「この公演がこれからの私の支えになる」 にじさんじ WORLD TOUR 2025、仙台公演ライブレポート

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人気バーチャルライバーグループ「にじさんじ」の7周年を記念したライブツアー「にじさんじ WORLD TOUR 2025 Singin’ in the Rainbow!」がついに開幕。全7公演中、最初の公演となる仙台公演5月10日(土)仙台サンプラザホールで開催された。卯月コウさん魔界ノりりむさんリゼ・ヘルエスタさん加賀美ハヤトさん山神カルタさんフレン・E・ルスタリオさんの6人が全22曲を披露した約2時間半のライブをレポートする。

記事中の画像は、現地で撮影されたオフィシャル写真と配信(ニコニコ生放送タイムシフトは、5月26日の23時59分まで公開中)のスクリーンショット。会場外など一部の画像は、現地を訪れた筆者の撮影した写真を掲載している。

にじさんじライバーは仙台の天候も操る?

2020年~2021年の「にじさんじ JAPAN TOUR 2020 Shout in the Rainbow!」以来、5年ぶり2度目の開催となるにじさんじのライブツアーでトップバッターを務めることになった6人は、ライブ当日よりも前からさまざまな仕掛けでファンを盛り上げていた。約2週間前の4月26日には、「マリカにじさんじ杯」に向けた練習も兼ねて6人で「マリオカート8DX」のコラボ配信を実施。容赦なくアイテムをぶつけ、仲良く煽り合える気が置けない関係性が伝わってきた。そして、5月2日(金)には、仙台公演に向けて制作されたオリジナルの自己紹介曲「ZUNDA!アッパレ☆運命」のMVを公開し、コールアンドレスポンスの練習動画など6人でのショート動画も多数投稿。単なる告知だけではない様々な形で、ツアー開幕への注目度を高めていった。

ライブ当日の仙台は、朝から少し強めの雨が降るあいにくの空模様。一部ファンの間で注目されていた「雨女」のリゼさん&フレンさんと、「晴れ男」の加賀美さんの対決は、雨女コンビの圧勝かと思われた。ところが、加賀美さんがXで「すみません、午後までにはこの雨止ませますので……。」と投稿すると、雨は次第に小降りになっていく。そして、本当に午後までには雨が止み、現地のファンたちを驚かせた。

会場のロビーには寄せ書きコーナーがあり、大勢のファンが熱い思いを記していた

仙台サンプラザホールの客席は3階まであり、コンサート使用時の収容人数は2054席。しかし、同規模の一般的なホールに比べると、ステージから客席最後列までの距離が少し短い印象で、2階の記者席からもステージがかなり近くに感じられた。開演を待つ間、会場には各出演者の配信での待機曲が順番に流れていたが、「ZUNDA!アッパレ☆運命」のインストが流れ始めると、ショート動画で予習済みのファンは、ペンライトを振りながらコールを入れ始める。歌声の無い状態でもコールの声は奇麗に揃い、客席からは我ながら驚いているような笑い声が聞こえてきた。

出演者全員による和気あいあいとした影ナレの後、ステージの奥で円陣を組んでいるであろう6人の気合い入れの声が客席まで届く。そして、ステージに設置されたかなり横長な長方形のディスプレイでオープニング映像の流れ始めると。聴こえてくるのは、5年前にも全国の会場で聴いた曲、「にじさんじ JAPAN TOUR 2020 Shout in the Rainbow!」のオープニング曲だ。

オープニングが終わり暗転した会場がカウントダウン後、再び明るくなると、ステージには通常衣装姿の6人が並んでいる。最初の曲は、「春夏秋冬」をコンセプトにしたにじさんじの季節ソングの中から春曲の「Budding!」。約半年で全7公演が開催されるワールドツアーの始まりを告げるに相応しく、ワクワク感にあふれたポジティブな楽曲だ。

ヘッドセットマイクを付けた6人は、サビでは大きく手を振りながらステージを左右に歩き、前方の観客や配信用カメラにも目を合わせるようにしながら歌っていく。6人のステージングや会場の盛り上がりも含めて、まるで、もうライブ終盤かと思うような雰囲気だ。6人の歌声はそれぞれに個性的で、奇麗に響くユニゾンの中でもはっきりと聴き分けられることが心地良い。曲が終わると同時に加賀美さんが「仙台公演が! ワールドツアーが! 始まるぞー!」と絶叫。5人と観客も「イエーイ!」と続く。

仙台公演オリジナル曲をライブ初披露!

