
バーチャルガールズHIPHOPユニット・KMNZが、6月25日にCLUB CITTA’にてワンマンライブ「AREA111」(エリアワンワンワン)を開催する(配信ページ)。
同グループは2018年6月にデビューし、さまざまなライブやイベントに出演して、「KMNVERSE」「KMNROUND」「KMNSTREET」と3枚のアルバムをリリースするなど、存在感を発揮し続けてきた。
2023年末にメンバーのリズが活動を休止するが、約半年後となる2025年5月にティナとネロの2人が加入し、現体制となって活動を再始動。2025年1月には「KMNCULTURE」をリリースするとともに、同名となる3rdワンマンライブ「KMNCULTURE」を開催。「再生」を告げた一夜は、渋谷 Spotify O-EASTを大きな熱狂に包んだのだった。
そんなライブから早5ヶ月、次なるワンマンライブ「AREA111」が開催されるとのことで、彼女ら3人にインタビューを敢行した。押しの強いネロ、遠目から笑うティナ、そんな2人を優しく見守るリタ。そのコミュニケーションと掛け合いは面白く、インタビューは終始笑顔に溢れていた。
新体制となってから約1年経過したいま、改めて「KMNZ3人の団結」を感じさせてくれる対話を読むことができるはずだ。
私たち2人のモチーフをネイルにいれているんですよ!
──最初に3人が最初に出会ったときのお互いの印象はどうだったのか、新体制になってから1年経過して今どんな印象を持たれてるのかをお聞きしたいです。
ティナ 2人に関しての印象は最初から今まで変わってないんですよ。最初からすごいおもろいことに全力で、ゲラで、素直で、裏表ないっていう。1年を経て好きな食べ物、嫌いな食べ物とか、そういう情報は増えてたけど、印象自体は今もなんか変わってないです。だからこそ3人でうまく活動できたのかなってめっちゃ思っています。
──配信やSNS上でのやり取りとか見たうえでお聞きしますが、リタさんとネロさんがティナさんを笑わせるみたいな流れがあるそうで。1年かけてその関係性が熟成されてきたのかな?って感じるんですけど、ティナさん的にはどうでしょう?
ティナ それは自分がゲラで、ツボが浅いっていうのもあって、結構初期の段階からずっと1人で笑ってたなっていう感覚はあります(笑)。でも2人が狙いに来たのは半年ほど経過してたあたりからですかね。嫌がらせとかイジりをしはじめてきたんですよ。2人が(笑)
ネロ 文字にして書くとマジでやばそう。
ティナ いやぁー本当に、いじめてきたんですよ、ある日を境に! 突然もうやばい、すごいくらい!(笑)
リタ 押しつぶされたりね。
ネロ そうね、押しつぶしたり、挟みつぶしてます(笑)
リタ 3人でタクシー乗ったとき、ティナを間に乗せて2人でぎゅーっとするんですよ。
──3人の絵が浮かびます。ぎゅーってね。
ネロ おしくらまんじゅうみたいなね?
リタ いい! いい言い換え!
ティナ そういう強めな愛情があります(笑)
ネロ エレベーターとかタクシーで基本的に起こりがちで、抱きしめることが多いですね。
──そんなネロさんはいかがでしょう? デビューした当初と1年経過した印象について。
ネロ そうですね……リタ姉は最初怖かったんですよ。最初の頃は「あ、うっす。」「ちっす」っていう感じだったんですけど、最初の2か月くらいですぐに打ち解けましたね。いまでは可愛い年上のお姉ちゃんっていう感じですね。
ティナ わたしの方が年下なんですけど、良い意味で私たちのことを年下だと思っていない感じで、友達よりも友達みたいな……不思議な感じの関係になってますね。それこそリタ姉のいまのネイルを見てもらいたいんですよ!
──見れない代わりにどのようなネイルを説明してもらえると嬉しいです(笑)
ネロ そうっすよね!?(笑)。私たち2人のモチーフをネイルにいれているんですよ!
リタ ライブに向けてね。
ネロ たぶん家族だと思ってくれてるんだろうなと感じられて、嬉しかったです。
──リタさんはどうでしょう?
