5万円を切るリーズナブルなVRヘッドセット「PICO 4」をスタンドアローンではなく、Windows PCと接続してSteamVRアプリを使いたいという方も多いでしょう。そこでSteamストアのVRアプリ人気タグ最上位にあるVRChatで10時間ほど使ってみました。
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ストリーミングアシスタントでWindows PCと接続する
SteamVR用アプリを使用するためには、PICOのウェブサイトから「ストリーミングアシスタント」をダウンロードして、Windows PCにインストールする必要があります。
Windows PCでストリーミングアシスタントを起動。Wi-Fi接続か、USBケーブル接続かを選択したら、PICO 4のライブラリに収録されているストリーミングアシスタントを選択。PCを選択して接続します。するとSteamVRが自動的に起動するので、VRChatを選んでログインします。
コントローラの一部ボタンにはタッチセンサーが内蔵されている
VRChatはアバターの表情や手の形を変える際に、VRヘッドセットのコントローラを用います。PICO 4の左右トリガー、ABXYボタンと左右ジョイスティックにはタッチセンサーが備わっているため、ボタン等を押し込まなくても表情を変更できます。
「期待の一体型VRゴーグル「PICO 4」インプレション 考えられた重量バランスで抜群の装着感など、優れたハードを実感」でもお伝えしましたが、PICO 4のコントローラにはメニューボタン(左)とスクリーンショットボタン(右)が備わっています。
ところでSteamVR上では、PICOコントローラのグラフィックが表示されました。PICO 4でSteamVRを利用していると認識しているということなんでしょう。キーバインド設定をカスタマイズすることで、これらのボタンも独自設定で有効活用できるかも?
腕を背中に回してもトラッキングしてくれる
PICO 4は本体に備わる4つのカメラでコントローラの位置、しいては腕の位置を認識するインサイドアウト方式のVRヘッドセットです。コントローラを身体の影に隠してしまうと位置がつかめなくなりますが、どこまで認識してくれるでしょうか。
手をゆっくり動かしても、ある程度後ろまではトラッキングをし続けてくれます。
コントローラが完全に隠れてしまう、背中で手を組むような位置まではトラッキングできず。勢いよく動かせばコントローラ側の加速度センサーの影響か、真後ろにまで手を持っていくことができましたが、実際の自分のポーズとは異なるので注意が必要です。
フルトラ機材とも合わせて使えます
SteamVRで認識できている機材であれば、合わせて使うことができます。筆者所有のHaritoraXも、問題なく動作しました。フロントヘビーではないPICO 4と合わせることで、ダンス等のパフォーマンスもしやすくなるはず。
重量バランスに優れるPICO 4でFPSワールドのVERTEX˸ VRCBattleRoyaleやElectric PvP、ドライブワールドのChikuwa Drive Unlimitedなどに訪れると、Quest 2よりも操作しやすいと感じました。これならVRCボクシング練習会もさらに楽しくなりそう。VRゲーマーの方には本気でお勧めしたい。
鼻の隙間は狭め VR DJにはやや不向きか
PICO 4はアジア人の顔貌に合わせて設計したのでしょうか。鼻が低く平たい顔の筆者でも鼻部の隙間から見える外界はQuest 2より狭め。比較すると、没入感がやや高まったと感じます。
しかし、この鼻部の隙間を使って卓上のDJコントローラを操作していた立場からすると、VR DJがしにくくなったなあという印象もいだきました。VR DJのプレイスタイルには様々なものがありますが、同様のスタイルをとっている方はご注意ください。
VR睡眠はまくら次第
Oculus Developer Hubのようなツールはまだなし
VRChatには静かな景色のなかにベッドが備わり、寝ながらリラックスできるワールドがたくさん存在します。それだけVRに癒しを求めている人が多いということでしょうか。
PICO 4には標準状態で本体のトラッキングを無効化する機能がついています。この機能を使うことで寝た姿勢で映像コンテンツを見たり、VRゲームをしたり、VRChatにログインすることも可能です。
ストラップ後部にバッテリーが入っているために仰向けで寝るときに邪魔となりそう、と思いきや、蕎麦殻で大きめの枕であれば、あらかじめストラップ部の凹みをつけておけるので難なく寝ることができました。また後頭部の支えがないネックピローとも相性よさそうですし、写真のようにストラップ後部を大きくずらすことでも眠れます。
ただし、いずれにしても寝返りをする方はストラップの樹脂部分に負荷をかけてしまいます。またオートスリープを無効化できる、Quest 2におけるOculus Developer Hubのようなツールはまだありません。VR睡眠に関しては、今後の有志のチャレンジ結果に期待したほうがいいと思われます。
ボイチャ機能内蔵オーディオインターフェースで声も着替える
自分のなりたい姿になれるのがVRChatのいいところ。でも音声はそのまま流すことになります。アバターのように声も着替えたいという方もいるかと考えて、手持ちのボイチャ機能内蔵USBオーディオインターフェースと接続してみました。
前回のレビューと同様に、問題なく使用することが可能でした。これなら、PICO 4用のVRChatやclusterがリリースされても、Windows PCを使うことなく声も彩れるでしょう。
なお今回使用した機材は絶版品かつボイスエフェクトの調整機能がないために、改めての購入はお勧めしません。興味ある方は、電子楽器やDJ機材に強い楽器店にいって、「USBで接続できるオーディオインターフェースでボイスエフェクト機能がついている製品はないか」と相談してみましょう。
内蔵マイクの音質はほんとイマイチ
PICO 4の数少ない欠点が内蔵マイクです。マイクの音量の調整ができないPICO 4用Rec Roomで録音したら音が割れるし潰れてる。では、マイク音量が設定できるSteamVR版VRChatではいかがなものか。……ちょっと厳しいものがありました。100%設定は使い物になりません。50%でもまだ荒れ荒れ。マイク音量を一気に下げて5%にすると低音も高音もカットされたAMラジオのような音質になるので、10%設定でギリ使えるといった感じ。
いざとなれば2000円くらいのUSB Type-CイヤホンマイクでVRChatに
全部が全部優れている、とは言い切れないPICO 4。でも内蔵マイクの音質以外は納得できるできでした。VRChatなどのVR SNSでのおしゃべり目的で使いたいという方は、2000円くらいで買えるDACを内蔵したUSB Type-Cイヤホンマイクを使って、自分のクリアな声を捉えるといいでしょう。
(TEXT by 武者良太)