最初のMCでは、一人ずつ自己紹介。リゼさんとフレンさんが雨女であることを語った後のりりむさんは、「雨女か? 晴れ女か? どちらかと言うと可愛い女、りりむでーす」とコメント。「可愛すぎるだろ!」と思っていると、客席からも「可愛いー」という声が響いた。加賀美さんと卯月さんも天気ネタを続けたため、最後の山神さんのハードルは上がっていたが、「晴れ女か雨女かで言ったら、皆さんの生きがいこと山神カルタでーす」と、力技で上手く自分のキャッチコピーに繋げて締めた。にじさんじの全体ライブへの出演は今回が初めての山神さんだが、過度な緊張は感じられない。

コーレスの練習をした後の2曲目は、仙台公演オリジナル曲で、もちろんライブでは初披露となる「ZUNDA!アッパレ☆運命」。ソロパートの歌詞が各ライバーの自己紹介となっている曲で、トップバッターはフレンさん。笑顔で軽快に歌って踊るフレンさんは、くるりとターンしながら光に包まれて、にじさんじ共通衣装に変身。6人が順番に着替えていく流れが判明した。

2番手は、メンバーの中で唯一、この公演で共通衣装が初披露となる山神さん。公開されていた歌詞を少しアレンジして「みんな、おまたせーいくよー」と叫ぶと、周りの5人と観客が声を合わせて「3、2、1、」とカウント。光の中、憧れとこだわりのつまった共通衣装に変身する。

山神さんは、EDMに変わったメロディに合わせて、「私だけみて」と歌いながら、「にじさんじダンス部」の活動などでも以前から定評のある華麗なダンスを披露。見慣れた修験装束風衣装からライブ仕様の共通衣装に着替えた瞬間、格好良さも可愛さもアップし、ダンスのキレも増した気がした。歌詞にもリンクしたこの演出は、当然、「ZUNDA!アッパレ☆運命」の制作時点から考えられていたものだろう。

卯月さんは、「シャブ!シャブ!シャブ!シャブ!」と伝説の「鍋ラップ」を2000人収容の大ホールで歌い、りりむさんは、この曲でも会場中に可愛さを振り撒く。リゼさんのパートは、「雨女!」という元の歌詞にあるツッコミに「本当に降った!」と続くライブアレンジ。ラストは、加賀美さんの圧倒的なパワーボーカルがさらに会場の熱気を増していく。

山神さんの共通衣装のこだわりや、卯月さんと加賀美さんの新ヘアアレンジについても紹介したMC後、ソロステージのトップバッターを務めたのは、山神さん。「やまをこのステージまで連れてきてくれて、本当にありがとうございます」と感謝の思いを語ると、以前からやりたいと語っていた座右の銘「人生どうでもEDM」のコーレスも実現。「今からやま、格好良くなるから見ててね」と可愛く宣言した後、Reol の大ヒット曲「第六感」をカバーした。

山神さんは、伸びやかな歌声を響かせながらも、ステージ全体を広く使って踊り続ける。美しい全身のシルエットは激しいステップを踏んでも崩れることがなく、指先まで神経が行き届いた腕の動きも表情豊か。途中、扇子を使った振り付けで、通常衣装とシナジーのある「和」の空気も感じさせる。ライバーデビューから約5年半、憧れのステージに立つまでの時間や経験が凝縮されたような濃密なパフォーマンスだった。

