KYOCERAがまたVRChatでマニアックな社会科見学をやっているらしい 「マニュファクチャリングワールド」シーズン1公開

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京セラは6月、VRChat上のワールド「マニュファクチャリングワールド」を新たにオープンした。今回オープンするのは、「切削工具の長寿命化のためのコーティング技術PVD」「光通信用セラミックパッケージの活用」「水晶デバイス進化の歴史」という3つのテーマに沿った3つのワールド。

とはいえ、文字だけ見ても見慣れない単語の羅列に、「つまり、どういうこと?」と感じるのも無理はない。ここで、京セラが過去にVRChat上でどのような活動をしてきたか、おさらいしてみよう。

2023年実施「レーザー製品」ワールド
2024年実施「高耐久スマートフォン」ワールド

●過去記事
水中に潜るライドが楽しい! 京セラ・VRChat上の展示ブースで未来の通信を体感しよう
VRだから、物流倉庫でスマホが役立つシーンを実感! 京セラ、スマート物流EXPO展示のVRChatワールドを体験してきた
【ツアーレポート】VRChatでワクワクな社会科見学、3日限定ツアーも 京セラ「ファインセラミック」ワールドオープン

以前から、「レーザー製品」や「高耐久スマートフォン」など、特定の業界で使われているけど一般的には知られていないような、マニアックとも言える自社製品を、遊びながら楽しめるVRChatのワールドとして展開してきた。その新たな展開として「マニュファクチャリング=製造」そのものの面白さを体験してもらうワールドを公開したのが今回の取り組みだ。

今回公開している部分はシーズン1、10月にシーズン2として順次公開するとのこと。どうして二回に分けたのか聞いたところ「製造技術に着目したワールドを作ったが、いきなり詰め込むと難しいと思われてしまうかも」とのこと。

6月11日(水)~13日(金)の3日間、1日3回(20時、21時、22時)公式によるガイドツアーも実施。ぜひ、フレンドと遊びに行って、マニアックな世界をのぞきに行ってみて欲しい。


手広すぎる! 切削工具、水晶デバイス、半導体セラミックパッケージの世界

今回のリリースでは、「切削工具フロア」、「電子部品フロア」、「半導体セラミックパッケージフロア」3つのワールドに分かれて、京セラ製品の製造そのものを楽しめる内容になっている。


●切削工具エリア

切削工具「マシニングセンタ」

金属を加工するための「切削工具」。日頃家庭用で使う刃物や工具もそうだが、やはり摩耗などの劣化は避けられない。特に24時間稼働しつづけて金属を加工している工具ともなると、使わない時間に手入れして……というような事は難しいため、長く使用できる事が求められる。その為のメンテナンスにはいくつかの方法があるとのことだが、今回は「PVDコーティング技術」という技術の過程を見ることができる。

ちなみにこの「PVD」とは、「物理蒸着」の英語訳なのだとか。中二心をそそられるワードだと思いませんか?

切削チップが……
真空炉の中に格納される

実際には設置されている切削チップを真空炉に作業員が押し込むそうだが、VRChat上ではボタンを押すことでアニメーションとして自動で動く様子が見える。少し味けないギミックに感じるかもしれないが、もちろん、これだけでは終わらないのが京セラのワールド!

真空炉の中

「真空炉の中に入る」ボタンを押すことで、外から見ていた炉の中に入る事が可能。外から見ていた切削チップの大きさを見ると、自身が小人サイズになっていることがわかる。

金属イオン視点から見た切削チップ

「コーティング開始」ボタンを押すと、400度の高温と真空という状態によって金属が気体化し、その金属に電気を放射することによってプラズマ化した金属イオンとなり、切削チップにコーティングされる様子を見ることができる。

さらに「切削チップ視点」「金属イオン視点」どちらかの視点でPVDコーティングの工程を体験できるので、ぜひアトラクションとして楽しんでいただきたい。切削チップ視点だとかなりぐるぐる回るので、酔いやすい方は金属イオン視点がいいだろう(*最後には切削チップ側にコーティングされて、少しの間回ります)。

