9月28日、GARDEN 新木場FACTORY(東京都)にて、 PROJECT IM@S vα-liv(ヴイアラ)初の単独現地リアルイベント、「PROJECT IM@S vα-liv PRODUCER MEETING 2024 -FROM NOW ON!!!-」が開催された(アーカイブ配信)。
デビュー以来成長し続けるヴイアラの3名のパフォーマンスとともに、彼女たちと、そして彼女たちを応援し支援するファン=「プロデューサー」との絆が感じられた本イベントの様子をレポートする。なお、本稿では夜公演の様子にも触れつつ、昼公演をメインに執筆した。
ヴイアラ初の単独現地有観客イベント
ヴイアラは、バンダイナムコエンターテインメントの「アイドルマスター」シリーズが掲げる「PROJECT IM@S 3.0 VISION(サードビジョン)」における、「“MR”-MORE RE@LITY-プロジェクト」(MRプロジェクト)推進に向けたライバーアイドルプロジェクト だ。
2023年4月14日に灯里 愛夏(ともり まなか)さん、上水流 宇宙(かみずる こすも)さん、レトラ(サラ レトラ オリヴェイラ ウタガワ)さんの3名がアイドル候補生として登場した。
2024年3月31日に開催されたオンラインイベント「PROJECT IM@S vα-liv LIVE -THE LAST STATEMENT!!」での審査を経て、3名は晴れてアイドル候補生を卒業し、芸能事務所「876(バンナム)プロダクション」からのアイドルデビューが決まった。その後、ライバーアイドルとして各自、並びにコラボ配信だけでなく、いくつかのフェスイベントに出演をしてきた。今回のイベントは、3名にとって満を持しての、初の単独現地リアルイベントとなる。
今回のイベントは、彼女たちのアイドルデビューを祝うとともに、これからの躍進に向けて彼女たちと、彼女たちライバーアイドルの活躍を応援し盛り上げていくファン=「プロデューサー」との団結力を高めようという「プロデューサーミーティング」として開催。歌唱コーナーと、プロデューサー参加型のバラエティーコーナーで構成されていた。
お互いの挑戦を応援しあうヴイアラメンバーとプロデューサー
プロデューサーらが開演を待ち望む中、彼女らによるライブの諸注意がアナウンスされ、いざイベントが始まる…というところで幕の後ろから聞こえる「ファイトー」の掛け声が聞こえた。このことがフロアのプロデューサーに「遂にリアルイベントに来たんだ」という実感を高めてくれた。そして続く「オー」の声に、自然とプロデューサーも「オー」と応えていた。
オープニング映像が終わると初のステージ衣装を着た3名が登場し、3名の為に作られた最初のオリジナル曲「リローディング」を披露。
前奏での「オイ!オイ!」というフロアからの声に対して「まだ出せんだろー」と煽り、あっという間にボルテージは最高潮に。煽りだけでなく、強い圧、そして自信があるパフォーマンスは先述の「THE LAST STATEMENT!!」の時よりも進化をしていて、こうした進化を目の当たりにできるのが、アイドルを応援するもの冥利に尽きると、イベント初っ端から実感した次第である。
「リローディング」を披露した後のMCパートは、自己紹介から。板についてきた「876プロ新人ライバーアイドルの」という名乗りも、配信でお馴染みの挨拶も、実際にフロアにいるプロデューサーの前でやるのは感慨もひとしお。
さらに今回はデビュー後に作られたアイドル衣装が初披露ということで、宇宙さんがお約束の言葉を求めると、プロデューサーが声を揃えて「回ってー」と呼びかける。その声を聞いた愛夏さんは「本物だー!!」と大はしゃぎ。そして3名とも楽しそうに回転しながら衣装を見せていた。
続いて、プロデューサーと親睦を深める企画、「みんなでヴイアラミーティング!!!」というコーナーが行われた。ここで進行役として「PROJECT IM@S vα-liv」を担当するバンダイナムコエンターテインメントの勝股春樹プロデューサー(勝股P)が登壇、ステージ上でヴイアラメンバー3名と並び、配信でも馴染みのやりとりを繰り広げた。
