幕張メッセにて9月21〜24日に開催されているゲーム展示会「東京ゲームショウ2023」。1〜8、9〜11、イベントのホールすべてを借り切って行われる中、ホール9では手前半分のスペースに「AR/VRコーナー」を展開。ゲーム業界における1ジャンルとしてXRのハードや周辺機器、ゲームタイトルが展開されていた。
その中から、本記事ではオーストラリアのスタートアップ・IMRnextが展示していた「nofio」ブランドのValve Index向け無線アダプターの体験レポートをお届けしよう。ちなみに商品自体は日本の代理店であるIntoFreeのオンラインストアにて9月30日の23時59分まで受注生産を受け付けている。価格は税込で6万7430円だ。
結論から触れると、高画質のPC VRで自由に動けるのはイイ!という話になる。
ここ数年のVRゴーグルといえば、「Meta Quest」シリーズや「PICO 4」などPCやスマートフォンをつながずに動作する一体型が主流だが、画質でいえば一体型に内蔵されているものよりPCのグラフィックカードのほうが高性能で、「Valve Index」のようなPCに有線接続して使う前提のPC VRに分があることも多い。
そもそも2013年に出荷されたPC向けVRゴーグル「Oculus Rift」のDK1(Developer Kit 1、初代開発者向けキット)に端を発する昨今のVRムーブメントは、いかに画質を維持したままケーブルをなくすかとの戦いでもあった。
「ケーブルがなくせないなら背負えばいいじゃない」とばかりにバックパック型PCが登場したり、無線アダプターとしてもHTCのVIVE用にTPLINKの「TPCAST」が国内で発売されたりと、いろいろなソリューションが登場してきた。
あれから10年経過し、一体型VRゴーグルも驚くほど性能が高くなり、Quest 2における「Meta Air Link」のようにPCに無線でつなぐ手段も出てきているものの、「VRChat」などのソーシャルVRにどっぷり浸かっていて、トラッキング方式やコントローラーなどの理由で「どうしてもValve Indexで無線を使いたい!」という方もいるはず。
そんな方にこそ使って欲しいのが、このnofioのIndex向け無線アダプターだ。
昨年8月にKickstarterにてクラウドファンディングを開始し、1451人から939,194オーストラリアドル(執筆時点の日本円で約8900万円)を集めた製品になる。
特徴は、自社設計の専用チップ「IMR7」と、独自アルゴリズムを有するデータ圧縮・無線転送の技術を利用し、5ミリ秒以内の超低遅延を実現していること。通信手段はWi-Fi 6Eで、無線LANルーターを介さず、PCのディスプレイポートとUSBからIndexまで直でデータをやり取りするので、自宅の無線LANがWi-Fi 6Eに対応していなくても利用可能だ。
……というわけで、TGSの会場で実際に試してみたが、有線で接続している状態と違いがわからない状況だった。体験としては、ソーシャルVRの「バーチャルキャスト」でインターネット越しに話すというものだったが、テンポが遅れることなく普通に会話できた。
また、Indexと無線アダプターに電力を供給するバッテリーが後頭部にあるので、HMDがある前頭部との重量バランスがよくなるという副次的なメリットも体感できた。バッテリー駆動時間は2.5時間だが、電源を落とさず交換できるスワップにも対応。予備のバッテリーも8250円で別売しており、長時間の稼働にも応えてくれそうだ。
IntoFreeが扱う全身トラッキングを実現してくれるモーションキャプチャー機器「Tundra Tracker」も装着して試せるので、Indexユーザーはぜひホール9にて体験してほしい。
(TEXT by Minoru Hirota)
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