幻の曲「アイシー」が復活&ライブ初披露

4曲目は、ゲーム「龍が如く」に関するアドバイスをきっかけに「加賀美のおじき」「リゼのお嬢」と呼び合うようになった加賀美さんとリゼさんのユニット「双龍会」EGOIST「名前のない怪物」をカバー。加賀美さんの歌声は普段よりもさらに高音まで響き、リゼさんの歌声は普段よりも重く力強い。まるでお互いに歩み寄るような形で成立している奇麗なハーモニーが特に印象的だった。

楽しげに両手を振りながらステージに登場したりりむさんが歌うのは、ボカロ曲「こどものしくみ」。ピンクの光で染まった会場で歌って踊るサキュバスの少女は、全身からあふれ出る可愛さで人々を魅了。2階席から見える限り、性別などは関係なく、ほとんどの観客がピンクのペンライトを激しく振り続けている。地声や一つ一つの仕草などの可愛さは理解していたのだが、ボカロ曲ならではの高音パートもステージ上でなんなく歌い切る安定感には驚かされた。

りりむさんと「だるまさんが転んだ」をしながら登場した卯月さんは、少し緊張している様子。いつも名コンビぶりを見せているりりむさんに対して、なぜか敬語で話してツッコまれる。りりむさんが舞台袖に下がりステージで1人になると、観客にペンライトではなく、スマホの光でステージを照らして欲しいとリクエスト。2022年2月のにじさんじ4周年記念ライブ「FANTASIA」で「脱法ロック」を歌った時の心境も振り返りながら、この後に歌うのは「みんなに照らされて歌いたい曲」と説明した。さらに、「俺が初めて出したオリジナル曲です」と続けると、客席からは大歓声が上がる。6曲目は、2019年6月22日にYouTubeで公開され、約1週間後に非公開となった幻の曲「アイシー」だ。

「オリジナル曲を非公開にします。詳しい理由は言えないけど、揉め事とかそういうのではないです。ごめんなさい」というtwitterでの報告後、6年間非公開になっていた曲で(仙台公演後に再公開)、当然、ライブで歌われるのも初めて。「アイシー」の存在を知る卯月さんファンの感情の高ぶりは、周囲の事情を知らない人たちにも伝わったようで、何か特別なことが起きているという空気感は、卯月さんが歌い始める前から会場全体に広がっていた。さまざまな方向に感情を揺さぶる「エモ」な配信者として人気の卯月さんは、魂のこもった歌声でも聞き手の心を震わせていく。VTuber界の初代「ライブ王」には、音楽ライブのソロステージでも王冠がよく似合う。

7曲目からは、5曲連続でデュエットが続く。想像以上に仲良し全開のステージに驚いたのが、9曲目にボカロ曲「Booo!」を歌ったリゼさんとフレンさん。

2020年から毎年のようにクリスマスイブにコラボをするなど仲良しで知られる2人だが、フレンさんがリゼさんへの大きな愛情を隠さずにぶつけるのに対して、照れもあるのかリゼさんはスルーや塩対応もしがちな印象。しかし、「Booo!」を歌う2人は、見つめ合ったり手を繋いだり、普段はあまり見られないほどストレートな仲良しっぷりを見せてくれる。パフォーマンス直後には、1階席の男性ファンから「ありがとう!」という叫び声も聞こえた。気持ちは分かる。

11曲目では、卯月さんと加賀美さんが、猫舘こたつさん作曲の「黙ってロックをやれて言ってんの!」を熱唱。終盤、加賀美さんが「オン、ギター! 猫舘こたつ!」と叫ぶと、二人の背後のディスプレイには、ギターソロを演奏する作者本人の姿が映る。

VTuberと生バンドの競演はよくあるが、こういった形での競演を見るのは初めて。そして、男臭いロックの後の12曲目では、女性陣4人がボカロ曲「気まぐれメルシィ」を可愛く披露。緩急のある構成が面白い。