「Pが選ぶ!ヴイアラここ好き5選!」は、事前アンケートであがった意見をランキング形式で紹介。当日あがったのは以下の5つ。
第5位「親近感 距離の近さ」
第4位「リアルタイム性 ライブ感」
第3位「三人の関係性 集まった時の雰囲気」
第2位「成長を感じられるところ」
第1位「応援したくなる本気の姿勢・挑む姿」
3位の「三人の関係性 集まった時の雰囲気」に対して宇宙さんは「私たちただの友達じゃなくて、一緒に戦ってきた仲だからこそ、絆の流れ方が違う。ただの仲良しこよしじゃないから」とコメント。
1位の「応援したくなる本気の姿勢・挑む姿」については、活動当初に自信の無さについて口にしていた愛夏さんが「自分に自信ないとかどうでもよくて、みんなが喜んでくれるならなんだってやってやるぜーって思えるようになった」とヴイアラを始めてからの変化を述べる。レトラさんも「Pちゃまのお陰でうちらがこうなってるところがある」とプロデューサーからの応援について感謝をしていた。
さらに、宇宙さんは3名が本気で挑む姿を見てプロデューサーも様々な分野で挑戦するようになったという手紙ももらっていることで、「一緒に挑戦する仲間なので、一緒に頑張っていきましょう」と、いつもエールを貰っているプロデューサーにエールを返した。
さらに事前アンケートだけでなく、フロアにいるプロデューサーに好きなところを直接聞く場面も。そこで挙げられた「全部です!」との回答に対し、宇宙さんが大喜びしつつ、「みんなに言ってるよね」(レトラさん)などと、日々の配信と同じような信頼感から来る切り込みも見られた。
続いて行われた「豪華なケータリングを手に入れろ!アイドル対抗ヴイア”ラウド”バトル!」コーナーは、ヴイアラメンバーが課題にあわせてパフォーマンスし、それに対して会場のプロデューサーが声を上げて、その声の大きさによって順位を決めるというものだ。
課題はアイドルらしく「ボーカル」「ビジュアル」「ダンス」の3種類。しかし、実際に出されたお題は、「ボーカル」は男性が「うわー」と低く叫ぶ声を再現せよというもの。
「ビジュアル」は「清楚感を表現する動き」
と、メンバーが実演順番を譲り合ってしまうくらいの謎…意外性のあるものが出されていた。
最後に出された「ダンス」の課題では、いつもの配信でおなじみのBGMにあわせて踊るというもので、バレエ経験のある愛夏さんが華麗に舞い、総合優勝を決めていた。
表現の幅を広げるカバー曲と、本領発揮のオリジナルソロ曲の披露
「ヴイア”ライブ”コーナー」ではメンバーがそれぞれソロで楽曲を披露。
最初の「みんなで選ぶイベントソロ曲」では、事前に募集していたカバー曲(アイドルマスターシリーズ、またはヴイアラメンバーが所属する「ASOBINOTES」レーベルの楽曲が対象)を各人が歌唱した。
レトラさん(20歳)は、潰れるまで鮭に酔いまみれるイケイケなEDM「焼ケ鮭」を、ステージ上を歩きまわり両手でコールを煽りながら明るく歌唱。と思いきや、酒に潰され千鳥足で呂律が回らない様子や後ろを向きながら…するところまできっちり表現。ボーカリスト・レトラさんが、大人らしいコミカルな境地を見せてくれた。
愛夏さんはヤンデレな愛を歌う「スペードのQ」を歌唱。序盤では可愛さも見せるも、Bメロあたりから底知れぬ怖さを出してきた。それでも目が離せない魅力も見せつけてくれた。
宇宙さんはイントロ・アウトロ・間奏含め6分以上の間、ダンスでも魅せるサイケデリックトランス「Next Life」を披露。先輩アイドルばりのダンスで、時に会場を煽り、時にプロデューサーの視線を釘付けにしていた。
カバー曲コーナーのあとは、彼女たちの初めてのオリジナルソロ楽曲の披露。
