樋口楓、VARKライブ「Higuchi Kaede VRLIVE “i^x=K”」レポート ジョー・力一との息ぴったりデュエットにも感動

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Lantisから1stミニアルバム「i^x=K」(いこーるわたし)をリリースしたにじさんじの樋口楓(ひぐちかえで)さんが、6月25日に記念ライブ「Higuchi Kaede VRLIVE “i^x=K”」を開催した。

会場は、エンターテイメントメタバース「VARK」。「i^x=K」の収録曲「GODDESS」で作詞を担当したにじさんじのジョー・力一(じょー・りきいち)さんをゲストに迎え、約90分、全14曲を披露した。

「i^x=K」に収録された新曲はもちろん、ライブ初披露となるオリジナル曲やファンメイド曲、力一さんとのレアなデュエットなど盛りだくさんのセットリストで行われたVRライブをレポートする。

VARKのライブは、VRゴーグル「Meta Quest 2」やスマートフォンの「VARK」アプリと、ニコニコ生放送で視聴できるが、筆者はQuest 2で視聴。記事中のスクリーンショットもQuest 2での映像を撮影したものだ。

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バーチャルな大阪の街での路上ライブ!

開演を告げるカウントダウンの後、スポットライトに照らされて樋口さんが登場。裾がアンシンメトリーなコートにパンツルックのアーティスト衣装で、ミニアルバム収録曲「あああああ」を歌いはじめる。樋口さんの衣装がアーティスト衣装なことや、1曲目から新曲の披露というのは予想の範疇だったが、驚いたのは真っ暗だったステージの奥が明るくなってから目に飛び込んできた光景だった。

大阪・ミナミのシンボルのようなタワーがそびえ立ち、周りにはド派手な看板が目を引く繁華街が広がっている。樋口さんのYouTube配信の最後に流れるエンディングムービーでお馴染みな風景で、VR関西出身の樋口さんにとっては、まるで凱旋路上ライブのようなステージになっていた。

背景のタワーには「HIGUCHI」の文字が掲げられており、飲食店の看板に「マジ卍」「日本一の食レポ」などと書かれている。ステージはネタ満載だが、樋口さんのパフォーマンスや演出は1曲目からいきなり熱い。1番のサビからは、本物のようにリアルな火柱が上がり、火の粉も舞った。

MCでは、ステージに関するトークの後、「新幹線の駅からちょっと遠いのよ」とボヤきながらゲストの力一さんが早くも登場。力一さんと樋口さんは、同じにじさんじの所属ながら、普段の配信活動ではあまり絡みのない先輩と後輩。以前から、たまに共演する際には、力一さんとの間に壁を感じるとネタにしてきた樋口さんが、「去年のにじフェス(「にじさんじ Anniversary Festival 2021」)から壁を感じていた」といじると、「それはいいがかりじゃないですか? 俺なんかしましたっけ?」と力一さんが返す。ルックス的にも不思議な組み合わせだが、最初からテンポ良く楽しい掛け合いが展開していく。

「仲良くなれそうな曲を力一さんに考えていただいたので」「非常にハートフルな曲になっています」という曲ふりから二人が一緒に歌ったのは、fhánaの「愛のシュプリーム! 」。アニメ「小林さんちのメイドラゴンS」のオープニングで、可愛く楽しいラップが特徴的なこの曲。ライブではいつも熱くてカッコ良い樋口さんの歌声も可愛さに全振り。力一さんも高音まで綺麗な美声を響かせる。2番のサビでは、二人ともステージを下りて、VRライブならではの超至近距離で熱唱。最後までまったく壁を感じさせない相性抜群のデュエットだった。