MCを挟んだ13曲目は、加賀美さんがソロで登場。にじさんじの中でも有数の実力派ボーカリストは、ボカロ曲「地球最後の告白を」を熱く、しかし、一言一言、丁寧に歌い上げていく。スケール感の大きなサビでの歌声の広がりと表現の豊かさは特に印象深く、間奏で叫んだ言葉は、会場をさらに熱くした。

「『Shout in the Rainbow!』から5年。東京で、広島で、福岡で、神戸で、横浜で、名古屋で! そして、この仙台で! 新たな虹をかけられて良かった! ありがとう!」

ラストは、加賀美さんの真骨頂とも言えるロングトーンを連発。スッと頭を下げて、「ありがとうございました」と退場する姿まで絵になる。

2曲目のオリジナル曲をサプライズで披露!

2月の「にじさんじフェス2025」で、お笑いコンビ・クールポコの餅つきネタをパク……オマージュしたハイレベルな漫才を披露して話題を集めた卯月さんとリゼさんは、14曲目でヨルシカ「月光浴」をカバー。一人でステージに登場したリゼさんが一番を歌い、サビでは卯月さんが声だけでコーラス参加。二番はステージに登場した卯月さんが歌って、コーラスをリゼさん。最後は二人でという凝った歌詞割りだ。

静かな水面を映した背景の映像と抑えた照明の光が静謐な空間を作り出し、二人が三角座りになって水面に映る月を見ているラストの構図も美しい。芸人からアーティストまで幅広くこなせるゴールデンコンビだ。

15曲目は、フレンさんがソロで登場。「みんなの全部、ここでぶつけて!」と叫び客席を煽ると、大ヒットゲーム「学園アイドルマスター」で歌唱力抜群のアイドル月村手毬(CV:小鹿なお)が歌う「Luna say maybe」をカバー。疾走感にあふれ息継ぎポイントを見失いそうな難曲をフレンさんらしい多幸感に満ちた声と笑顔で歌い上げていく。ラストのフレーズを歌う前には、一瞬、涙声になりかけたが、グッと持ち直して歌い切った。

昨年11月の配信で天動説の信奉者だったことが明らかになり、マリカ杯では「恥。」という二つ名を付けられるなどポンコツエピソードも多いフレンさんだが、ステージ上のパフォーマンスでは常にハイスペックぶりを見せる。舞台袖から出てきた加賀美さんも「この後、自分は、どんな顔をして出てくれば良いんですか! めちゃくちゃ良かったです!」と語っていた。

加賀美さんとフレンさんの「ロキ」を聴きながら、「今日は、古のボカロ曲も多いな」などと思っていた後の17曲目、リゼさんもまさに古の人気ボカロ曲「ワールドイズマイン」をカバー。にじさんじを代表するお姫さまは、豪奢な椅子に座ったまま、左右に黒いスーツを着た4人のダンサーを従えて登場。

椅子から立ち上がると、ダンサーから渡されたステッキを手に可愛くステップを踏みながら、ライバー仲間からも「クリスタル」と賞賛される美声で歌い上げていく。ラスト、シャウト気味の超高音ロングトーンには、客席から大きな歓声と拍手が起こった。

仙台公演で実現した組み合わせの中、選曲も含めて最も驚いたのが、18曲目にマキシマム ザ ホルモン「糞ブレイキン脳ブレイキン・リリィ」をカバーしたりりむさんと加賀美さん。加賀美さんと並んでモニタースピーカーに足をかけながら、ヘドバンしながら歌うりりむさんも可愛い。

19曲目は、卯月さん、加賀美さん、山神さん、フレンさんの4人でnobodyknows+ 「ココロオドル」をカバー。卯月さんと加賀美さんのラップの上手さは知っていたが、山神さんとフレンさんのラップの格好良さにも驚いた。

りりむさんとリゼさんも合流し、6人全員で最後のMC。グッズ紹介などの告知の後、一人ずつ感想などを語っていく。2人目のリゼさんは、一瞬、泣きそうになりながらも持ち直したが、5人目のフレンさんは完全に涙声。しかし、言葉に詰まることはなく感謝の思いを語っていく。