リタ ティナもネロも途中から入ってきてくれて、最初は共通して謙虚で礼儀正しい感じでした。別に消極的という感じではなく、むしろ2人ともちょっとどっしりとしてる感じもあったかなって。
最初に私が会ったときから、さっきみたいなネロが面白いことしてティナがずっとツボって笑ってるっていう構図だったんです。そんな2人の関係性があるなかでうまく溶け込めるかな?って思ってたんですけど、心配する間もなく溶け込んでいきましたね。
ネロは面白くてハツラツとした子だなぁと思ってて、今もそこは別に変わってないんですけど、この1年でそれにプラスして繊細な面やストイックな面もかなり見えてきたなと思ってます。
ティナはなんかあんまり喋らなくてマイペースな感じの印象だったんですけど、いまは自分の意見を適切なタイミングと言い方で伝えられて、状況においての自分の役回りを分かった上で喋ってる感じがすごくするんです。実は最年少だけど、バランスタイプだなと思っています。
──長女がリタさん、三女がティナさん、ネロさんが次女みたいなイメージがさらっと出てきました。こう、ギクシャクしちゃって……みたいなのが今こうしてお話をしてても一切想像できないレベルです。
リタ そうですね。そういうのはこの1年で一瞬たりともないです。
ネロ 一瞬たりともないね。あってもいいと思う。そろそろギクシャクしてみようかなと思ってたんですよ、今度チャレンジしようと思います。ただちょっとタイミングがなかったですね。

──取材にあたって色々事前に調べてたんですけど、お三方にお聞きしますね?
リタ お、なんだろう。
──ネロさんは先生になるのが夢、目標だったとお伺いしました。これはいつ頃のお話なんでしょう?
ネロ 小5の時にめちゃくちゃ好きな先生に出会ったんです。他の先生はやたら怒る先生が多かった中で、担任になったのが褒めて伸ばす人だったんですよ。
いいところを見つけるのが上手くて、「こういう人になりたいな」と。教卓に立って生徒に教えながら人間性も伝えていくみたいな、そういう姿が憧れだったんだと思います。やっぱり出会いが大きかったですね。
──なるほど。ちなみに帽子好きとお聞きしていますが、いまはどの程度ありますか?
ネロ え!? 今からちょっと数えますね。1、2、3、4……
ティナ ほんと帽子屋さんなんですよ、ネロ。
リタ 帽子屋を営んでるんですよ、彼女。
ネロ 15個くらいですね。帽子にハマったというか、ファッションに興味を持ち始めたのが5年くらい前なんですけど、わたしはヘアアレンジがあまり得意じゃなかったので、帽子をかぶってその日の服に合わせてみるとか、そういうのが面白いなって気づいたのがキッカケでしたね。
──次にティナさんにお聞きしたいのですが、音源のミックスができるというのは本当ですか?
ティナ あー、音源のミックスは……趣味ですね。
──趣味でミックスする人ってなかなかいないと思いますよ?(笑)。何でミックスをするようになったんですか?
ティナ 元々は歌よりもミックスがしたくて機材やパソコンを買っていったんです。でもミックスするには歌が必要だなと思って、自分の歌を録音し始めました。音楽でもこういうエンジニア系の方が好きで、実際にそういった職に就くのかなって思ってたくらいだったんですが、いまはこうして歌の方で活動させてもらえてて結構びっくりしてますよ。
──最後にリタさんなんですけど、配信やSNSを通して「ギャルが好き」というお話をされてますが、なにかきっかけがあったり理由があったりするんでしょうか?
リタ ギャルが好きな理由ですか……でもギャルが好きなのは本当に理由がなくて、なんというか遺伝子レベルに刻まれてるんですよ。
──本能的に、先天的に好き?
リタ そう! なんか心が騒ぐんですよね。ちっちゃい頃からギャルっぽい人が好きで、分かりやすくいうと、AKBだと「ともちん」(板野友美)が好きだった。本当に小さい頃からギャルが好きだったので、それが普通だと思ってたんですけど、こうして活動している中で自分の中にある”ギャル愛”がすごいことに気づきましたね(笑)
みんないっしょに「VERSE」「VERSE」「VERSE」で!
