2010年代、社会現象となった地下アイドルブーム。ブームの震源地となった東京・秋葉原から全国に波及するように、地方ではローカルアイドルが、都内のライブハウスでは独自性を打ち出したライブアイドルが、日夜ステージを飾り、熱心なアイドルオタクたちは東奔西走したものである。
そんなブームから早10年近く。下火になりつつあるアイドルブームに、バーチャル世界からのアンサーとも言うべき存在がいると聞き、「Suc×Suquel。」のライブに潜入した。
3月5日(土)に開催された定期公演「Neige de Printemps #1」。普段は平日夜に開催される定期ライブだが、この日は貴重な昼ライブということで、早速ワールドへjoin。
雰囲気完全再現!地下ライブハウス 「Caramelo」
地下ライブハウス「Caramelo」は、メンバーのキャラメル・ミーの制作によるもの。2010年代のアイドルカルチャーの素晴らしさを伝えたいと語る氏によって、ワールドの随所にこだわりが見られる。
かくいう筆者も2010年代、アイドルオタクとして移りゆくシーンを肌で感じた者の一人なのだが、ワールドには記憶の彼方のそれと変わらないものがあった。狭い階段付きの受付、少し低くて圧迫感のある天井、薄暗いPA卓できらめく機材の灯り、照明の青白い照り返しなどだ。
しばらくすると、2人がステージに登場。ライブのスタートを飾るのは『怯懦』(sampled.)。エモーショナルな楽曲とスポーティーな衣装で、会場の空気を一気にまとめあげた。VRChatで音楽活動をするsampled.とは、昨年11月にコラボライブも実施している。
先日、結成から一周年を迎えたばかりの2人。自然とMCの話題は、これまでの活動の振り返りに。そもそも結成の話が立ち上がったのが2020年12月のこと。
当時キャラメル・ミーと緋の粉は、深い親交があるわけではなかったとラジオ配信で語っている。ある時、キャラメル・ミーがアイドルをするとし、メンバーを募集する告知をしたところ、もともと顔見知りだった緋の粉が、応募したという経緯がある。
2010年代のアイドルブームを肌で感じてきたキャラメル・ミーと、女児向けアニメに登場するアイドルに強い憧れを抱いていた緋の粉。リアルのアイドルがVRでのアイドルグループ結成に一役買ったというわけである。
定番曲からオリジナル楽曲まで!豊富な魅力を持つアイドル
いつもの可愛らしい衣装に着替えて、続く2曲目は『モア!ジャンプモア!』(ナユタン星人)。スマートフォン向けゲーム「プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク」で知られる同曲。アッパーテンポの楽曲に、会場は盛り上がっていく。
3曲目は、2012年から現在まで活動を続ける人気アイドルi☆Risの『ハートビート急上昇』。Suc×Suquel。の”アイドルらしさ”を存分に発揮。
「誰も来ないんじゃないかと思った」とMCで不安を語ったのは緋の粉。この日、VRChatのアップデートがあり、実装されたばかりのPhysics Boneに夢中になるツイートが目に止まり、ライブ前まで気分が沈んでいたことを告白。それに対し「そんなことないから」とキャラメル・ミーの冷静なツッコミが入る。
Suc×Suquel。の2人は、それぞれBOOTHに出店するなど自身でモデリングを行う。今日のライブから、専用のマイクも新調し、それぞれのカラーに合わせたデザインとなっている。
ライブのラストを飾るのは、オジリナル楽曲の「しゅくしゅくえぃる!!」。さわ/ミズナイオリ手掛ける楽曲に、2人の歌声が載った同曲。1月28日に行われた1周年記念ライブでは、それぞれのパートを逆にした「しゅくしゅくえぃる!! 反転ver」も披露されるなど、ファンの楽しませる工夫が感じられた。
バーチャルアイドルの最北端
ライブが終わると、ファンとの交流の時間に。この日は2人との3ショットチェキ。ファンとの思い思いの時間を楽しんでいた。
2人の考える”バーチャルアイドルの最北端”とは一体どんなものなのだろうか。今後も目が離せない。
https://www.youtube.com/channel/UCu1sapIEO3bTcny7p4kLlpA
https://sucsuquel.amebaownd.com/
<投稿者プロフィール>
ぬこぽつ
メタバースB級タレント個人勢VTuberです。メタバースでいろいろやっている。Webメディアや雑誌などで編集者を5年ほどやっていました。