最後の山神さんは笑顔で語りはじめるが、思いを言葉にしようとしたところで感極まったのか一気に涙声に。それでも一言一言、丁寧に語っていく。

「こういうステージに立つことを夢に活動を頑張ってきて。これから先の活動で、くじけそうになっちゃったり、頑張れないと思っちゃったりする時もあると思うんですけど。この公演が絶対、これからの私の活動の支えになるなと思っています。そんな公演をこの仙台メンバーのみんなと一緒にできたのが本当に良かったし、会場が真っ青に染まっているところとか見れて、本当に良かったです。仙台メンバーのみんなも、観に来てくださった皆さんも、観てくださった皆さんも本当にありがとうございました」

客席からの「ありがとう」という返事と拍手を聴いて笑顔になる山神さん。「ありがとう」と笑って手を振りながら、「こんな泣くつもりじゃなかったのに」と照れる姿も愛らしい。そして、山神さんから「お返しします」と振られた加賀美さんからは、おそらく客席の誰も想像していなかった、この公演最大のサプライズが明かされた。

「言い忘れてたことがありました! この日のために、オリジナル曲、もう1曲、作ったぞ!」

「もう1曲」というワードが聞こえた瞬間、客席がどよめく。「ZUNDA!アッパレ☆運命」が公開された時、一度限りの公演に向けてオリジナル曲を作ったことに驚いたのだが、それが2曲もあるとは、まったくの予想外だ。加賀美さんが合図をすると、バラバラな高さのマイクスタンドが出現。卯月さんが怪獣映画やホラー映画のモブ役のように腰を抜かして大げさに驚いてみせ、客席を沸かせる。タイトルも初公開となる仙台公演本編最後の曲は、「鐘が鳴る場所で」。曲が流れ始めるまで少し時間がかかり「トラブルかな」と心配したが無事にスタート。自己紹介曲の「ZUNDA」は、仙台メンバーの一人一人の個性をフィーチャーした歌詞だったが、もう一つの仙台オリジナル曲の歌詞は、仙台メンバーやライバーに限らず、何かを追い求める人へのエールが込められているような曲だった。

終盤では、6人の右手から輝く光が放たれて、手振りに合わせて奇麗な軌跡を描いていく。最初の曲でも思ったことだが、6人の歌声が重なっていても、はっきりとした個性によって奇麗に聴き分けられる。最後の加賀美さんのシャウト後、会場は暗転。客席からは、すぐに6人との再会を求める手拍子とコールが始まった。

フィナーレは、全員での「Virtual to LIVE」

にじさんじ7周年記念楽曲「Arc goes oN」のイントロと共に会場が明るくなり、ステージに6人が登場、アンコールが始まった。細かく歌詞割りされた曲をソロ、二人ずつ、全員など、さまざまな組み合わせで歌いあげ、一緒に歌う相手とは隣り合って立ち、ソロの時にはセンターに入るなど複雑なフォーメーションでも魅せる。冒頭や大サビ頭のソロなどは、山神さんが担当。仙台公演のヒロインとして、ピュアさと華やさを兼ね備えた歌声をホールに響かせた。また、二人ずつ歌っていくパートで、加賀美さんとフレンさん、りりむさんと山神さんが歌っている間、下手側では卯月さんとリゼさんがエアギター&エアベース。ところが、急に卯月さんが餅つきの体勢になり、少し戸惑いながらも一瞬は乗っかったリゼさん。しかし、すぐにツッコミを入れた。6人で円陣を組んで歌うパートもグッと来る。

最新のにじさんじの全体曲が終わり、会場が暗転すると、ステージ上には大きな時計が表示された。1時10分を指している時計の針が巻き戻り、もう一度、動き出すと、最初のにじさんじ全体曲のイントロが聴こえてくる。大歓声の中、この6人で歌う最後の曲は、にじさんじのシンボル月ノ美兎さん「にじさんじの国歌」と表現した「Virtual to LIVE」。加賀美さんが叫んだ「やっぱり最後はこの曲だ!」という言葉に心の底から同意する。

