VRChat上で記念艦三笠が変形! 巨大ロボットに!? メタバースヨコスカ第3弾は猿島に「みかさロボ」が出現

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神奈川県横須賀市は10月にVRChat上でワールド「Dobuita & Mikasa World」をオープンして以来、12月には「猿島ワールド」もオープンするなど、「メタスカVR」としてメタバースを活用した観光PRを積極的に行ってきた。そして2月9日には第3弾となる「みかさロボ」が登場! 東京湾の上空に浮かぶ猿島ワールドに、記念艦三笠が変形したみかさロボが現れた。

「みかさロボ」とはなんなのか、まずはこちらの動画を見て欲しい。

かっこいい!

この巨大ロボは2024年2月10日(土)~4月7日(日)の期間、横須賀美術館で開催される「日本の巨大ロボット群像」にあわせたコラボ企画で、横須賀市在住のメカニックデザイナー・宮武一貴氏によるデザインで実現。宮武氏といえば、「宇宙戦艦ヤマト」や「超時空要塞マクロス」のメカデザインに携わった、メカデザイナーの草分け的存在だ。「もし三笠が変形して巨大ロボになったら」という夢あふれる取り組みを、メカデザインのレジェンドである宮武氏によって横須賀市の取り組みとして行われる奇跡のようなコラボレーションになっている。

実際にVRChat内でみかさロボを見た瞬間のワクワク感や高揚感は、VRChatを日頃楽しんでいる人はもちろん、ロボットアニメが好きな方にはぜひ体験してもらいたいと思った。


とにかく大きい! 記念艦三笠「みかさロボ」の大迫力

ワールドに入って即、ロボ

ワールドにやってきてすぐにロボットが視界に入る。時間ぎりぎりに来たからか、参加者たちの和気あいあいとした雰囲気の中、既にみかさロボが浮かんでいた。その存在感の大きさに驚くばかり。

大きなものから小さなものまで様々なスケール感を楽しめるVRChatだが、ここまで大きいロボットは体験したことがなく圧倒された。お台場等で観られる実物大のガンダムの立像は、ユニコーンガンダムであれば19.7m、横浜にある初代ガンダムは18m。近くで見ると充分大きいと思ったが、このみかさロボは全長72.9m、横幅50.5m、奥行き26mとなっている。ロボットアニメが好きな方なら、ガンダム作品でいうところのモビルアーマークラスの大きさだと思うとそのスケール感が伝わるのではないだろうか。

蒸気を上げて動くロボ

みかさロボは実際に操縦できるとのことだが、体験会では「巨大ロボが動いている」ということがわかりやすいよう、操縦されて動いている巨大ロボを見ることになった。

看板には英語のキャプションも

みかさロボはワールドの最初の地点にある看板にある制作の経緯や、みかさロボをデザインした宮武氏のコメントで書かれている通り、100年以上前に建造され現在は記念艦として保存されている三笠の歴史を反映し「少し無理をしているおじいちゃん」というコンセプトでロボットになっている。

ガコンガコン…と不規則な金属音がきこえるところが少しかわいい

その「おじいちゃんっぽさ」を表現するため、移動する際は一瞬沈んでしまったり不規則な動作音だったりと少し頼りなさがあって、かわいさを感じてしまった。

蒸気機関がある「腰」部分

体験会では、みかさロボのいちおしポイントだという「みかさロボ」の腰部分へみんなで行くことに。

青いリングのような「ジャンプ台」を使って移動
いくつかの岩場をジャンプしていく

腰部分へ行くのには少しコツが必要で、スタート地点近くのジャンプ台から近くの岩場へ飛んだ後にいくつかの岩場へ続けて飛んでいくことになるのだが、失敗して何度か東京湾に落ちてしまった。

体験時にはロボの操縦者がそのままVRChatから落ちてしまったことで操縦不可能、暴走状態になるというアクシデントもあり、動いているロボに飛び乗るのは至難の業だったが、それもまた楽しかった。ただし何度も落ちる事になったので、高所恐怖症の方がフレンドと遊びにい行く場合は気を付けた方がいいかもしれない。

目の前で動く蒸気機関

そうして腰部分にやってくると、遠くからでも聞こえた蒸気機関の音がかなり近くで聞こえ、すぐそばから蒸気が出ているのを見ることができる。

戦艦三笠が蒸気機関で動いていた戦艦だったからそれをロボットにも組み込んだとのことだが、みかさロボに乗りこんで実際にその大きさを体感すると、この巨大な乗り物が蒸気機関で動いていたことに驚いてしまう。

現実の記念艦三笠はすでに航行能力を失い三笠公園に留まっているので、このように蒸気機関が動いている姿を見られるのはVRならでは。しかも、ただの戦艦ではなく変形してロボットとなった姿でだ。