画面左の切削チップが黄色くなったのはコーティングされた印。奥で光っているのがヒーター。

色が変わるとコーティングできたということらしい。初めは黒かった切削チップが黄色くなり、PVDコーティング完了。これによって摩耗等による劣化が防がれ、マシニングセンタの長寿命化を実現しているのだという。


●電子部品フロア

人工水晶を使った「水晶デバイス」を説明するフロアだという「電子部品フロア」。ここでは、腕時計の歴史を振り返りながら、「水晶デバイス」がどのように活用されているのかを見る事ができる。

機械式時計

これはぜひ実際に見ていただきたいのだが、各パーツが連動して動いてる様子は見ていると気持ちいい。この機械式時計のモデル制作はなんと、京セラの若手社員が担当したとのことで、納得のリアルさだ。

一定のリズムで歯車が回る仕組みによって、時計が正確に動作するということだ。

クォーツ式時計
スマートウォッチ

この正確に動き続ける部分を「タイミングデバイス」と呼び、水晶を用いることで小型化・高精度化に成功したのがクォーツ式時計。そこから現代のスマートウォッチに至っているという進化を辿っている。


●半導体セラミックパッケージフロア

先ほど紹介した切削チップも水晶デバイスも、すべてセラミックでできているという。実は「京セラ」の「セラ」は「セラミック」であることは、専用のワールドを展開した際にも伺った(関連記事)。

QSFP TOSAパッケージ
光トランシーバー、サーバー(左から)

今回3つの「マニュファクチャリングワールド」では京セラ製品の製造について遊びながら見て楽しめるものとして、最後はインターネットの技術にも京セラ製品が関わっているというところを見ていく。

このフロアで紹介しているのが、モジュール類を格納するためのケース。たかがケースと侮れないのが、何かがあったらクリティカルな問題に直結するものだけに、機密性や耐久性に優れたものであることはもちろん、電気信号や高品質な光を通す必要があるなど、高性能なケースである必要があるという。

フロアの奥にはサーバールームがあり、実際にどのように使われているのか見ることができる。ラック式のサーバーが立ち並ぶデータセンターになっており、日頃利用するあらゆるインターネット上のサービスの多くも、データセンターにアクセスして買い物をしたり動画を見たりしている。

つまり、生活になくてはならないインターネットを支える製品ということだ。

しっかりとサーバーの駆動音が響いているのがリアル。ぜひワールド音量を100に設定しておこう。


【シーズン2】は10月オープンの前後編方式!

ここまでが今回公開されている【シーズン1】の全てになる。切削工具、水晶デバイス、半導体セラミックパッケージといった、ほとんどの方にとっては聞きなれないものの仕組みがわかったり、実は身近だったと感じたかもしれない。

電子部品フロアの未公開エリア
半導体セラミックパッケージフロアの未公開エリア

電子部品フロア、半導体セラミックパッケージフロアの一部入れない未公開ゾーンを【シーズン2】として、10月に公開される。それぞれ、「水晶デバイスの製造過程について」、「多層セラミックパッケージの製造について」のエリアだという。

今回、「切削工具フロア」、「電子部品フロア」、「半導体セラミックパッケージフロア」と、すべてセラミックが用いられているということはわかったが、その広すぎる手札に驚いてしまった。しかし、これらはすべて「シーズン2に来れば、あ!繋がってる!って思っていただけるはず」とのこと。

10月にも体験して「そういうことだったのか~!」と感じたいと思う。


●ツアー概要
・開催期間:2025年6月11日(水) 〜 13日(金)
・開始時間:20時、21時、22時、の1日3回のガイド付きツアー
・プラットフォーム :VRChat
・参加方法 :VRChatID:kyocera1 にフレンド申請してJoin(Friend+開催)


(TEXT by ササニシキ


●関連リンク
京セラ株式会社