フィール・フィジックス
XRを用いた教育系ITスタートアップのフィール・フィジックス(拠点:東京都武蔵野市、代表:植田達郎)は、2023年12月14日(木)新潟市の開志専門職大学において情報学部の学生にXR体験とそれに伴うサービス提案をする探究学習を行いました。ICT技術が発達していく中、情報学部の学生として社会的なニーズや需要など市場の方向性を知り、自らの学びにつなげていくための探究学習となります。
🔳AIの進化、人口減少、SDGs……社会の変化に対応し、先を見通す力の養成を
日本の経済成長が下降線をたどること20年以上になりました。その間、家電製品や半導体など多くの産業が国際競争に破れ衰退をしています。人口増に伴う大量生産と大量消費、そしてそれを効率的に行うだけの学校・人材教育というものは時代に即していないのかもしれません。また、日本の起業率が海外に比して低いのは、安定を求めるあまり、不安定な「挑戦」というものを怖がっているのかもしれません。
半面、フロンティアがある国は衰退しない、と歴史家は言います。それは「挑戦」の意味が既存の産業との競争ではなく、開拓という言葉に等しいからでしょう。
現代の日本におけるフロンティアというものがあるとすれば、それはXRに代表される、リアルとデジタルが融合した世界だと考えます。現実の世界を拡げるXRの世界こそ、日本が開拓すべきのフロンティアであると思うのです。このXRによる新たな産業の創出、また教育や仕事、コミュニケーションなど既存の方式からの転換を成しうるのはデジタルネイティブといわれる若い世代です。しかし今までの教育の流れに乗るだけでは世界的な競争力に取り残されてしまいます。
そこで今回の探究学習では体験以外に「思考し、提案する」ことを重視しました。新技術を用いて未来に向かっての提案をPDCAサイクルで深化・改善させる経験こそ、若い世代に必要な学びの場だと考えます。開志専門職大学の学生の皆さんはこちらの想定・期待以上に積極的に参加し、またアイデアを討論してくれました。
🔳「XR×探究学習」 フィール・フィジックスが提案する未来型人材育成講座
今回の出張講座の進行は、次の5つのフェーズで行いました。
1 講義「XRで教育を変える」
XRを用いた物理教育のメリットを中心に講義を行いました。
理系の学問を学ぶ上で最大の障壁は「イメージできるか」どうかにあります。数式だけで理解することの難しさは、「理系離れ」が進んでいる今日では多くの人が感じていることでしょう。XRにより物理の世界を可視化し、体験的に学ぶことで学習の初動のハードルを下げ、感覚的な理解を持つことで、従来の授業に積極的に参加できるようになります。
2 探究学習「XRを用いてどんなことをしたいか」
講義によりXRの持つ可能性を示した後、学生らによるXR利用の初期提案を行いました。
情報系の学生にとってXRを学ぶということは、単なる使い方を学ぶことではありません。「どのように使うか」という創造的な発想が必要となります。また、続くXR体験を通して提案を更に深化させる狙いがあります。
3 XR体験
MRゴーグル(Microsoft HoloLens 2)を用いて学生全員が、手を用いて部屋の空間に花を咲かせたり、浮かぶ球状の物体を触ってその変化を観察したり、また空間に自由に絵を描く体験をしました。
現実とデジタルが融合するXRの世界に学生は歓声を上げ、その体験をもとにグループでXRをどう使うかの意見交換をしました。
4 講義「XRを取り巻く環境と未来」
体験の成果を知識として定着させるためにXRの課題についての講義を行いました。
開発者の不足や、指導スキルを持った人材の育成、費用面の課題、また年配の方々のデジタルに対する苦手意識などの課題と、産業のデジタル化、リモート化、多様化という社会の変化をどう整合させていくかを学生は学びました。フィール・フィジックスでは講義や体験のみで終わらせず、社会のニーズや課題にも触れて考えさせることで、学生のデジタル人材としての資質を高めます。
5 探究学習「初期提案の深化とまとめ」
講義と体験を経て、学生は初期提案をグループで話し合い、より深化させていきます。その過程をワークシートで確認することで、自身の考え方の変化と多角的な思考が身に着いたことを実感させ、自信として学びに繋げていきます。また、それぞれの提案を発表・シェアすることで、アイデアをピッチしたり他者の発想を学んだりする機会を設けました。
授業の最後には、学生がXRの未来を見据え、目標をもって学び続けて欲しいと結び、終了しました。
🔳満足の声が続出・体験レビュー
情報学部の学生らしく、開発に関する声や、観察や分析によったレビューが多いものとなりました。
- ものを見る視点を変えることができるため、新しい発見を見つけることができる。
- XRを活用することで、言語などの制約に関係なく誰でも体験できる。
- 消費者でなく開発者として動けば、もっとより良い未来になると分かった。
- 風や感覚までも感じられるようにできるようになったらさらに関心も増えると思うし、情報技術の意識が大きく増えていくのではないだろうか。
🔳「本質を考え、企画する力」 学校教育関係者への提案
今回の学びでは、初期提案で例えば「ランニングマシーンの背景として利用すればよい」という生徒のアイデアが、PDCAを重ねた結果、「XRでスポーツの理想の動き方を自身と重ねてフォーム分析やトレーニングに用いる」に変化しました。このような変化を起こすために「本質を考える」という問いかけを常に講義中に行っています。
また、アイデアを具現化するために「自分は何を勉強すればよいか」を考える時間を設けることによって、日常の授業へのモチベーションを高めるようにしています。新しい時代の主人公として、生徒が主体的な学習をするための仕組みを本講義では行っております。
デジタル情報やAIの出力のコピーアンドペーストが溢れる今日では、個人や集団の「ユニーク」を伸ばすことが難しい時代といってもいいでしょう。だからこそ、探究的手法をもって得た知識を自分のスキルに基づいて深化・個別化させていく必要があるのです。そして、アイデアを実現し社会を牽引する豊かな人生を歩んでもらいたいと、心より願います。
■フィール・フィジックスについて
XR・メタバース技術を用いた体験学習を開発・提供している教育ICTスタートアップ。代表の植田達郎は、京都大学理学部および情報学研究科修士課程修了後、中学・高校の教諭を経て当社を設立。Microsoft MVPアワード受賞(MR部門2018-2021)、元三重大学非常勤講師、情報処理学会中国支部講演会や教育システム情報学会研究大会メインシンポジウムに登壇するなど幅広く活躍中。
■会社概要
社 名:フィール・フィジックス
代表者:植田達郎
所在地:〒180-0004武蔵野市吉祥寺本町2-8-4 i-office吉祥寺
H P:https://www.feel-physics.jp
X(旧Twitter):https://twitter.com/feel_physics_jp