これが最後の曲だからか、「Virtual to LIVE」という曲がそうさせるのかは分からないが、6人の動きも表情も歌声も非常にリラックスした雰囲気。観客に歌声を聴かせているというよりは、一緒にライブを楽しんでいるようだった。先日の月ノ美兎さんのワンマンライブで少し久しぶりに「Virtual to LIVE」を聴けて感動したのだが、にじさんじ7周年の今年は、この先も国歌を聴ける機会は多そうだ。

にじさんじライブの恒例、ARカメラでの記念撮影後、一人ずつ感謝のメッセージを語っていく6人。そして、名残惜しいがあとは退場するだけの流れとなったところで、最後のMCを回していた加賀美さんが5人に向かって「流れとか(気にしなくて)いいですよ。まだ、実はこれをやりたかったとか、言いたいことかあったら(言って)」と声をかけると、フレンさんが「私、一個だけある」と返事。横に並ぶ仲間たちの方を向き、「このメンバーで本当に良かった。ありがとう。(客席に向かって)本当にいろいろあったんです。でも、このメンバーだから、乗り越えられました」と感謝を伝えながら、深々と頭を下げた。そして、最後の最後は、加賀美さんの音頭でライバーも観客もお互いに「ありがとうございました」と伝え合い、5年ぶりとなるにじさんじのツアー最初の公演は終了した。

「にじさんじ WORLD TOUR 2025 Singin’ in the Rainbow!」のトップバッターという重要なポジションで、最高のスタートダッシュを決めた仙台公演。6人のライバー一人一人の個性の違いやこれまでの歩みを随所に感じられるライブだった。加えて、オリジナル曲を二曲も披露するというイレギュラーであろう企画が実現したのは、おそらく、それを牽引できるライバーが二人揃ったからだろう。それぞれの曲のMVが公開されたYouTubeチャンネルからも推測できたが、ライブ後の感想配信などで語られているように「ZUNDA!アッパレ☆運命」はリゼさん、「鐘が鳴る場所で」は加賀美さんが中心となって製作された曲だ。

にじさんじが7周年を迎えた今年3月には、海外勢を含むにじさんじライバーの大半が参加したXでの7周年記念グリーティングカードのポスト企画を発案し、200枚近いグリーティングカードの準備まで行った加賀美さんとリゼさん。さすが「社長」と「皇女」と思わせるリーダーシップに、ファンを楽しませたいと願うサービス精神や企画力。そして、本人たちの自覚は無さそうだが、利他的精神を持っている二人が一緒に行動したからこそ成立した7周年企画だったはず。仙台公演でも、そんな「双龍会」の二人が揃い、他の仲間たちが支えたことで、オリジナル曲を2曲製作するという飛び道具のような企画が実現したのだろう。

終演後のステージには、観客も撮影可能な6人からのメッセージが映し出された

6月22日(日)に開催される名古屋公演以降の6公演でもきっと、それぞれの公演のメンバーだからこその魅力や見どころが数多く生まれることは間違いない。来年1月18日(日)の東京公演まで、にじさんじリスナーにとっては、楽しみな7周年のお祝いが続いていきそうだ。

ちなみに、終演後すぐに会場を出ると、傘が必須なほど強めの雨が降っていた。やはり、2対1のハンデ戦では、晴れ男な加賀美さんでも耐えきれなかったようだ。

終演後のロビーには、メンバーのサイン入りフラッグと並んで寄せ書きされたフラッグも展示

(C)ANYCOLOR, Inc.

(TEXT by Daisuke Marumoto

●関連リンク
・「にじさんじ WORLD TOUR 2025 Singin’ in the Rainbow!」公式サイト
・仙台公演配信ページ(ニコニコ生放送)
・にじさんじ(X)
・にじさんじ(YouTube)