ついにSAOの世界が現実に!?「ソードアート・オンライン -エクスクロニクル- Online Edition」VR版を先行体験

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ソニー・ミュージックソリューションズは11月20日~12月7日までの期間限定で、メディアミックス作品「ソードアート・オンライン」(以下、SAO)の体験型オンラインイベント「ソードアート・オンライン -エクスクロニクル- Online Edition」の国内版を開催する。

SAOは、2009年より刊行を開始した川原礫氏によるライトノベルを原作とするメディアミックス作品。VRMMORPG(仮想現実大規模多人数同時参加型オンラインRPG)の世界を舞台としており、Oculusの創業者であるPalmer Luckey氏やクラスターCEOの加藤直人氏などがファンを公言しているなどVR業界においても人気が高い。

SAO×VRイベントといえば、2020年12月にVRChatとのコラボレーションのもと実現した「ソードアート・オンライン Synthesis -The Period of Alicization Project-」が記憶に新しい。原作の舞台である「はじまりの街」をモデルとしたVRChat会場にて、作品関係者らによるトーク番組や展示企画を楽しめた。

今回の「ソードアート・オンライン -エクスクロニクル- Online Edition」は、もともと2019年東京、2020年京都で開催された同作の10周年記念展「ソードアート・オンライン -エクスクロニクル-」のリバイバル版。リアル会場から一転し、オンライン開催を活かしてスマートフォン・PC会場のほか、オリジナルの専用アプリを用いたVR会場も用意している(関連記事)。

PANORAでは、同展示会の開催に先駆け、この展示会一番の魅力であるVR会場を先行体験してきた。圧倒的なボリュームの展示や体験コンテンツ、VRならではの戦闘体験。そして、リアル会場からさらにパワーアップした四面映像の体験など、2019年、20年に実施したリアル展示会、昨年12月のVRChatイベントどちらともを凌駕する展示会だと実感した。さっそく詳細をレポートしていきたい。

作中の世界観が現実に!SAO×VRならではの没入感

「はじまりの街」中央にある巨大な動画プレイヤー。ここで各種映像が見られる

2022年、世界初のVRMMORPGとして登場したゲーム「ソードアート・オンライン」。「ナーヴギア」と呼ばれるフルダイブ型VRマシンを用いてプレイするそのゲームは、実は一度プレイを開始するとクリアするまでログアウト不可能なデスゲームだった──。

そんなあらすじでスタートする同作品。リアルタイムで作品を楽しんでいた人であれば、この作品に影響を受けVRに強い興味を持った人も多いはず。筆者もそうしたSAOファンのうちの1人だ。

作中で「SAO」が登場するちょうど1年ほど前となる2021年現在。フルダイブ技術までは実現しなかったが、「SAO」およびナーヴギアの開発者・茅場晶彦のイラストをTwitterのアイコンにしているPalmar Luckey氏が創業した「Oculus」をはじめとしたコンシューマー向けVRゴーグルの隆盛により、VRは徐々に利用者が増え一般的なものとなってきた。こうした背景も含め、筆者がこの「エクスクロニクル」の世界に入って、まず感じたことは「ついにここまで来たのか」ということだ。

展示会のメイン会場は、昨年12月のVRChatイベントと同じく「はじまりの街」をモデルにした広場だ。作中と同じBGMが流れ、SAOに捕らわれて初期のアスナを彷彿させるようなローブを被ったNPCモデルになって、ナビゲーション・ピクシー姿のユイが隣についてくる。起動時には、思わず「リンクスタート!」と言ってしまいたくなるあの起動アニメーションが流れるなど、オリジナルアプリだからこそ細かい演出にこだわっている。