ファンメイドの「Moment」をライブ初披露

樋口さんに「2回しか目が合わなかった」と言われた力一さんは、二人の間の見えない壁を破る勢いをつけるため「ちょっと楽しんできます」と言いながら、ステージ奥の繁華街へ消えた。再びステージで一人になった樋口さんは、「怠ッセイ!怠ッセイ!」と「Sting or stung」を続けて熱唱。ミニアルバム収録曲の「怠ッセイ!怠ッセイ!」はもちろん、2ndシングル「Baddest」のカップリング曲「Sting or stung」もライブでは初披露。どちらもライブ映えする熱く激しい曲で、樋口さんらしさ全開のステージだった。


MCを挟んでからは、「少ししっとり系」なブロック。2019年にYouTubeで公開されたファンメイド曲の「Moment」。「Baddest」のカップリング曲「ikiteku.」。1stアルバム「AIM」収録曲の「mìmì」。

連続で披露された3曲の中でも特に印象深かったのが、爽やかで青春感あふれる「Moment」。メジャーデビュー後も、音楽活動の出発点であるファンメイド曲に対して強い思い入れを持ち続け、さまざまなステージで歌ってきた樋口さん。それだけに、今回のセットリストにもファンメイド曲が入っていること自体は不思議なことではないのだが、懐かしい曲でライブで歌うのは恐らく初めてということもあり嬉しい驚きを感じた。また、「mìmì」では、ステージを下りて超至近距離で熱唱。力一さんとのデュエットのときにもあった「VARK」名物のファンには嬉しい演出だ。


MCを挟んだ後の8曲目は、ガラリと空気が変わり、ミニアルバムに収録されたファンクの「恋すな」。さっきは、ステージを下りてガチ恋距離まで近付いてくれた樋口さんが、今度は「恋すな」と連呼。ステージ上にがに股でしゃがみ、こちらをにらみつけながら叫んでくる。「恋すな」という言葉が関西弁だからか、曲とステージの相性も抜群だった。

続いて披露された1stアルバム収録曲「たこ焼きロック」は、どこかレトロな曲調が楽しいコミックソング。樋口さんの表現力の幅を楽しめる1曲で、こちらもステージにぴったりだった。樋口さんがVR関西出身だから当然かもしれないが、思った以上に関西テイストな持ち曲が多いことに気づかされるセットリストだった。


新曲「GODDESS」がデュエット曲に変化!

VR関西の街に繰り出していた力一さんが再びステージに戻ってきた後は、大阪に「ちょいちょい足を運ぶことも」あるという力一さんと樋口さんの大阪トーク。なぜか、金物街(おそらく難波の千日前道具屋筋商店街)の話題で盛り上がる。

そして、今日2曲目のデュエットは、力一さんが作詞した「GODDESS」。まるで、元からデュエット曲だったのかと思わせるような絶妙な歌割りと、まったく個性は異なる二人のボーカルとラップのカッコ良さで、楽曲の魅力が何倍にもなっていた。オレンジ色基調だった街は、色数が増えてさらに華やかに輝き、間奏では街が消えて、まぶしい稲妻がステージに落ちる。このライブでしか披露しないのはもったいないと思うくらい熱いステージだった。


続けて、和田アキ子さんの大ヒット曲「YONA YONA DANCE」を二人でカバー。音圧が強く低めの声までかっこいい樋口さんと、高音も綺麗で澄んだまま伸びていく力一さんという面白い組み合わせの男女デュエットは、この曲にもぴったり。大ベテランシンガーの最新曲に、二人が力を合わせて挑んでいるようなイメージも浮かんで来た。

MCでは、「ちょっと目が合っちゃった」「目が合えば合うで、笑うんだもん」と言いながら、二人の間の壁は壊れたと主張する二人。壁の有無はともかく、これからもさまざまな曲、さまざまなステージでの共演を見たいと思うくらい歌声の相性がぴったりだった二人。ここまで相性が良いとは、正直まったく想像していなかった。