──ご回答ありがとうございます。最初に活動する以前、ないしは活動してる現在でもいいのですが、自分が憧れたり参考にしているミュージシャンやシンガーがいたら教えてほしいです。
ネロ わたしは「Official髭男dism」のボーカル・藤原聡さんに憧れていて、ヒゲダン自体にもすごい強い憧れがあって、この間ライブも行ってきたんです。
満員の会場で、ファンの方々にどういう気持ちで音楽をやっているとか、どういうときに聞いてほしいとか、ファンの方々が「ヒゲダンが救いだ」と思ってくれているのと同じように、僕たちは「ファンの皆さんを救いだ」と思っているとか、そういったものを活動の糧にしてやっているから絶対に忘れないでほしいってMCで言ったり、それを歌や音楽でも見せるっていう姿に心がグッと掴まれて。
「私はこの姿になりたかったんだ」と改めて感じました。何年も前からリスペクトしていますね。
──ティナさんはどうでしょう?
ティナ わたしはボカロをずっと聴いてて、人の音楽を聞くようになったのが最近なんです。歌い手さんとかも聴いてたんですが、歌い方とかでいうとまふまふさんの高音の出し方とかにはすごい影響を受けてます。
あとさっき話をしたミックスしたいとか曲作りがしたいというのも、結構まふまふさんの影響が大きくて。同じ音楽のソフトを買ってみたりとかしてましたよ
──それはガチですね。憧れのギタリストと同じギターを買うというのととても似ているなと思います。リタさんはいかがでしょう?
リタ 初めて好きでハマったなって思ったアーティストさんは椎名林檎さんですね。ヒップホップはそのあとから聞き始めて、一人でライブに行くほどハマったのはBiMさんです。ただラップって、全く同じラップ、全く同じフローをするのは1人としていないと思ってるので、ラッパーさんはそれぞれリスペクトしてますね。
──最近だと5lackさんがお好きだみたいな話を配信されてましたね?
リタ めっちゃディグってるっすね。そうです。もともと好きなんですけど、今の自分の気持ちとかには5lackさんがすごいフィットしてて、ハマってます。
──5lackさんが去年出された楽曲はよかったですよね。ゆるいビートの曲でコラボ楽曲になった……
リタ LEXさんとの「5xL」ですよね?わたしもめっちゃ好きなんですよ、あの曲。
──PV含めてとても良かった覚えがあります。
リタ わかるー!めちゃくちゃ良かったですよね、あの曲。
──そんな流れでお聞きしたいんですが、最近ハマった作品はありますか?
リタ 元々飽き性でハマるほどといったところなんですが、最近ハンターハンターを見始めたなってくらいですね。
──ネロさんはありますか?
ネロ わたしはめちゃくちゃありまして、ちょっと前になっちゃうんですけど「僕のヒーローアカデミア」と「ハイキュー!!」は本当に神アニメだなって思って観ていました。アニメ自体もともと見ないタイプだったんですけど、いろいろ触れ始めたのが2~3年前ぐらいで、アニメを特によく見るようになったんです。
その頃から「ヒロアカ」と「ハイキュー!!」はもうずっと心に残り続けてて、永遠のテーマだなというか、何回でも見返したいなって感じてます。
リタ 思い出した。いちばん最初に会った時にワンピースをおすすめしてたんですよ、この子。最初に顔合わせの時に「ワンピースって観たことありますか?めちゃくちゃ面白いんですよ!」って周りの人に言ってて、知らない人がいたらほんとにびっくりするし、面食らうだろうなって(笑)
ネロ こんな話があるくらい、そういった作品やカルチャーは知らないタイプの方だったんで、ちょっとずつ学んでいるところです。
──ティナさんはいかがでしょう?
ティナ 漫画やアニメつながりで言うと、「チ。 ―地球の運動について―」がありましたね。漫画で読んでたんですけど、初めて漫画で声あげて泣いたんですよ。アニメとかだと、映像とか音楽も相まってグッとくるみたい感じがあると思うんですけど、漫画の作画やストーリーだけでぐっと掴まれて、今思い出しただけでも泣きそうですね。
──KMNZのお三方それぞれで、お気に入りの楽曲を1曲あげるならどの曲になるのかなってお聞きしたいんですけど、ティナさんはいかがでしょうか。
ティナ 「SUNDAY NIGHT MAGIC」ですね。この曲には作詞として携わらせてもらっていて、前回のワンマンライブでも大事なポジションに置いてもらったりしてて、みんなの中でもいい曲として受け取ってもらえてるのかなって思ってます。
ネロ えっと……全部っていう選択肢はないですよね?