ナビゲーション・ピクシー姿のユイ。作中ではフェアリーダンス編以降で登場する姿だ

また、ユイの案内に従い、転移門をくぐることで有料エリア3つと、ボス戦が体験できる無料エリア1つの計4エリアへ移動ができる。単なる展示イベントであれば、展示物さえ見られれば何もワールドに力を入れる必要はない。しかし、転移門を通った先にある各展示エリアは、それぞれダンジョンを模したもの、アインクラッド内部を模したもの、ラースのオーシャンタートル内部を模したものなど、それぞれが横断的にシリーズ作品の舞台を再現したものとなっている。こうしたワールドづくりの細やかさもVRイベントならではだろう。

鋼鉄城内部を模した展示エリア(有料)
研究施設「オーシャン・タートル」内部を模した展示エリア(有料)
中央には人工フラクトライトを模した3Dパーティクルが映し出される
VRChatイベントでも再現されていたダンジョンエリア。展示物は大幅に刷新(有料)

あの絶望感が味わえる 「スカルリーパー」攻略戦

第75層ボス「スカルリーパー」

テレビアニメだと第14話に登場する、あの巨大な骸骨のボス。血盟騎士団を含め多くの攻略組が犠牲になったあのボス戦。そう、スカルリーパーだ。

昨年12月のVRChatイベントにおいても体験ができた、「スカルリーパー」攻略戦の体験が帰ってきた。しかも、今回も無料エリアでの体験が可能だ。攻略戦では、実際にあの高い天井の広いボス部屋で、巨大なスカルリーパーが襲い掛かってくる。これまでは画面で見ることしかできなかった攻略戦を実際に自分が画面の中に入って体験できる。圧倒的な迫力だ。

ボス部屋までの回廊もよく雰囲気が出ている
実際のボス部屋の様子

敵は原作通り超強力。筆者も挑戦してみたが、あっけなくやられてしまった。とてもじゃないが、ソロで攻略することは不可能だろう。しかし、今回の「エクスクロニクル」オンラインも複数人での参加が可能だ。ボス部屋前の武器庫には、招待ギミックが設置されており、そこで戦闘中のユーザーと武器庫にいるユーザー以外のすべてのユーザーに召集リクエストをかけることができる。これに応じた他ユーザーと協力が可能だ。また、事前にサーバー名を教えあえば、友人同士で参加することもできる。こうして他ユーザーと協力することでようやく勝機が見えてくるだろう。

さらに、VRChatでの体験ではなかった要素として、これまで有料エリアで見てきた展示物の武器を持ち込むことが可能だ。ALO編に登場したアスナのレイピアや、ユウキの片手剣、劇場版作品「オーディナルスケール」に登場したキリトの大剣や、拳銃などこれまで展示会場に飾ってあった様々な武器を持ったまま戦闘エリアに向かえば、作中の武器を携えてスカルリーパーに挑むことができる。

最後、スカルリーパーを倒した暁には、作中でおなじみの「Congratulations!!」エフェクトが出現。その後、「戦士の碑」が登場し、ダメージを与えた順にユーザー名が刻まれる。これを背景に集合写真を撮れば、良い記念になるだろう。仲間と、そしてキャラクターの武器といっしょに、第75層ボス「スカルリーパー」にぜひチャレンジしてほしい。

1回では回り切れない! 圧倒的な展示の物量

また、本展示会でとにかく驚かされるのはその圧倒的な展示物の量だ。昨年12月のVRChatイベントでは、ちょうどアニメ第4期に相当する「ソードアート・オンライン アリシゼーション War of Underworld」の放送時期だったこともあり、このアリシゼーション編に関する展示物がメインとなっていた。

しかし、本展示会はSAOの刊行10周年を記念して企画された「ソードアート・オンライン -エクスクロニクル-」のリバイバル版。2012年に放送された「ソードアート・オンライン」、2014年の「ソードアート・オンラインII」、2017年に放映された劇場アニメ「ソードアート・オンライン -オーディナル・スケール-」、2018~19年の「ソードアート・オンライン アリシゼーション」に、2019~20年の「ソードアート・オンライン アリシゼーション War of Underworld」と、アニメ全6作品すべてに関する展示をしている。