愛夏さんの「ともすれば、(中略)アイドル」は、自己紹介かつ意気込みを、アイドルありKAWAIIあり、筋肉あり調教あり博多弁ありと盛りだくさんの要素をミュージカルのように様々な曲調で聞かせるアッパーなソング。彼女の挨拶「やっぴー(やったるぜ!+ハッピー)」に呼応するように入れる「やっぴーやぴぴ!(Yappy yapipi)」のコールが楽しい楽曲に、会場が熱狂の渦に巻き込まれていった。
なお、楽曲の途中で「上手側の幕が落ちる」(スクリーンが映らなくなる)トラブルが発生したが、それを理解した愛夏さんは動揺した様子を見せず、自然な形で下手側のみでパフォーマンスをするように変えたのは舞台度胸が付いた証だろう。
宇宙さんは宇宙(うちゅう)の広さを表すような透き通るような音と切なげな声が印象的なダンスナンバー「公転周期」を披露。歌唱中も間奏中も楽曲の世界をキレのあるダンスでも表現していて、会場のプロデューサーは見惚れていた。
レトラさんのソロ曲は「群青イニシエーション」。先程のカバー曲「焼ケ鮭」でのコミカルな歌唱とは異なり、響かせながらも静かな歌い方から力強く訴えかける歌い方への切り替えが、くすんだ世界から夢見る未来への渇望を表していて、そのボーカル力で会場を圧倒していた。
3名のオリジナル曲の歌唱が終わった後のMCでは、コールが溢れる愛夏さんの曲からの、宇宙さん、レトラさん曲の後の会場のテンションの違いに、あらためて「やっぴーやぴぴ」コールを要求。空気を賑やかなものにと戻していた。
「公転周期」を披露した宇宙さんはフロアにいるプロデューサーに対し「私も(フロアで)聞きたかった」と発言、配信とは違うライブハウスの音響に対しての喜びとそれを自身で体験できない悔しさを表現していた。
最後は、3名が所属する876プロの先輩の持ち歌である「ハッピース」を、ヴイアラの3名で披露。ソロ曲のタイプも得意なパフォーマンスも異なる3名が、多幸感あふれるこの楽曲では揃って明るく歌唱し、あわせてポーズを付ける。
「やっぱずっと3人でいたいね」という歌詞も、3名揃ってデビューを勝ち取った今だから聞ける言葉であるし、先のコーナーでの「私たちただの友達じゃなくて、一緒に戦ってきた仲だからこそ、絆の流れ方が違う。」という宇宙さんとの発言にも重なって、楽しい曲でありながら、ジーンとも来てしまった。
さらに挑戦し続ける夜公演
ここからは、(筆者はフロアで観客…プロデューサーとして見ていた)夜公演について触れていこう。
冒頭のリアルステージに慣れパワーアップした「リローディング」の披露の後、バラエティーコーナー「みんなでヴイアラミーティング!!!」では、昼公演とは違った企画が展開された。
1本目は「勝股P完全監修!公開ギリギリ マシュマロさばき」と題して、ヴイアラ配信でお馴染みのマシュマロさばきを会場で生挑戦。
今回投げられたマシュマロは事前に募集したものだが、監修をした勝股Pは「いいマシュマロからクソマシュマロまで来てますんで」と案内。実際は無茶ぶりから怪文書、煽りまでバラエティに富んだマシュマロが飛んできていた。それに対し初挑戦の宇宙さんも含めばっさばっさと斬り、さらにレトラさんは(アイドルの発言らしからぬ単語)と評しており、笑いがあふれる中、様々なやりとりも許容できる、アイドルとプロデューサーとの確固たる信頼関係も感じられた。
さらに勝股Pや会場のプロデューサーへのマシュマロも。勝股Pは今後の計画に関するコメントに対し誠実に返答していた。
宇宙さん配信の締めの挨拶である「バイアラー」と叫ぼうと持ちかけるプロデューサーへのマシュマロは、それに対する会場のプロデューサーのリアクションも含めて、宇宙さんは喜び、半面 愛夏さんはそっぽを向きレトラさんは不貞腐れて横になるなど、これまたアイドルとプロデューサーの絆が確認できるものであった。
続くコーナーは「豪華打ち上げを手に入れろ!プロデューサー協力型難問クイズチャレンジ!」。アイドルたちのこれまでの配信活動に関するクイズが3問出題され、2問正解でご褒美がもらえるという形式で、会場のプロデューサーは回答者である3名にヒントを出せるが、声は出せないというものだ。