──できれば1曲でお願いしたいところです(笑)
ネロ うー……本当にいろんな曲があって、みんな大好きなんですけど、「GROWL」と「MIRROR」でどっちしようかな……「MIROOR」にします。
──最新シングルで、配信リリースされましたね。
ネロ 「DROPS」というシングルに入っている1曲で、このシングルは3曲入りになってまして、「DROP IN」「GROWL」「MIRROR」っていう、全くベクトルの違う主役級の曲が3曲揃ってて、三者三様、全部個性が違う曲なんです。
「DROP IN」は、もうクラブぶち上げ系の盛り上げソングで、「GROWL」はドリルビートのダークなラップな感じで全然雰囲気が違う。そのなかで「MIRROR」は5分あるゆったりとした曲なんですけど、キラキラした切ない曲で、ほか2曲と比べても同じアーティストなのか?っていうぐらい全然違う曲になってます。
わたしは「MIRROR」がめっちゃ好きで、自分が歌いやすくて結構得意とするような曲調なんですよね。ゆったりとしているけど程よいビート感がある曲で、まったく聞き飽きない。自分にとってお気に入りの曲です。
──リタさんはいかがでしょう?
リタ ネロと同じで全曲と言いたいところですけど、「VERSE」ですね。個人的に思い入れの強い曲、決心の気持ちが入った曲なんです。「これから3人でやっていくぞ!」という新しく3人になったKMNZにとってのテーマソングや主題歌というイメージ、そしてこの7年くらい活動してきたKMNZ・リタとしてのメインテーマみたいになってます。
ネロ 今後もいろんな楽曲を出していくでしょうけど、これからも「VERSE」は絶対にわたしたち3人にとっての主題歌やテーマソングになるだろうね。
リタ そうだね。歌う側のスキルやテクニックがめちゃくちゃ難しくて好きという意味では「GROWL」も好きですけど、
ティナ 正直、リタ姉が「VERSE」と言うと思ってたんですよ。
リタ へへ……譲ってくれるんですよ(笑)
ネロ 気持ちとして、3人全員が「VERSE」を挙げるよね。
リタ みんないっしょに「VERSE」「VERSE」「VERSE」で!(笑)
──3人の中で楽曲の収録時に気にかけていたり、自分の中で注意していることなどはありますか?
ネロ わたしは3人の歌のバランスだったり、MCやトークが被らないことを気にしています。音域や声質が似たりすると、やっぱり3人の魅力がバランスよく届けられないので。
去年の8月に初めてイベント出演したんですけど、撮ってもらった動画を見返したりしていろいろ研究してて、ティナはここにいって、リタ姉はここにいくから、じゃあ私はここかみたいな感じで当てはめて、バランスよく聞こえるようにとレコーディングでもライブでも意識しているところです。
ティナ わたしもまったく同じです。3人のよさがちゃんと活かせるようにバランスを見つつ、収録もトークもやっていますね。
──歌っているときのメロディ、それはメインでもコーラスでもそうですが、2人3人でユニゾンで歌うことがもちろんありますが、そのときも声色変えたり、ちょっと歌い方変えたりというのもしているんですか?
ティナ わたしとネロが一緒に歌うと絶対うちの声のほうが負けちゃうんで、そういうときは結構息を混ぜてノイズっぽい感じの歌声にしようとか、いろいろアイディアは入れていこうとしてます。
──自分は今年1月のワンマンライブとRe:AcTさんとの「POLAR OPPOSITE」での2度見させてもらいましたが、少しずつよくなっていると感じました。お2人が仰っている”被らない”というところ、もちろん音程やピッチを崩さない点でもすごく意識配分されていらっしゃるなと。より今後冴え渡っていくのかなと。
ティナ うれしいです。ありがとうございます。
ネロ そうですね。嬉しいです。冴え渡っていく予定です。
──リタさんはどうでしょう? そもそも2人から3人に増えたことで、以前とは全く異なる形になるのかなと思ったんですけど。
リタ 仰るとおりです。やっぱり今までとやり方が違うので、一番困惑しつつ、一番気にせずにやらせてもらっているという感じなんです。いまはネロとティナの2人が合わせてくれようとしているところがすごくあるので、好きにやれる部分が大きいんですよね。
以前の2人体制の時は、MCは自分がだいぶ喋る役割が多かったんですけど、そのペースでいまの3人大声で喋ると喋りすぎてることがあるので、2人に喋るのは任せて、歌は好きにやらせてもらっています。
──仮歌の段階でメインボーカルやコーラスの部分を聞いて歌ってみる、3人で合わせると、やはりリタさんがメインボーカルを取ることが多いと思うんです。その中で「このキー出せないしどうしよう?」とか困った瞬間はありますか?
