい。まずは、5曲目の「ぺこみこ大戦争」。3曲目に、兎田ぺこらさんが1月の誕生日配信で初披露した自身初のオリジナル曲「ぺこらんだむぶれいん!」、4曲目に、さくらみこさんが「さくら色ハイテンション!」を熱唱して、満を持しての登場となった。昨年12月の「こえていくホロライブ」では歌われなかったため、今回がライブ初のパフォーマンスとなる。

筆者は、ニコニコ生放送にて視聴していたのだが、「さくら色ハイテンション」では、画面を覆いつくすほどの桜弾幕が流れていた。ここまで統一された弾幕が画面を覆いつくしたのはこの楽曲だけ。みこさんのファンである「35P」の底力を感じさせられた。


「まつりす息してないんじゃ?」ファンから贈る同人ソングがライブでお返し

7曲目の「君と眺める夏の花」。まさに名前の通り「夏祭り」を舞台にした力強い歌声が見どころの楽曲だ。歌唱中、まつりさんは「まつりは、この曲をこのステージで歌えるのが本当にうれしいです!まつりす大好きだぞ!」と叫ぶ。

実はこの楽曲は、まつりさんがデビューしてまだ1ヵ月ほどのときに「まつりす」(彼女のファンネーム)の1人であるコンポーザーのメリッサさんが中心になって「VTuberイメージソング」として公開した同人ソングだ。昨年6月のまつりさん2周年記念配信にて、それまではGUMIによる歌唱だったものを、改めてオリジナル曲として公開。公式公認となった経緯がある。

ファンがまつりさんに贈った楽曲を、今度は節目のライブでまつりさんからファンにお返ししてくれる。この展開に、のちのMCで白上フブキさんとアキ・ローゼンタールさんが「泣きそうになっちゃう」「まつりすもしかして息してないんじゃないか?」と感動を伝えていた。


これまでとは違うアイドルな顔を見せたアキロゼ新曲

アキ・ローゼンタール(アキロゼ)さんは、ライブ当日の17日が誕生日。MCでは、白上フブキさんからバラの花束を贈る場面も。その花束には緑のリボンやりんごがあしらわれるなど、細部がアキロゼさんの制服を想起させるつくりだった。

MC後の9曲目に歌ったのは、初公開となる彼女の新曲「ヒロインオーディション」。パフォーマンスを前に、「誰しも好きな人に振り向いてもらいたいなとか、いろんな気持ちがあると思う。VTuberならリスナーさんにもっと見てもらいたいなっていう気持ちだったり、そうした想いを詰め込んだ曲です」と紹介していた。

アキロゼさんといえば、デビュー直後に発表したオリジナル曲「シャルイース」が思い浮かぶ。民族調の曲調に、異世界の言語、古典的なベリーダンスが特徴のファンタジー楽曲だ。しかし、今回披露した新曲「ヒロインオーディション」はそのイメージを刷新。ザ・アイドルソングといった感じの可愛らしい楽曲。それでいて、「Suspect」など他楽曲披露のときにも感じたが、ダンスに関しては細かい所作からその素養が見て取れる。


別会場「ホロアリーナ」から中継 はやくも5期生がライブに

ここでカメラが切り替わり、3Dスタジオ「ホロアリーナ」へ移動し、まだアイドル衣装がない5期生3人が登場。桃鈴ねねさんに関しては、今回未出演となった。5期生は昨年8月にデビューとまだ半年程度しかたっていない。それでいて3人が3D化を果たし、9週連続オリジナル曲リリースの一環として4人での楽曲「BLUE CLAPPER」をリリースしている。

今回のライブのためにたくさん練習をしてきたという3人。余談だが尾丸ポルカさんは、1月14日に「ENDLESS BLUE CLAPPER #気圧敗北部」と題した耐久配信を実施。1人で30回連続「BLUE CLAPPER」を歌っていた。

この楽曲は、ほんとうにライブ映えする。両手を上げるよう指示をする3人。そして「Clap your hands」の歌詞とともに、覚えやすいキャッチーな振り付けで、クラップを煽る。曲が始まったら、自然と手を叩いてしまった視聴者も多いだろう。もしライブ会場が一体となって手を叩く光景を体感できたら……、と思うと早くリアルイベントができる世の中になってほしいと切に願う。

そして、ここからは本ライブ一番のハイライト。友人Aさん監修のもと、KijibatoさんがDJMIXを担当した11曲目から13曲目、今宵はHalloween Night!→Suspect→アザミナの繋ぎだ。きれいに連続して楽曲がつながっていき、「次は何が来るんだ」というワクワク感と、音の気持ちよさ。文字通り鳥肌が立った。


MCとライブパフォーマンスのギャップに鳥肌

MCとライブパフォーマンスで最もギャップがあったのは、常闇トワさんだ。大空スバルさんと登場した際には、いつも以上のハイテンションで「ちわっす!ホロライブ2期生大空スバルっす!」「こんやっぴーホロライブ4期生常闇トワ様です!」「2人合わせて、イカロスジェットコースターです!」と芸人のような挨拶。

