VRだからできる「えなこ」さんに超接近! PICOの新しい取り組み「VRライブストリーミング」の収録風景を取材

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PICOは11月より、同社が扱うVRゴーグル「PICO Neo3 Link」と「PICO 4」向けに、PICOビデオの一機能として「PICO VRライブストリーミング」(VRライブ)のテスト運用を開始した(関連ニュース)。

180度の3Dカメラの前に配信者が登場し、雑談や歌、ダンスなどを披露してくれるという内容で、現在、スタートしてから1ヵ月以上、毎日(!)3本ほどVRライブを無料で中継しているとのこと。

VRで見ることを前提にした映画や映像作品は数多くあるが、PICOのVRライブのようにリアルタイムで配信するのは割と珍しいケースになる。12月9日には、コスプレイヤーのえなこさんを迎えたケーキ作りの配信を実施。その様子を取材したので、VRライブの魅力をまとめていこう。

PICO 4


出演者を視界に独占! コメントで交流したり、近づいたりもできる

360度カメラといえば、例えばリコーが初代の「THETA」を2013年に発売するなど、直近のVRムーブメントと時期を同じくして注目を集めてきた存在だ。今となっては、180/360度の音楽ライブ体験が提供されたり、360度の静止画で賃貸物件を内見できたりと、コンテンツの提供や活用も進んできている。

360度映像・静止画は、スマホやPCでも画面をドラッグしたり、端末を動かしたりして、見たいところに画面を合わせて視聴できるものの、より没入感を楽しみたいならVRゴーグルの活用をオススメしたい。

まず、PCやスマホで見るのとは異なり、近さを感じられるのが大きい。こればっかりはVRを被ったことがないと伝わりにくいが、普段なら絶対に入れないパーソナルスペースギリギリの距離で自分の「推し」を見られるわけで、これはファンにとってだいぶ嬉しいことのはず。

PANORAでもVR体験会をやってきたが、口を押さえてにやけてしまったり、「ムリムリ!」と手を前に出して逃げてしまったりと、本気のリアクションをしている体験者を何度も見てきた。

今回の取材でいえば、えなこさんが目の前でケーキを作っていく様子をじっくり眺められた。具体的には、雑談をしながら、スポンジにクリームを塗り、ホイップを絞ったり、マカロンやフルーツで飾り付けていく様子なのだが、周囲に他のファンが見えないため、彼女を独占している感覚がマシマシだ。

収録風景はこんな感じ
テレビに投影すると平面的に感じてしまうが、VRなら目の前にいる
完成したケーキを「あーん」してくれるなど、特にこちら側に何かをしてくれる演出が迫力を感じられる

さらにPICOのVRビデオなら、流れてくる映像を一方的に見るだけでなく、配信中にコメントやエモートを送って、出演者とコミュニケーションできるというのも面白い。このコメントは、キーボードでちまちま打つ必要なく、音声入力でOK。エモートは現状、無料で贈れるようになっており、盛り上がったシーンでハートや顔文字が連打されている光景が展開されていた。出演者にとっても、コメントなどの反応があることはモチベーションという点でもとても嬉しいことだろう。

 
「近づける」というのも利点だと感じた。一般的な180/360度映像は、撮影しているカメラの位置にユーザーの頭が固定されて、そこから周囲を見回すことになる。細部が見たくて思わず頭を近づけても、拡大表示されるわけではない。

一方でPICOのVRビデオでは、中指のグリップを押しながらアナログスティックを前後に倒すとズームが可能。最大200%まで近づけるので、より「推し」を近くに感じられる。今回、えなこさんの生配信をずっと200%で見ていたという方も多かっただろう(下記動画はえなこさんではないがイメージとして挿入している)。

 
技術的な話をすると、8K(7680×4320ドット)という高解像度で配信しているという点も驚きだ。8Kというと普通のテレビを想像すると随分ハイエンド寄りな印象も受けるが、実は現状普及しているフルHD(1920×1080)では180/360度映像は絵が荒く見えてしまいがちだ。

というのも、180/360度のコンテンツをVRゴーグルで見るというのは、地球儀の中心に座って、好きなところに目を向けて内側に表示された映像を見ているような状況だ。元の映像は、地図におけるメルカトル図法のように長方形で、それを半球や全球に展開して一部を注視するため、解像度が低く感じがちになる。

しかも3Dとなると、縦か横に長方形を割って、左目用/右目用の視差が付いた映像を収める必要があるので、さらに使える解像度が落ちてしまう不利な状況だ。つまり4KでもフルHD相当、8Kでも4K相当になるため、使える解像度が高いに越したことはない。

一方で、解像度が上がればデータ容量も増えるわけで、8Kリアルタイムとなると相当な帯域を食いそうだが、PICOのVRビデオでは、その辺、H.265(HEVC)コーデックの高い圧縮率を利用して、8K/3Dの配信を実現しているとのこと。実際、えなこさんのVRビデオをリアルタイムで見てみたが、現地がきちんとライティングされていたこともあり、かなり綺麗に感じられた。

使用しているカメラは3D/12K対応というFXGの「FM・DUO」だった
撮影システムは独自のもの

 
PICOのVRビデオは、今年に中国で先行で開始し、日本では11月頭から始まって、今では韓国、ヨーロッパ、シンガポール、マレーシアでサービス提供している。ブラックフライデーなどでPICO 4を購入したという方々も多いはず。VRビデオはOculusのQuestシリーズでは見られないものなので、ぜひチェックしておこう。

 
 
●関連リンク
PICO(公式サイト)
PICO(Twitter)