リタ わたしの声は少し浮遊感のある声質なので、以前までだとハモりのパートを当てられがちだったんですけど、実はわたし自身はハモリパートを歌うのがすごく苦手で、結構苦戦していたところがあったんですよ。
最近は3人体制になった影響なのかはわからないですが、ハモリパートを歌うパートがグっと少なくなっていて。個人的には大変助かっていつつ、これじゃあ歌がうまくならないよなと葛藤しているところですね。これからの課題だと思って取り組んでいきたいですね。
──何とも意外なお話です。
ティナ ライブ中の煽り方もさ、結構困ってなかったっけ? 最初の方。煽ろうと思ったら3人全員がしゃべりだしちゃったりとか
リタ 確かにあったね。
ネロ 最近はめっちゃタイミングを察して、ここはリタ姉行ったほうが良いかもとか考えるよね。
ティナ リタ姉的にどうなの?
リタ うーん。そこはネロが結構オラオラオラァ!ってやってくれるからね。
ティナ そっか、パッションでいっちゃう感じね。
──ライブでもネロさんが引っ張っていきそうな部分はありますよね。
ネロ でも3人のトークをまとめるときとか、2人体制の楽曲のときにわたしがガツガツ話すのは個人的には違うなと思うので、わたしはあくまで盛り上げ役、ぶち上げるときの役割なのかなと思っています。ティナはうちら2人が疲れているときに、落ち着きつつ盛り上げるようなMCをするしね。
リタ 三者三様の煽りができてるし、役割分担はなんとなくできてるのかなと思います。
──今はインタビューの場だからこうやって言葉にしてお話をされてもらったと思うんですけど、普段からこういう話はされるんですか?
ネロ なんとですね、めちゃくちゃしています。それしかしてないですね。
──えっ!? そうなんですね。ライブに向けたリハなどでそういう話しをして、普段の日常会話のなかではさすがにしないという感じですか?
ティナ 日常ではさすがにすることはないかも?
リタ 「近所の犬が可愛かったね」とかしか言わないからね(笑)。3人でお仕事することがやっぱり多いので、ある意味では境目なくやっているかもです。日常の会話もしつつ、「そういえばあの歌のあの部分だけど……」って提案ベースで話す感じですかね。

やり続けてきた結果が、いまここにあるんだなと思って
──最後にライブについて、今回の「AREA111」というライブタイトルにした理由や意味をどのように捉えていますか?
ティナ 縄張りという意味の「AREA」をライブタイトルに使うことで、「ライブ当日の会場は、KMNZとKMNHZで埋めてうちらの縄張りにしよう」みたいな意味合いが込められてます。あとは音とか語感の良さで決めたかな。
ネロ 他にも色々候補あったんですけど、これが結構締まって聞こえるし、いいよねということで「AREA111」になりました。三人三犬なのでそれを表現できるワンワンワンと、ヒップホップに馴染みも深い「AREA」というワードの組み合わせででいい感じだなと。
──今回のライブに向けてどういう意気込みで望んでいますか?
ティナ まず、この「AREA111」が開催される数日前の6月22日はKMNZの7周年を迎えるんです。わたしはまだデビューしたてですけど、ここまで積み上げてきたKMNZの集大成・区切りとして、ちゃんとしたものをお見せしなきゃいけないなという思いもあって、今回は結構新曲も多いので、詰めに詰めて皆さんにお見せしたいですね。
ネロ この短期間でいろんなイベントに出演させてもらって、そのたびに私たちはどんどんどんどん成長を遂げているなというのを自分自身に実感しているところがあるんです。
前回のワンマンが1月15日にあって、今回のワンマンは6月25日。5ヵ月しか経ってないんですけども、目に見える成長があるのではないかなと思ってます。応援してくださっているみなさんに、まずは3人体制でどのくらいもっと成長できて、もっと表現できる歌や音楽があるんだよって伝えたいですね。
あとはさっきティナも言ってくれたように、いろんな楽曲、いろんな色ある曲が増えたので、それを歌って、KMNZ3人はいろんな楽曲が表現できるんだなっていうところも合わせて伝えていきたいなと思います。
──リタさんはどうでしょう?