終始ハイテンションで、大空スバルさんを振り回す。次にトワさんの初公開となるオリジナル曲を披露するということで、大空スバルさんが詳細をたずねると一言「エモい曲です」とイケボで答える。ふざけて言っているのかと思ってしまう、かなりおちゃらけたテンションだった。

それに打って変わって、ライブパフォーマンスは、そのまま素直に「エモい曲」だった。14曲目「Palette」は、トワさんのかっこいい低音の歌声を活かし、大規模なスケールを感じさせる荘厳な雰囲気だった。コメント欄では「劇場版の主題歌」「劇場版のエンディングテーマ」とのコメントが並んだが、まさにその通り。個人的には、LiSAさんの「Unlasting」に近いような印象を受けた。

トワさんは特に顕著だったが、全体を通して、今回のライブはライブパートでは「アイドルプロジェクト」らしいクオリティーの高いパフォーマンスを見せてくれた。一方でMCパートは、普段の配信のような楽しいゆるい雰囲気と、メリハリがついていた。


語り切れない見どころも盛りだくさん メンバーの個性が見えるダンス

他にも、「For The Win」「#あくあ色ぱれっと」と2曲もソロ曲を披露した湊あくあさんや、ソロは歌わなかったものの、可愛らしい「Candy-Go-Round」、かっこいい「至上主義アドトラック」「STARDUST SONG」など幅広い顔を見せた不知火フレアさん。

和ロックな「百花繚乱花吹雪」を白上フブキさん、大神ミオさんと披露した百鬼あやめさんも見逃せない。全体曲でも、例えば大空スバルさんは動きがダイナミックだったりとメンバーごとに個性が出ており、何度でも見返したくなる。


9連続オリジナル楽曲リリース最後の楽曲は? これまでに込めた思い

21曲目、アンコール前最後の曲には、「あすいろClearSky」。こちらも今回初発表となった、9週連続オリジナル楽曲リリースの9週目となる楽曲だ。「でいり〜だいあり〜!」など今回披露した他楽曲でも度々リフレインされた印象的なワード「青春」をテーマにしている。

MCにおいて、あくあさんは「『あすいろClearSky』は私の中でも思い入れが深くて、歌詞にもあるように、私は今この瞬間、ホロライブで青春してるっていう気持ちが歌詞で表現されてて」と、白銀ノエルさんは「こんなエモいライブに出れてとても幸せで、青春、ほんとにしてるなって。多分コメントしてるみんなも青春してると思います。みんな青春してるかー?」と呼びかけた。

豊洲PITで行った1st fes「ノンストップストーリー」からまだ1年強。しかし、この1年で「ホロライブEnglish」が登場し、そのメンバーであるサメちゃんことGawr Guraさんが昨年10月に100万人、それを皮切りにたったのこの4ヵ月で10人がチャンネル登録者数100万人突破という怒涛の変化が起きた(関連記事)。

「hololive IDOL PROJECT」のさらなる展開、「ホロライブ・オルタナティブ」、さらにはメタバース領域の開拓など、2021年はより多角的な展開を見せる「ホロライブ」。今後さらにどのような展開を見せてくれるのか非常に楽しみだ。

そして、アンコール。本ライブ最後の曲を飾るのは、おなじみの公式曲第1弾「Shiny Smily Story」。3組に分かれて5期生を除く出演者全員が代わる代わる登場する演出。大団円にて幕を閉じた。

本ライブのアーカイブは、SPWNおよびニコニコ公式有料生放送にて3月17日まで視聴可能。そのときまでチケットを新たに購入できる。チケットは各種6000円(税込)。まだ見れていない人は、ぜひこの「hololive IDOL PROJECT」新たな門出を目に焼き付けてほしい。

●セットリスト
M1. Dreaming Days
M2. Candy-Go-Round
M3. さくら色ハイテンション!
M4. ぺこらんだむぶれいん!
M5. ぺこみこ大戦争
M6. でいり〜だいあり〜!
M7. 君と眺める夏の花
M8. For The Win
M9. ヒロインオーディション
M10. BLUE CLIPPER
M11. 今宵はHalloween Night!
M12. Suspect
M13. アザミナ
M14. Palette
M15. 至上主義アドトラック
M16. STARDUST SONG
M17. Ahoy!! 我ら宝鐘海賊団☆
M18. 百花繚乱花吹雪
M19. #あくあ色ぱれっと
M20. キラメキライダー☆
M21. あすいろClearSky
EC.1. 夢見る空へ
EC.2. Shiny Smily Story

*お詫びと訂正:初出時、「ぺこみこ大戦争」の曲順に関しまして誤植がございました。訂正してお詫び申し上げます(2021年2月20日10時47分)

(TEXT by Shuto Uchimura

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