現実では立ち入り禁止の展望台へ

「みかさロボ」のビューポイントとしておすすめなのが、ショッカーの基地こと展望台。島の内部に移動して展望台に移動すると、木々の向こうから姿を見せる巨大ロボというかっこよすぎるショットが拝める。

みかさロボの美しい立ち姿

先ほども書いたが、モビルアーマーくらい大きいロボットを実際に見上げるだけでその迫力が凄かった。さらに、乗り込んだり、あわよくば操縦できるというのはVRならではの楽しみ方だろう。ロボットアニメが好きな方ほど体験して欲しい! と思った。

買ったまま飽きて放置しているHMDがあるというような方はぜひ、巨大ロボを見るためだけでも猿島ワールドに行って欲しい。なんとQuest対応のワールドなので、PCVRの環境が無くQuest単体しかないという方でも遊べる。


メカデザイナーのレジェンド宮武さんによるこだわり

横須賀美術館で開催中の展示「日本の巨大ロボット群像」とのコラボレーションで生まれた記念艦三笠の巨大ロボ「みかさロボ」は、デザインを担当した宮武氏が横須賀市在住という縁もあって実現した。聞くところによると、幼い頃から横須賀に泊まっている戦艦にインスパイアを受けてイラストを描いていたことがメカデザイナーという、80年代にはまだ存在しなかった職業を確立していく原点だったという。

VRChatに現れたみかさロボ

つまり、VRChatに登場したみかさロボは宮武氏の幼い頃からの夢の実現でもあると言える。スタッフの話によると、体験会の同日に横須賀美術館で開催された内覧会に訪れた宮武氏が初めてゴーグルを被ってみかさロボを見上げながら「いやあ、うれしい、うれしい」と語ったという。

宮武氏はメカデザイナーとしての活躍はもちろん、作品全体の設計に深くかかわるコンセプトデザイナーとしても活躍してきた。それだけに、みかさロボは単に「VRだからロボットになれる」とか、「なんとなくかっこよく変形しよう」というものではなく変形するにあたっての整合性や、なぜロボットになるのかという背景まで念入りに練られたという。

みかさロボを動かしている蒸気機関についても三笠に搭載されていたヴィッカース社製の蒸気機関の資料を入手し、デザインに反映。中央の青く光っている部分のみ未知のエネルギーが動力源という設定になっているとのことだが、可能な限り現実を抑えることでファンタジーな部分が活きてくるという。

巨大ロボを目の前で見るインパクトだけでも十分に楽しめるが、その体験をよりよいものにするためのプロフェッショナルなこだわりが、リアリティにつながっているのが本当に楽しい。

なんと、2月17日には宮武氏による「みかさロボ」のデザインをテーマとするトークショーが記念艦三笠にて開催される。直接みかさロボ制作秘話を聞けるチャンスだ。

また、今回この企画が実現するきっかけとなった横須賀美術館での展示「日本の巨大ロボット群像」でも、みかさロボのデザイン原画が特別展示される。


●みかさロボトークショー
・日時:2月17日(土)13:00~15:00
・場所:記念艦「三笠」講堂
・料金:無料 ※別途、記念艦「三笠」への入館料がかかります。
・お申し込み方法:Peatix(https://metasukavr.peatix.com/view

●日本の巨大ロボット群像
・会期:2024年2月10日(土)~2024年4月7日(日)
・休館日:3月4日(月)、4月1日(月)
・開館時間:10:00~18:00
・場所:横須賀美術館
・料金:一般 1300円、高校生・大学生・65歳以上 1100円、中学生以下無料


VRChatらしく、自由に楽しもう!

攻撃されるみかさロボ

横須賀市を代表する観光名所でもある記念艦三笠をVRChat上に巨大ロボとして配置するということを、横須賀市が行っているのは凄いことだと思う。VRChatはかなり自由になんでもできてしまうため、少し放っておくとみかさロボに攻撃が始まったりするのはよくある光景だ。

そんな事態も許容する懐の深さに驚いてしまうが、第1弾第2弾と続けてお伝えしている通り、単にメタバース上に観光地や街並みを再現するに留まらない一歩進んだ施策としての観光PRをしている横須賀市。国産のプラットフォームもある中であえてVRChatを観光PRの場に選ぶのは簡単な選択ではなかったはずだ。せっかくなので自由に遊んでみて欲しい。

最大で3人乗りの乗り物が用意されているので、自由に飛び回ってみかさロボのまわりをくまなく見るのもいい。

歌姫おきゅたん!?
ヤックデカルチャー……!

体験会で面白かったのは、おきゅたんがその場でライブ用のパーティクルを出したこと。その絵面はまさにマクロスそのもので、こうした遊びができるのもVRならではの楽しみ方で凄いと思った。


(TEXT by ササニシキ

●関連リンク
メタバースヨコスカ 公式サイト
メタバースヨコスカ 公式Booth
「日本の巨大ロボット群像」展 公式サイト