リタ まず、1月の3rdワンマンから次のワンマンがこんなに近いことがあるんだっていう驚きがありますよ(笑)
──いや本当にそうですね(笑)
リタ この短期間でライブができるのは異例だと思いますし、逆に3rdワンマンとの差をいかに出すか?というところが個人的には課題だと感じてます。3rdワンマンは3人で動き出すスタートダッシュを見せる場だったと思いますし、3人へと体制が変わっても勢いは変わらないし、昔から見てくれているファンに受け入れてもらうための、ハツラツとした雰囲気のライブだったなと思っています。
4thワンマンライブではハツラツさだけじゃなくて、スキルフルなところを見せていけるライブにできればいいなと思っています。なのでこれからのKMNZの可能性を見てもらえるようなライブができたらいいなと思ってます。
──例えば3人それぞれのボーカリストとしてのテクニックだったり、声のよさだったり?
リタ 1人1人のよさもそうですけど、3人グループとしての団結力や相性の良さみたいなのを、今一度見ていただければ嬉しいです。たった5ヵ月くらいとはいえ、そこが3rdワンマンから一番差がついたところかな感じていて、それぞれの特徴を知った私たちが「こういう顔も出せるよ!」っていう可能性を見せられるかなと思います。

──3rdワンマンライブからの約5ヵ月でイベントに出演されたのって何本ぐらいありましたっけ? 5ヶ月で4本とか?
リタ どれくらいだろう。たぶんもっとでてるんじゃないかな? (編註:実際は計10本のライブやイベントへ出演している)
──自分の記憶の中での話なのでおそらくなんですけど、VTuberやバーチャルシンガーと言われてる方々で半年間でこれだけの数のイベントに出てる人、見たことがないんですよ。しかも単にイベント出演しているだけじゃなく、ソロライブも2回することになりますしね。
リタ 確かに。それはそうかもしれないです。
──本当に普通のミュージシャンさんと変わらないペースでライブをやられてて、そこからのワンマンライブなんで、なおさらリスペクトを集めるだろうなと思います。リタさんに向けてひとつ質問がありまして、KMNZさんの楽曲で自分がすごく印象的に感じているのが、リアルとバーチャルに対する言及が多いという点です。リタさんはこれまでKMNZの楽曲でいくつか作詞を担当されていますが、これは意識的に書かれている部分があるのでしょうか?
リタ 3人体制になってからだと「VERSE」のラスト部分とかで「そっちとこっち 触れ合う世界」という歌詞とか書いてたり、まあ確かにそうなんですけど。言われてみるとなんでだろうな……。
KMNZ・リタとしてデビューする以前は、そもそもVTuberに興味があるわけではなかったんです。わたしが活動スタートしたタイミングだとVTuber四天王と呼ばれる方々がいた時期で、そもそも認知がまったくされていない状況でVTuberというものが始まったのを見ているんです。
その時に「リアルとバーチャルをつなぐ役割なんだよ」という話しをとても覚えていて、デビュー曲の「VR」でもそういう歌詞がでてきますよね。
──そうですね。
リタ 最初は「そういうもんだと言われてるからそうなんだ」と思って活動していたんですけど、こうして長く活動しているうちに、少しずつ「確かにそうなんだな」と分かるようになってきたんですよ。「リアルとバーチャルを繋いでる」という実感が湧いてきたし、だんだんと腑に落ちてきたという感じでしたね。
──おっしゃるように2018年頃はVTuberとかバーチャルシンガーは誰も知らないような状況だったんですけど、今ではすごく認知されて受け入れられている状況となっています。3人それぞれにいまのこの状況をどう見ているのかをお聞きしたいです。リタさんは7年ほど活動してきたうえでの見え方になると思いますし、ネロさんとティナさんはまだデビューして日が浅く、かなり浸透していたなかでデビューされたわけで。いかがでしょう?
