オリジナルソング連発、シロちゃんワールド全開の「為」企画満載!「電脳少女シロ生誕祭2019」レポート

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2019年8月24日、電脳少女シロ生誕祭が開催された。昨年はニコファーレで開催した企画だが、今年は彼女自身もレギュラーとして出演するテレビ朝日の番組「超人女子戦士 ガリベンガーV」のスペシャルイベントと共に、豊洲PITにて実施した。

後輩であるアイドル部たちも活躍し、自身もテレビ出演などさらに活躍の幅が広がった1年を経ての生誕祭。電脳少女シロちゃんの勇姿を見守るべく参加した様子をレポートする。

シロちゃん語録満載のオリジナルソング

筆者が会場に到着したのは18時ごろ。その前に行われていた『超人女子戦士 ガリベンガーV 激突!スーパーヒロイン知能大戦』には参加できなかったのだが、そちらの終了が押しており、少し待つこととなった。会場の外にはファンからのフラスタが並ぶ。よく見ると、ミライアカリちゃんからのフラスタも混じっていた。黒パン同盟は健在である。

予定より少し遅れて開場。ロビーでは、ガリベンガーVのイベントから連続している関係で、番組関連の展示がたくさん。同番組のメインMCである小峠英二さんやADのブイ子さんの等身大パネル、登場した小物、番組中でも紹介されているファンアートを展示した「ガリベンガー美術館」などが目についた。特にガリベンガー美術館では、重度の神楽すずファンであり.LIVEファンでもある漫画家のツナミノユウさんによる小峠さんのイラストが印象的だった。

開場内に入ると、客入れ中はシロちゃんの笑い声がフィーチャーされた謎の音楽がエンドレスで流れ続けていた(これがなんなのかは後に発覚)。その後、ばあちゃるくんがおなじみ「りあちゃる」状態でステージに登場して前説を繰り広げ、会場も(筆者も)ボルテージMAXの状態で生誕祭がスタートした。

この日、事前に「シロちゃんのオリジナルソングを披露」とアナウンスされていたが、筆者はお披露目はラストだろう……などと悠長に構えていた。ところが、なんといきなりオリジナルソング「叩ケ 叩ケ 手ェ叩ケ」の歌唱で幕開け。ハロウィン衣装のシロちゃんが、大量のライトとレーザーが降り注ぐ中、「ズンドコズンドコ!」「いくぜいくぜいくぜー!」「優勝した!」「しゃーらーせー」「ドン勝」などシロ語録だらけの歌を披露する姿を見て、この時点で筆者は感無量になってしまった。「おほほい!おほほい!」のパートでは、初めて聞くはずなのに、なぜかコール&レスポンスが完璧に成立した。

観客連動型による「為」全開のコーナーの数々!

オリジナルソング披露が終了し、最初期の服装で登場するシロちゃん。ここからシロちゃんの「為」ワールド全開となる。

今回、生誕祭内のコーナーはすべてシロちゃん自身が企画しているということが事前に発表されていたためこれは恐ろしいことになるだろうと身構えていたのだが、登場した企画は以下の通り。

いっしょに奏でて!頭為音頭

客入れ中の謎の曲の正体。客席から7名を選出し、音頭に合わせて某音ゲー風に演奏する企画。最初のコーナー企画がこれという時点で頭が為になる。

ギネス記録に挑戦!馬は何枚パンツを履けるのか!?

ゲストの月ノ美兎ちゃんと本間ひまわりちゃんを迎えての1つ目の企画は、ばあちゃるくんに「30秒で16枚」というパンツの早履きギネス記録に挑戦させるというもの。

抜き打ちパリピファッションチェック

パリピをこよなく憎むシロちゃんによるファッションチェック。客席から3名を選出し、アドバイス通りのコーディネートに着替えてもらう(結果、着替えさせられたコーディネートは「モナリザ」「サメに食べられた男」「シャワーブース」)。

シロが生誕祭でやりたかったけど、大人の都合や諸々の都合により実現出来なかったコーナー企画のタイトルだけを見てその内容を当てられるのか?!クイズ!!!

読んで字のごとく。「めざせ熟成肉!」「謀反マンは誰だ!ゲーム」「次のウビバはワイよ!選手権」「バーチャルYouTuber電流爆破デスマッチ」「おばあちゃんとご長寿早押しクイズ」などの企画タイトルが並び、回答者の美兎ちゃんとひまわりちゃんを困惑させる。

シロちゃんのお昼寝

シロちゃんが「着る毛布」を来てお昼寝している様子を眺める時間。おそらく転換タイムだと思うのだが、観客は喜んでサイリウムを振る。

第46回シロちゃんものまね選手権

ここからアイドル部のもこ田めめめちゃんと夜桜たまちゃんが登場。客席から3名を選出しシロちゃんのものまねで対決。どう見ても3人目がシロちゃん本人なのだが、謎の人物・為蔵さんであるという設定を崩さずやり切るシロちゃん。

アマゾンズの恩返し

アマゾンで……観客を4人ステージに上げてみんなで動物たちの鳴き声を……すみません筆者の脳ではもはや内容がまったく理解できずうまく説明できません……。ちなみにこの企画はシロちゃんの2018年1月19日の生放送配信で披露された、鶴の恩返しの朗読における仮面ライダーアマゾンズ改変バージョン「アマゾンズの恩返し」の伏線回収である。たまちゃんはこのパートについて「台本を30回読んでも理解できなかった」と語る。ちなみにこの企画、最後はオアシスにたどり着くのだが、シロちゃん自身「よく考えるとアマゾンにオアシスはない」ということには気付いていたのが最高だった。