複数のプロデューサーが協力してBの文字を作り上げ、ステージ上のアイドルもBと回答するも、正解はAであることなどがあり、3問中1問のみ正解という結果に。泣きの1回でなんとか規定の正解数に達し、3名は無事打ち上げ代として某高級店○○苑の金券をゲットすることができた。
カバー曲披露コーナーで愛夏さんが歌唱したのは、いい子がちょっとだけ悪い子になって好きな相手の気を惹こうとする中毒ラブソング「きまぐれユモレスク」。震えそうな声で「ねぇ 好きなの?」と問いかけられたり、歌の最後に「好き」と呼びかけがあったり、聞いてるこちらの情緒がいい意味で壊れるパフォーマンスであった。
宇宙さんが披露したのは「無重力シャトル」。これまた宇宙さんが得意なダンスを効かせたパフォーマンスであったが、こちらは昼公演の「Next Life」とは違い明るく突き抜けたポップナンバー。宇宙さんも無重力の宇宙を楽しむように飛び跳ね、そしてコールアンドレスポンスだけでなく間奏中には会場中にウェーブも巻き起こし、にぎやかさで会場を沸かせていた。
レトラさんがマイクスタンドを前に歌唱したのは、ロックナンバーである「流星群」。バンドボーカル経験のあるレトラさんの水を得た魚のような歌唱にフロアからの「オイ!オイ!」という声が沸き起こるも、「ちょっと足んないんじゃないのー?」とさらに煽るなど、まさにライブハウスらしい熱気溢れるパフォーマンスが繰り広げられた。
ライブ終盤、「ハッピース」を披露する前に、次が最後の曲であることを宇宙さんが告げると、会場から「えー」との声が沸き起こる。そして3名は会場の声を代弁するように「いまきたばっかりー」と言うのだが、それにあわせてガニ股で駄々をこねるような謎ダンスを踊っていた。いや、これは昼公演でもやっていたのだが、夜公演は3名の息もぴったりで……これヴイアラの恒例になるの!?
宇宙さんの「バイアラー」、愛夏さんの「やっぴー」、レトラさんの「ちゃおちゃおー」とそれぞれの形で会場のプロデューサーとの別れを告げた後、会場のスクリーンに876プロの石川実社長が登場。2024年10月に「アイカツアカデミー!」新人アイドルと「ヴイアライヴ」ライバーアイドルとのコラボ配信があることが告知された。また、2025年3月22日(土) Zepp DiverCity(TOKYO)にて、ヴイアライヴ初の単独現地有観客LIVEの開催が決定し、複数の楽曲が制作中であることも発表された(詳細はこちら)。
あらためて、彼女たちのアイドルデビューを祝うとともにプロデューサーとの団結力を高めるという今回の「プロデューサーミーティング」を振り返ろう。
デビューできるか分からなかったアイドル候補生時代からの人も、876プロのライバーアイドルになり活動の幅を広げている最近からの人も、彼女たちを様々な形で「プロデュース」しているプロデューサーと愛夏さん・宇宙さん・レトラさんとの信頼関係が確認できたイベントであった言えよう。それは、怪しいマシュマロを投げるプロデューサーとざっくりとさばくアイドルの姿でも感じられたし、また挑戦し続けるアイドルたちにエールを送るプロデューサーと同じように挑戦するプロデューサーにエールを送るアイドルの姿からも感じられた。
さらに初の単独現地リアルイベントということで、お互いの姿が見え、声が聞こえる場所で、アイドル各人の得意を活かし、あるいは課題に挑みながら披露した、メンバー初のオリジナルソロ曲やタイプの違うカバー曲を堪能することができた。今後の活躍にも期待したい。
なお、本ミーティングの様子は、昼・夜公演とも10月14日までアーカイブ配信されている。
THE IDOLM@STER™& ©Bandai Namco Entertainment Inc.
(TEXT by tabata hideki)
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