一般社団法人子ども冒険体験創造ラボ(バーチャルオーシャン製作委員会)は、「Virtual Ocean Project」と銘打ち、最新IT・VR技術と水中ドローンを用いたオンライン授業を、2022年3月17日(木)愛知県にある院内学級の小中学生を対象に開催しました。今回の授業では、小中学生合わせて8名の生徒が参加しました。今回は、本プロジェクト初となる海底基地をモチーフにした「VR空間」での授業を実施。授業では海中360度映像(水中ドローンが撮影)を利用し、さらにバーチャルキャラクター(VTuber)イルカの”ブッチくん”が生徒とコミュニケーションをとることで、体験型の授業を実施いたしました。
授業の様子:https://youtu.be/Psn6M4Sdx9g
「Virtual Ocean Project」は、水中ドローンと最新の IT 技術を⽤いて新しい海洋 VR(仮想現実) コンテンツを世界に発信するプロジェクトです。海中映像とVR技術を組み合わせることで、ドローンの操作者が没入感を感じながら水中遊泳の疑似体験ができるシステムを開発し、ハンディキャップなどによる体験格差を解消することを目的に2019年より活動を行っています。
このイベントは、次世代へ海を引き継ぐために、海を介して人と人とがつながる“日本財団「海と日本プロジェクト」”の一環です。
公式サイト:https://www.virtualocean.jp/
- イベント概要
【第7回出前授業】
・日時:2022年3月17日(木)
・場所:名古屋大学付属病院院内学級
・配信方法:海底基地をモチーフにした「VR空間」に、参加生徒が同時にアクセスしてのオンライン授業。
*NTTが提供するXRプラットフォーム「DOOR」を使用
・人数:小学生3名、中学生5名
- まずはVR空間へアクセス…イルカのブッチくんと水中ドローンを操作して海を調査する体験!
教室に集まった生徒たちに配布されたQRコード。QRコードにアクセスすると、現実世界にバーチャルキャラクター(VTuber)イルカの”ブッチくん”がARとして現れます。ARブッチくんに話しかけることで、生徒たちは海底基地をモチーフにした「VR空間」へと誘われます。生徒たちは、各々ニックネームやアバターを設定し、「VR空間」の巨大モニター前に集まりました。先ほどはARとして現れたブッチくんが、今度は巨大モニターに登場。生徒たちはバーチャルキャラクターの「イルカのブッチくん」と共に、依頼された海のお仕事を体験しながら、海について学んでいきました。海の調査をしてほしいという依頼に対し、水中ドローン映像を生徒の声で操作することによってミッション遂行。途中、○×形式の参加型クイズコーナーも有り、参加者は「イルカのブッチくん」と軽快な掛け合いをしながら楽しく授業が進行していきました。
■水中ドローンとは
水中ドローンとは、水の中を潜水・潜航しながら撮影できる小型無人機の通称です。陸上や船上から遠隔で操縦を行い、リアルタイムで機体の撮影映像を確認できます。
人間が潜るには危険な状況でも調査ができることから、漁業・養殖業の調査や、港湾・船舶・ダムの点検作業など、様々な分野で活用、普及が進んでいます。
- ミッション
① サメの写真を撮ろう
② 沖縄生態調査
生徒たちには複数のミッションが課せられました。生徒たちは、VR空間内に映し出された水中ドローンの映像を声で操作します。ドローン方向を声で操作し、生き物を発見すると、「ショット!」と言って生き物を撮影。アオウミガメやクマノミなど様々な海の生き物を発見しました。
- 地球温暖化によって住んでいる魚が変化する可能性があることも紹介
イルカのブッチくんから、海に関するクイズが○×形式で出題されました。VR空間の床には「○」と「×」が大きく描かれています。参加者たちは自身のアバターを正解だと思う方に動かす事でクイズに参加しました。
イルカのブッチくんから出題されたクイズは「地球温暖化によってウミガメの性別が変化している」というショッキングな内容で、これには多くの生徒も驚いた様子でした。
クイズの中でイルカのブッチくんから、地球温暖化についての詳しい話がありました。
「日本近海での海面の水温は、この100年で1度以上熱くなったんだ。このままいくと、2100年までにおよそ1度〜3度の上昇が予想されている。海の温度があがると、そこに住めなくなる生き物もでてくるから、 食卓に並ぶ魚がガラッと変わる可能性があるかもしれないな。地球が温暖化している理由の一つが、さっきの酸性化でも出てきた、人類が出す大量の二酸化炭素なんだ。温暖化が進めば、さっきみんなが見たようないろんな種類のお魚は見られなくなる。「生物多様性」っていうのがなくなっちゃうんだな。自分たちもそうだし、将来の子どもたちのためにも、考えていかないといけないね。」生徒たちは真剣に耳を傾けている様子でした。
生徒たちはその後も依頼とクイズをこなしていき、「海の温暖化」「海の酸性化」「生物多様性」について学んでいきました。
- 参加した生徒コメント
・初めて知る海の問題がたくさんあった。自分が海に対して何が出来るかを考えるきっかけになった。
・VR空間に入るのは初めてだった。自分でアバターを動かし声を出すことで「授業に参加している」と言う感覚が強くなった。
・VR空間の中で、水中ドローンを操作して海の生き物を間近で見ると言うことが面白かった。海の生き物に限らず、いろんな動物を見てみたいと思った。
今後も、最先端技術を用いることで、コロナ禍の子どもや、海を体験することが難しい全ての方に海体験を提供することを目標とし、さまざまな最先端の技術を用いて活動を推進していきます。
■団体概要
Virtual Ocean Project
「Virtual Ocean Project」は最新のIT技術と水中ドローンを用いて新しい海洋VRコンテンツを世界に発信するプロジェクトです。VRコンテンツ体験を通して、海の素晴らしさと、今起こっている問題について幅広い世代へ伝えていきます。
https://www.virtualocean.jp/
日本財団「海と日本プロジェクト」
さまざまなかたちで日本人の暮らしを支え、時に心の安らぎやワクワク、ひらめきを与えてくれる海。そんな海で進行している環境の悪化などの現状を、子どもたちをはじめ全国の人が「自分ごと」としてとらえ、海を未来へ引き継ぐアクションの輪を広げていくため、オールジャパンで推進するプロジェクトです。
https://uminohi.jp/