「東京クロノス」「ディスクロニア: CA」などの製作で知られるMyDearestは9月14日にVRChat上にバーチャルオフィスを公開した。
バーチャルオフィスといっても実際にMyDearestの社員がそのワールドで働く場ではないとのことだが、かなりリアルなワールドとして作られており、最初にワールドに入った瞬間はSNSで見た通りで「見たことある……!」という嬉しさがこみ上げてきた。
聞くところによると、ワールド作成にあたって実際のオフィスの図面から寸法を起こしたという。さらに、そこまでリアルを追求していながら、オフィスを荒らせるところが面白いポイントだ。
一体なぜMyDearestはバーチャルオフィスを作ったのか、そして寸法までこだわったリアルなオフィスをどうして荒らせるようにしたのか? 今回、公開に先立って行われた先行お披露目会に伺う機会があったので、レポートしたい。
MyDearestのオフィス見学ツアー開始
見学に際してバーチャルオフィスでできることが紹介されると、さっそく「オフィス荒らしギミック」なる不穏なワードが目に飛び込んでくる。動画プレーヤーやホワイトボードはオフィスのワールドとしては想定できるものであり、VRChatのワールドギミックとしてもよくあるものだ。
よくあるとは言っても、ほかのオフィス風ワールドと比べてもはっきりわかるクオリティの高い作りは見ていて楽しい。このワールド自体は「誰でも自由に使って欲しい」ということなので、VRChat上で会議する際など、結構本気で使えそうだと思った。
一通り内覧を終えてメインフロアに戻ってくると、 案内役のMyDearest VRコミュニケーターItezaさんが「VR上のオフィスでおりこうさんにしていても仕方がないと思うんですよ」と言いだし、会議室の方から持ってきたパネルでデスクの上をなぎ倒し始める。
一度カオスになるとその場の全員が悪ふざけに走るのは、VRChatあるあるではないだろうか。各々が椅子を投げたり、モニターを持って行ったり好き放題していた。
なんとスプレー缶が置かれており、壁に自由に落書きできる。まるで取り壊しが決まった家を出ていく時のような自由な爽快感を感じた。それがまさか他でもないMyDearestさんのオフィスで落書きできるなんて……。
一体どうしてリアルに作られたオフィスを荒らしたり、落書きしたりする破壊行為をバーチャルオフィスに実装したのだろうか。
おそらく、現在開発中の新作ゲーム「Brazen Blaze」(ブレイズン・ブレイズ)のキャッチコピーでもある「現実でやっちゃいけないこと、全部やろうぜ!」が体現されているのだろう。ワールドの体験が純粋に楽しく、ここまでで20分くらいの出来事だったが、この時点でMyDearestのことがかなり好きになっていた。
さらに、さきほどの会議室の隣にある意味深な部屋で、ブレイズン・ブレイズのキーアイテムでもあるガントレットを使用すると……
ガントレットのパワーで扉が吹っ飛び、中に入れるようになる仕組みになっている。
中ではブレイズン・ブレイズの映像が流れている。この部屋は、実際のオフィスでも防音室になっているとのことで、壁に書いてあるようにConfidential(機密事項)な会議などで使用するという。
MyDearestはなぜバーチャルオフィスを公開したのか?
MyDearestは2019年に発売した東京クロノスをきっかけに大きな注目を浴び、次作のアルトデウスはQuest 2のローンチタイトルに選ばれるなど、日本発のVRゲームスタジオとして唯一無二の存在感を放っている。
そんなMyDearestは「VRChatとVRゲームは(どちらもVR空間で遊ぶものなので)身近なはずなのに、ちょっと離れている感覚がある」と感じており、近いようで少し遠いカルチャーにいるユーザーがどちらも遊ぶサイクルを作りたいという願いがあるそうだ。
VRゲームを作る立場で、VRSNSで何ができるだろう? と考えた結果たどり着いたのがこのバーチャルオフィスというわけだ。
「バーチャルオフィスをきっかけにVRゲームとVRChatを遊ぶ人たちの循環をMyDearestが牽引して作っていければ」と語っていたが、オフィス荒らしギミックをきっかけにワールドでみんなが大はしゃぎしていた様子を見るに、この取り組みは大成功だと感じた。
中の人が語るバーチャルオフィスのこだわりポイント
案内役のItezaさんにバーチャルオフィスのこだわりポイントを伺ったところ、とにかくリアリティを求めたという。実際の見取り図をもとにリアルな寸法で作ったことや、ゲームでモデリングを担当しているスタッフたちの徹底的な作りこみでかなりリアルなビジュアルになっている。
個人的に感動したのが、手前と奥で照明の色味が異なるところ。実際のオフィスでも同様のライティングになっているとこのことで、奥は開発スタッフのエリアなので暖色ではない色味になっているという。
この棚も実際にあるもので、受賞したさいのトロフィーや過去に制作したノベルティーなどが並ぶ。
棚には、実際にオフィスに飾っているというファンから贈られたファンアートのフォトグラメトリモデルも! もし贈られた方がこのバーチャルオフィスに来たら、本当に飾ってある……!と感激するだろう。ぜひ遊びに来て欲しいと思った。
期間限定キャンペーンやテスター募集など
●ZONeコラボキャンペーン
MyDearestバーチャルオフィス公開記念で、期間限定キャンペーンとしてZONe ENERGY 1ケース(24本入り)が当たる写真投稿キャンペーンを9月27日まで行っている。
ワールド内にあるぞん子のアバターペデスタルでぞん子に着替えてZONe缶と写真を撮ったら「#バーチャルオフィスZONeキャンペーン」を付けてXにポストしよう!
●Brazen Blazeのクローズドαテスター募集
Brazen Blazeのクローズドαテスターの募集を、MyDearestのディスコードサーバー「VRアジト」にて、9月25日16:59まで行っている。
テスターというと、ゲームが得意ではないと……というハードルを感じる方もいるかもしれないが、全世界に向けて作っているからこそゲームが得意な方だけでなく、そうではないと感じる方もテスターとして来て欲しいとのこと。
MyDearestがこだわっているところが「VR好きな人が作っているVRゲーム」だという。ゲームが得意、得意じゃないという基準ではなく「VRが好きか」という人にこそテスターとして参加して欲しいとのこと。私は話を聞いていてすっかり乗せられてしまったので、さっそくサーバーに参加した。テスターとしてマッチングすることになったらよろしくおねがいします。
●コトブキヤコラボアバター「リリィ(NeKoKo)」
ホビーメーカーコトブキヤによるVRアバターシリーズの新作「プレタコンポジッタCross」シリーズ第1弾として、プレタコンポジッタNeKoKoがディスクロニア: CAの人気キャラクター「リリィ」のメイクや衣装をまとったアバター「リリィ(NeKoKo)」を発表。(関連記事)
●VRChat社とのパートナーシップ契約
MyDearestはVRChatとの公式パートナーシップ契約が締結されたことも発表。これにより通常は禁止されている有料イベントの開催や広告の掲示など、より自由度の高いVRChatでの活動をすることができる。
「VRChatとVRゲームの距離を近づけたい」「VRユーザーたちの循環をつくっていきたい」と語るMyDearestの本気度が伺える。
(TEXT by ササニシキ)
●関連リンク
・MyDearest公式HP
・MyDearestディスコードサーバーVRアジト
・MyDearest Virtual Office