「VShojo Japan」の設立、およびksonさん、飴宮なずなさんの電撃参入で大いに話題になった米国発のVTuberエージェンシー「VShojo」。
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ニコニコ生放送の「生主」として名を上げて、今やVTuberとしても活動する有名な配信者のksonさんが参加するというだけあってニュースの発表時にはネットでも大いに話題になった。その際、筆者が気になったのは「えっ、ksonさん個人勢だったのに企業勢になるの?」という誤解だ。
日本におけるVTuber事務所というと、オーディションを経て目的に合う人材を採用し、2D/3Dの体や衣装を提供して、動画・生放送・イベントの制作を手伝ってくれるというのが一般的だ。もちろん、宣伝・広報を代行したり、グッズや広告などの案件を他社から取ってきてマネージメントしてくれる側面もあるが、技術が絡んでくるVTuberだからこそ、どうしてもプロダクションの色合いが濃くなってしまう。
それと比べるとVShojoがうたうエージェンシー、つまり代理店や代理業というのは、かなりの部分がタレントに任されており、一部の困っていたり、面倒なところだけ企業側に投げるというスタイルだ。技術面もタレント自身が見なければいけないなどのデメリットもあるが、活動の自由さはこちらのほうが上になるだろう。
そうした事情について7月4日、ksonさん自身が「い っ た い な に が し た い ん だ 総 長Q&A」と題した生放送を配信して、Q&A形式でファンに詳しく解説していた。少し時間が空いてしまったが、今回のニュースを理解する上で大切なことなのでQ&Aをすべて引用して、記事としてまとめていきたい。
Q. 個人勢から企業勢に転身したの?
A. いいえ。VShojoはみんな個人勢です。
「みんな自分を持っている個人勢というのをみなさんに言っておきたい。私が企業勢というやり方をしていくかというのは、だいぶ違う。企業に所属する形ではない。(「日本にはないスタイルですね」というコメントを受けて)そうですね、あまり馴染みがない形なので、「は?」という方が多いんですね。私たちは個人勢という形なので、やりたいことがあったら自分で勝手にやりますし、それぞれの夢とかやりたい方向性とかがみんなありますので、みんながある程度同じ方向は向いているけど、別にそれぞれの夢を持っていて、自分の力で突き進んでいる形です」(ksonさん)
Q. スカウトされたの?
A. いいえ。
「こちらに関しては難しいんだけど、例えば、『じゃあオーディション受けたんですか』とか、そういうわけでもない。どんなふうに入ったのかと話すと長くなってしまうんだけど、私が個人で活動していて、いろいろなイベントをやろうとしているのはこの間の3D化配信のときに告知させていただいたんですけど、その会場探しとかをやっていたときに、会場とかシステムとかのオーナーでVShojoの方がいたんです。「あ、VShojoの方なんですか」みたいな。個人でイベントを準備しているときに会ったのが、たまたまVShojoの関係者だった。そこで打ち合わせしていたときにVTuberについて話をしていたら意気投合した」(ksonさん)
Q. VShojo加入はいつ頃決まったの?
A. 今年の3月18日ぐらい。
「Anime Expoに来るのも6月に誘われて、あわてて直前に3回目のワクチン接種を受けたぐらい。『どうせだったらJPにするのはどうですか?』と、どちらから言い出したわけでもなく、自然と『VShojo Japan』が立ち上がった。私はどこかに縛られるつもりはなくて、VShojoさんに何度も確認したけど『みなさんをサポートしたいだけです』という話だった」(ksonさん)
Q. 配信や創作の権利はVShojoのものになる?
A. いいえ。クリエイターがつくったものは、クリエイターが権利を持ちます。
「タレントファースト。タレントがタレントのまま活動できるのがVShojoのコンセプト」(ksonさん)
Q. VShojoによって活動内容に制限はでる?
A. 一切ありません。
Q. そもそもVShojoって何? どういう集団なの?
A. VTuber文化を愛している変態技術者集団です、
「VTuberって面白くね? 俺らでもっと支えれば、もっと面白くなれるんだったら、いくらでもやってやりたいぜ、っていって大規模のスパチャをしてきたのがVShojo加入ですね。VShojoに所属してるっていうか、VShojoが所属してきた感じ?という理解をしていただければいいと思います(笑)。億単位のメンバーシップを登録してきた感じ? わかりやすいですかね、そう言ったら」(ksonさん)
*補足:VShojoのCEOであるJustin Ignacioさんは、配信プラットフォームとして大きく成長した「Twitch」の共同創業者。加えて、VShojo Inc.自体も、シードラウンドとしてAnthos Capital、GFR Fund、Green Bay Venturesから1100万ドル(約13億円)を資金調達している。ちなみに日本で起業前・起業したてのシードラウンドにおいての調達額は数百万〜数千万が普通で、約13億というのは文字通り桁違いになる。
Q. 今後の配信はTwitch中心、英語中心になったりする?
A. 特に変わりませんがコラボやTwitch配信を増やしたい
Q. 収益などはどうなるの?
A. 配信収益は100%タレントに AX2022のグッズはぜひ買ってね!!
Q. VShojoと協力する決め手になったのは?
A. VTuber文化への愛、「タレントファースト」の考え方が私の夢見る方向性と同じだった。
Q. VShojoに入るメリットやデメリットはあるの?
A. メリット:技術面のサポート 安全、法的サポートなどなど
デメリット:今のところなし
Q.コラボはVShojo優先になっていきますか?
A. いいえ。みんな平等に友達なので、誰かを優先したりはしません。みんなそんな感じです。
Q. 飴宮なずなちゃんとは!? JP一期生ってこと!?
A. VShojoはそれぞれ個人なので先輩・後輩・期などの概念はありませんが、日本の仲間として一番近い存在になるかも?
Q. 総長の目的は何ですか?
A. 全てのVTuberとそのファン、そしてこの業界が心から笑顔になること。
生放送では、CEOから「宇宙に行きたい?」という話を突然振られたり、VShojoのブースに飾っていたksonさんの等身大パネルが盗まれているところを目撃したりと、波瀾万丈なAnime Expo秘話も語られていた。彼女自身の温度感や、VTuber企業の新しい形態を知っておくという意味も含めて、ぜひ冒頭の配信をチェックしておいてほしい。
(TEXT by Minoru Hirota)
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