ネロ わたしは、KMNZのメンバーとしてデビューする前、バーチャルなシーンに関しては全く何も知らない側だったんです。バーチャルシンガーとして音楽を届けていくということで、この活動をしながら知っていった感じでした。
「バーチャル」っていう言葉がつくだけで遠ざけている方々、触れていない人も少なくないと思います。その垣根をKMNZで超えていきたいなっていま思っています。食わず嫌いのように、知るきっかけがあれば好きになったり夢中になれたりすることを知らずにいるのはもったいないなと、私自身がバーチャルを好きになってからそう思いました。
そもそも配信を見るのも、1つの配信で2時間位はあるので、長時間動画を見ることに慣れない方からするとハードルが高く感じることもあると思うんです。でもKMNZは歌があって入りやすいですし、そもそも楽曲がとてもポップス向きなので、「バーチャルなんだ!?」って知らないうちに刺さるかも知れない。リアルとバーチャルの境目をなじませていく役割やキッカケを、私たちが担えればなと思います。
ティナ わたしはネロと違ってバーチャル系のコンテンツが元々好きだったんですけど、「自分では向いていないな」って思ってて、あまり知らない人に向けて元気よくしていくみたいにするのが苦手で、横の関係も広げないといけないとか、そういうのがちょっと怖いタイプでした。
でもKMNZはバーチャルシンガーでありつつ、いい意味でバーチャル感がない。自分たちKMNZが大事にしてるものだったり好きなものをファンの人たちは大切にしてくれるし、好きでいてくれる。このファンとの関係性がめちゃくちゃ良くて。バーチャルシンガーではあるけど、1組のアーティストとして舞台に立てるようになってきてるんじゃないのかなと思っています。
──リタさんはいかがでしょう?
リタ (感慨深い声で)そうですね……いや本当に受け入れられてて、本当にスゴイことですよね。わたしが活動を始めたころに歌を歌っていた人、パッとでてこないくらいなんですよ。
──ぎりぎりキズナアイさんくらい?
リタ でもアイちゃんも最初は歌でガツガツやっていきます! みたいな感じじゃなかったですよね。むしろKMNZは最初から歌動画しか出さないし、結構浮いてたんですよ。ネタ動画も出さないし生配信もしないしで、人となりがわからないので周りのVTuberさんからも「どう声をかけて良いかわからない」みたいなことを結構言われてたくらいなんですよね(笑)
──当時そんな会話があったとは(笑)
リタ でも、いまでは歌を歌っていない人がいないくらいですよね?。当時いたVTuberの形がその後に派生していって、配信やゲーム、動画に特化したりといろいろやっていきましたけど、歌を歌って動画を出すというのはみんなやっている。
ゲームやってる人も動画メインの人も、歌動画は出す。それを見たときに「音楽の力はやはりすごく強いんだな」と実感しているのと、「あの時代に音楽一本で始めたKMNZスゲーな」って振り返って思いますよ(笑)
今となっては当たり前だけど、最初にやり始めて、ここまで走ってきてるのはほんとすごいなって思いますね。
──仰るように、当時から現在まで続けているリタさんはすごい方ですよ。
リタ わたし自身が当時の方針を決めたわけではないのであれですが(笑)。でもまぁ、誰もやっていない時期にこれが正解だ!と思ってやり続けるのって結構しんどいじゃないですか? それをやり続けてきた結果が、今ここにあるんだなと感じていて、正直感慨深いですよ。
──先ほども話にありましたが、ちょうど7周年のタイミングです。7周年を迎える景色というのはどうでしょう?
リタ さっきまで言っていたこととは反対になりそうですが、それ自体は別に大したことなくて、「また1年経ったんだなぁ」と思ってます。悪い意味に捉えられがちな言葉だったり、響きになるかもしれないですけど、それだけKMNZでいることが当たり前になったんです。実はわたし、自分の誕生日とかも別に大したことがないって思うタイプで、「また1つ歳をとったんだな」ということを感じています。
──リタさんはご存知かとおもいますが、「Work Hard」というスラングがヒップホップのなかでは使われますよね。毎日のようにWork Hardしていく、毎日のように続けていくこと、努力を重ねていくことで実を結ぶという意味のスラングなのですが、いまの受け答えからそういったニュアンスを感じました。
リタ 本当にそうですね。ファンに感謝して云々という話もありますが、そもそも日々毎日ファンに感謝しながら活動しているので、7年目だから改めてとかも、別にないくらい。もうずっと感謝しています。
(TEXT by 草野虹)