鋼鉄城内部にあるインスタレーションエリア

リアル展示イベントでお馴染みの、アニメ原画や場面写真、キービジュアルや、設定画などはもちろんのこと、VR展示イベントならではの工夫として、各コーナーの音声解説や、映像を使った中途成果物の解説、さらには実際に手に触れて持ち、振ることができる作中武器なども見ることができる。

また、ダンジョンエリアの最奥には、2019、20年に実施したリアルイベントでも実施をした四面映像がリバイバル上映されている。リアル展示では、プロジェクターを用い部屋の壁に四面映像を映し出す形で実現した映像表現だが、VRイベントとなる今回はより精細な映像を楽しむことができる。さらに、今回のためにパワーアップした要素として、映像のみならず空中にパーティクルオブジェクトを表示し、3D映像風の演出をするギミックも。これまでのアニメ作品の名シーンが詰め込まれたアツい映像となっているため、ぜひ自分の目で確かめてほしい。

このようにパーティクルが空間上に表示される演出。画像では伝わらないVRならではの迫力がある

リアルの展示会場の場合、人の流れや周りの目などもあり、なかなかゆっくり見ることが叶わないと感じる人も多いだろう。しかし、バーチャルであれば自分1人だけで見ることもできるし、1つのインスタンスに入れる人数も限られているため、混雑することもない。なにより、期間中であれば昼夜問わず自分のタイミングで見に行ける。1つ1つの展示をじっくり見ようとすると、エリアごとに分けて数日かかってもおかしくないほどの物量だ。

展示物の様子。VRならこの膨大な展示を独り占めできてしまう

個人的に、胸が熱くなったのは、各展示コーナーに掲載されているコラムだ。「ソードアートの由来」「なぜ「デスゲーム」なのか」など作品の裏話と並んで「現実にVRは発展するか」など、SAOの世界観と現実とをリンクさせるような内容も書かれている。SAOに憧れてVRの世界に飛び込んできた人々が、VRの世界からこのコラムを読む。現実がSFに追いついてきていると実感する瞬間だ。

マルチプレイにも対応しているため、ぜひ身近なSAOファンと一緒に訪れて、みんなで語り合いながら展示会を楽しんでほしい。展示会場には、そのほか宝箱を見つけると参加できるクイズラリーなども用意されている。ワールドの景観を存分に楽しむもよし、展示物をじっくり見て回るもよし、友達とワイワイ楽しむもよし、スカルリーパー攻略戦に挑むもよし、宝箱を探しクイズラリーに参加するもよし、と何度足を運んでも足りないほど楽しめる要素が豊富だ。ぜひ、実際に足を運んでSAOの世界をその身で体感してほしい。

<開催概要>
・開催期間:11月20日~12月7日
・参加方法:スマートフォン・PCおよびPC VR
・チケット概要:
■期間指定券(特典なし):スマートフォン・PC会場 1800円、VR会場 2300円
■期間指定券(特典付):スマートフォン・PC会場 3300円、VR会場 3800円
■プレミアム通し券(特典付):スマートフォン・PC会場 8500円、VR会場 1万円
※チケット購入ページはこちら
※「はじまりの街」および「スカルリーパー攻略戦」は無料エリアのためチケット不要
■VR会場推奨環境
・OS Windows 10
・プロセッサー Intel Core i5-4590/AMD FX 8350 と同等以上
・メモリー 16GB以上のRAM
・グラフィック NVIDIA GeForce GTX 1060, AMD Radeon RX 480 と同等以上
・ネットワーク ブロードバンドインターネット接続
■対応VRゴーグル
HTC Vive / HTC Vive Pro / Oculus Rift / Oculus Rift S / Oculus Quest※ / Oculus Quest 2※
※Oculus Linkのみ対応

※有料展示エリアでのキャプチャ画像の転載は禁止されています。記事中の写真や画像は主催者の許可を得て取得しています。
(C)2020 川原 礫/KADOKAWA/SAO-P Project

(TEXT by アシュトン

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