ちなみに、「YONA YONA DANCE」を提案したのは、樋口さんとのこと。力一さんは、今年の元旦に行った耐久配信の中で「YONA YONA DANCE」を歌い続ける耐久も行う予定だったのだが、機材の不調で企画内容が変更。力一さんのファンからは「いつ歌うの?」という声もあったそうなのだが、樋口さんも、力一さんの「YONA YONA DANCE」を聴いてみたかったらしい。


力一さんが退場した後、いよいよライブも最終盤に突入。あと、2曲で終了という予告の後、まずは、ミニアルバム収録曲の「イロドレ・ファッショニスタ!」を披露。ひと癖ある曲の多い「i^x=K」の中では少し異色に感じるほど王道のガールズポップで、明るく爽やかなメロディがライブのクライマックスをしっかりと盛り上げる。

最後は、ミニアルバム収録曲の中で唯一、まだ歌われてないあの曲……と思っていたところ、樋口さんが語った曲名は、「だってアタシのヒーロー。」。LiSAさんが歌うアニメ「僕のヒーローアカデミア」のエンディング曲だ。

予想外のセットリストで完全に意表を突かれたが、LiSAさんと同様、パワフルさの中にキュートさを併せもつ樋口さんの歌声にはぴったり。最後は花火が上がり、流れ星も降る美しいステージでライブ本編は終了した。


しかし、樋口さんがステージから去った後も、前方には「本公演は終了しました…?」という文字が。アンコールの存在を示唆するVARKならではの優しいメッセージを見ながら待っていると、制服姿の樋口さんが「アンコールありがとうございます」と言いながらステージに登場。

まずは、初めてVARKのライブに出演した2019年6月のことを振り返る。そして、最後のブロックで歌った2曲を振り返り、6月30日から放送されるドラマ「量産型リコ -プラモ女子の人生組み立て記-」のオープニング曲を担当することも報告。

MCの後、今度こそ本当に最後の曲として歌ったのは、ミニアルバム収録曲「ジブンなジブン」。ポジティブなメロディと、青春期らしい悩みや鬱屈も歌った歌詞という若干相反する魅力を持った楽曲は、常に明るく強い樋口さんの歌声や、美しい水面へと変化したステージの印象も加わって、明るい青春ソングの印象がさらに色濃く感じられた。最後、綺麗な夕焼けに照らされ楓の葉が舞うステージに立ち、「またどこかで会える日を楽しみにしてます」と手を振る樋口さんを見送り、ライブは幕を閉じた。



ミニアルバムに収録された新曲と、ゲストの力一さんとのデュエットが聴ければ楽しいなと思いながら取材したこのライブ。始まってみれば、ライブ初披露の曲が非常に多く、力一さんとの歌声やパフォーマンスの相性も期待以上。古参ファンはもちろん、最近VTuberや樋口さんの存在を知った人にも勧めたくなるほど見どころがいっぱいのライブだった。

VARKアプリでの映像はリアルタイムでしか観られないが、ニコニコ生放送でのタイムシフト視聴は、2022月7月8日23時59分まで可能(視聴チケットの購入可能期間は、2022年7月7日23時59分まで)。無料視聴できる冒頭4曲目まででも、樋口さんのライブパフォーマンスや、力一さんとの相性抜群のデュエットは楽しめるので、未見の人は、ぜひ視聴してみて欲しい。

 
●セットリスト

  1. あああああ
  2. 愛のシュプリーム! with ジョー・力一
  3. 怠ッセイ!怠ッセイ!
  4. Sting or stung
  5. Moment
  6. ikiteku.
  7. mimi
  8. 恋すな
  9. たこ焼きロック
  10. GODDESS with ジョー・力一
  11. YONA YONA DANCE with ジョー・力一
  12. イロドレ・ファッショニスタ!
  13. だってアタシのヒーロー。(Arranged by PandaBoY)

~アンコール~

  1. ジブンなジブン

 
●チケット(タイムシフト視聴用)
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チケット販売ページ

(Text by Daisuke Marumoto

 
 
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