日本科学未来館、視覚障害者をサポートするMRコンテンツを制作 全盲の方向けの実証実験を12/17に実施

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日本科学未来館が推進するコンソーシアム型研究室「未来館アクセシビリティラボ」は、空間の特定の位置にひもづけて音声情報を再生する複合現実(MR:Mixed Reality)技術を活用し、視覚に障害のある方の展示体験をサポートする新たなコンテンツを乃村工藝社と共同で制作し、一般向けの実証実験を12月17日(日)に実施する。

アクセシビリティラボは、視覚障害者の未来の生活を支える技術の研究開発に外部機関と共同で取り組んでいるプロジェクト。今回のコンテンツは、GATARIの技術協力のもと乃村工藝社が制作する音響体験サービス「oto rea」(オトリア)を、初めて視覚障害者の展示体験サポートに活用する。

11月22日(水)に公開した新常設展示「プラネタリー・クライシス –これからもこの地球でくらすために」の一部を対象とし、利用者は自身の位置や動作に応じてメガネ型オーディオデバイスから流れてくる音声に従って移動。展示解説や体験方法などを聞きながら、大きな折れ線グラフの展示を触り近年の世界の平均気温の上昇を実感したり、大きさや重さが異なる木製のボールを比較しながら国や地域別の二酸化炭素排出量の違いを体感することができる。展示テーマに沿って音響演出も行われる。


一般向けイベント「音と手でさぐる新展示プラネタリー・クライシス」

・日時:2023年12月17日(日) 10時30分~16時30分
・対象:全盲の方、1日6名募集、事前申込(先着)
・会場:5階「プラネタリー・クライシス」内
・主催:日本科学未来館、乃村工藝社
・協力:GATARI
・イベント詳細:https://www.miraikan.jst.go.jp/events/202312173255.html


未来館アクセシビリティラボ

未来館アクセシビリティラボは、外部の研究機関と共同で進めるコンソーシアム型研究室で、AIやロボット技術を応用して視覚障害者向けのアクセシビリティ技術を研究している。未来館ではこれまで外部の研究プロジェクトが入居する研究エリアを併設するユニークな取り組みを行ってきたが、アクセシビリティラボは未来館が直接運用する初めての研究室となる。視覚障害者を自動で安全に誘導する「AIスーツケース」のほか、3Dプリンターなどを活用して触覚から科学的な情報を得る模型などを企画・制作し、視覚障害者のミュージアム体験を豊かにする研究開発などを推進している。

未来館アクセシビリティラボについての詳細


視覚障害者の展示体験をサポートする新コンテンツ

今回利用するMR技術はGATARIが開発した「Auris」(オーリス)というシステムで、VPS(Visual Positioning System)によって利用者が携帯するスマートフォンの画像から、その位置や向きなどを認識し、あらかじめ設定した音を再生することができる。音声情報はセンチメートル単位の精度で配置でき、単なる音声ガイドを超えたパーソナライズな空間や体験の演出が可能なことが特徴。「oto rea」は、この「Auris」をプラットフォームに、乃村工藝社が制作・演出を行う音響体験サービスだ。

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日本科学未来館