筆者の力量不足のため、この恐ろしい企画の数々を言葉で説明し切ることができないのだが、シロちゃんがいかに天才であるかが少しでも伝わるだろうか。観客も熟練のシロ組(ファン)そろいのため、ステージに上げられたファンたちは完璧に企画をこなし、見ている側も盛り上がっていた。もっとも、アマゾンズの恩返しに至ってはさすがに困惑する人もいたようだが……。

企画のあまりの為っぷりで見落としがちだが、ポイントは多くの企画が観客連動型であること。客席のさまざまなブロックから手を上げてもらって選出し、ステージに上げ、一緒に企画を作り上げていくシロちゃんの姿を見て、筆者はバーチャルYouTuberのあり方について思いを馳せた。

バーチャルYouTuberの活動は動画や配信の他に、VRイベントのような形もあれば、リアルイベントを開催することも多い。リアルイベントについては、遠方の人が配信で見たい、という思いを抱くこともある一方で、リアルイベントならではの良さというものもある。これは難しい問題だが、筆者は配信には配信の、VRイベントにはVRイベントの、そしてリアルイベントにはリアルイベントの良さがあると考えている。例えば音響の良さや、観客同士の盛り上がり、観客からのステージへのレスポンスなどだ。シロちゃんは生誕祭を通じて、リアルにステージに観客を上げて企画を作り上げる、というリアルイベントならではの取り組みを積極的に行うことで、ファンと作り上げる空間を意識しているように感じた。

このほか、にじさんじからのゲストである美兎ちゃんやひまわりちゃんとのトークパート(3Dによる委員長とひまわりちゃんのわちゃわちゃした面白い動きがツボだった)、仲の良い人々(キズナアイちゃんらバーチャルYouTuberの皆さん、マフィア梶田さん、杉田智和さんなど)のメッセージ動画が公開されるパートも。その場で誕生日メッセージを語った美兎ちゃんが感極まったような仕草をするシーンもあり、珍しさも合間ってグッときた。

シロちゃん、誕生日おめでとう!

頭が為になるコーナー企画の数々を超えて、生誕祭も終盤。最近公開された新モデルに、おしゃれな帽子をかぶったシロちゃんが登場(このお姿、とても美しくて、筆者は雷に打たれたような衝撃を受けた)。

そこに、走ってやってきたのは。

アイドル部12人+メリーミルクちゃん!!!

筆者、動揺のあまり、写真がうまく撮れていませんがご容赦ください。カメラを持つ手が震えていたのです。

これも伏線あり。前日、YouTubeのどっとライブチャンネルにアップされた動画では、アイドル部とメリーミルクちゃんがシロちゃんの生誕祭のためにケーキを作り、途中でイベントに出演するめめめちゃんとたまちゃんが離脱、残ったメンバーは神楽すずちゃんによる神楽運送トラックでケーキを豊洲PITまで運ぶ……という一連の様子が描かれていた。

その後、アイドル部たちのTwitterでも豊洲に向かっている様子が描写され、そしてついにこの瞬間、豊洲PITに、誕生日ケーキを持って彼女たちが現れた、という流れだ(すずちゃんとトラックについては、筆者が以前書いたすずちゃんに関する記事を参照してほしい)。

これまでも.LIVEは「物語」をうっすらと敷いて日々の動画や生放送の活動とオーバーラップさせるという試みをしてきたが、今回もその一貫と言えるだろう。

かけつけた後輩の面々たちのシロちゃんへのお祝いの言葉も良かったが、個人的には最後に、ばあちゃるくんが感極まったように一言「シロちゃん、おめでとう」と言った瞬間、筆者は本当に泣きそうになってしまった。

そして、最後のパートに。ハードロック調のオリジナルソング「46」を披露するシロちゃん。なんとオリジナルソング、2曲目!(頭為音頭も含めると3曲目!)

「叩ケ 叩ケ 手ェ叩ケ」がお祭り仕様の愉快なシロちゃんを表現したものだとすれば、「46」はカッコいいシロちゃんを象徴するようなトラック。英語歌詞の部分もシロちゃんならお手のもの。ちょっと大人びた新モデルにもよく似合っていた。

道は続いていく。またあした

盛りだくさんの本編が終わり、アンコールへ。登場したシロちゃん、なんと新衣装!

そして披露されるオリジナルソング3曲目(頭為音頭を含めると4曲目)、「またあした」。

こちら、ファンであればご存じの方も多いことでしょう。昨年のシロちゃんの誕生日を祝って作られたイメージソングなのである。しかも、新衣装はこのときの動画用に描かれたイラストをベースにしたもの。トラックと衣装、それぞれファンメイドのものを公式採用した形である。

これまでもさまざまな形でファンの二次創作を公式に取り入れてきたシロちゃんと.LIVE。今回も見事なサプライズでした。いまなお動画の毎日更新を続けるシロちゃん自らが「またあした」と歌うその姿に感無量。

最後に恒例、ファンアートのスライドショーが流れて、生誕祭は無事終了した。

全3曲(頭為音頭を含めると全4曲)のトラックはそれぞれシロちゃんの多様な側面やファンとのつながりを形にしたものであり、本編もシロちゃんの為ワールド全開からエモい展開まで、まさに「電脳少女シロ」がファンと作り上げてきた多面的な世界観を濃縮したものとなった。

バーチャルYouTuberのブームが爆発してからもうすぐ2年。さまざまな困難が見聞きされるようになりつつあるバーチャル世界だが、ブーム前から一歩一歩進んできたシロちゃんは、それでも「またあした」と歌い、動画投稿を日々続けていくだろう。その道を見つめ続けたい。そう感じる生誕祭だった。

(TEXT by みね

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