VTuberイベントの新たな形となるか 100名参加「日本烈島バーチャルファンミーティング」徹底レポート

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中京テレビは6月5日、愛知の大蔦エルさん、福岡の舞鶴よかとさん、沖縄の根間ういさん、福島のせんのいのりさんのご当地VTuber4名からなるユニット「日本烈島」のイベント「日本烈島バーチャルファンミーティング~まずはやってみる編~」を実施した。イベントは、monoAIが提供するバーチャルプラットフォーム「XR CLOUD」を利用し、抽選で選ばれたれったー(*日本烈島ファンの愛称)100名が同じバーチャル空間に集まった。

本イベントは、以前から「日本烈島」メンバーと参加予定のファンが同じLINEグループに入って交流するなど、ファン同士・タレント同士・タレントとファンの信頼関係あって実現したもの。今回はβ版ということもあり、実施時間が2時間半から約4時間に延びるなど予想外の展開はあったものの、終始和やかなムードで進行した。

メインエリアは、「XR CLOUD」上に再現された渋谷駅ハチ公前口だ。スクランブル交差点のところには、場面に応じて出現する半透明のステージがあり、広場に100人のファンが集まる。「とりあえずやってみる編」というサブタイトルで、今後こうしたバーチャルファンミーティングの継続的な実施に向けて、まずはβ版をファンに体験していただこうというのが、今回のコンセプトだった。

イベントは、「No.1れったーは誰だ!? 日本烈島〇×クイズ」「推しの元に届けよ! チーム対抗ボール運び」「究極のご褒美タイム♡ ガチ恋2Sトーク」「みんなで繋げ!チーム対抗全員リレー」の4つのコーナーで構成。ファンとタレントが垣根なく交流し、ゲームを通しての絆・団結力が生まれるなど、バーチャルならではの楽しさに満ちた催しだった。VTuberイベントの新しい可能性が感じられた今回の試みを、さっそくレポートしていきたい。

こんなご時世でもバーチャルなら「密」になれる!

まず、驚いたのは参加人数だ。参加者だけで100名、スタッフを含めると130名ほどが同じバーチャル空間に集まる。筆者が普段体験している「VRChat」などでは、同一のインスタンスに参加できるのはせいぜい25名で、それ以上になると負荷の問題で動きが鈍くなってしまう。しかし、今回プラットフォームとして採用された「XR CLOUD」は、数万人が同時接続可能な業界最大規模のバーチャル空間開発ソリューション。アバターのバリエーションが少ないなどの制限はあるものの、100名以上が集まっても動作は快適そのものだった。

イベントの雰囲気は、もし声優ファンであれば「バスツアー」イベントに近いと言えば伝わるだろう。もしくは「マチアソビ」のような地方イベントだろうか。最近では感染症拡大の影響でなかなか見られなくなってしまったが、バーチャルであればいくら「密」になっても問題ない。スタッフやタレントと参加者の距離が比較的に近く、「みんなで協力して楽しいイベントを作ろう」といった想いが感じられる居心地のいい空間だった。

「どうぶつの森」を想起させるような3等身のかわいらしい特別仕様のSDキャラで登場した「日本烈島」の4人。まずは、「エモーション」の操作説明を兼ねて、大蔦エルさんによる「XR CLOUD版 オリジナルラジオ体操」を行った。渋谷ハチ公前の広場で、100人が一斉に「エモーション」を披露する様は圧巻だ。

ボイスの動作確認を含めて、ファン同士で会話をしてみる場面や、根間ういさんはじめ4人が壇上から降りてきて、ファンとおしゃべりをする場面など、開始早々ファンとタレントの垣根を超えた交流が垣間見える。

渋谷を舞台にミニゲーム「〇×クイズ」と「ボール運び」

準備体操を終えたらさっそく次のコーナー「No.1れったーは誰だ!? 日本烈島〇×クイズ」へ移る。中央スクリーン上に「日本烈島」メンバーに関する〇×クイズが出題され、それぞれ〇のエリア、×のエリアへ移動する形式のクイズ大会だ。

1問目の「せんのいのりは今までVTuberのリアイベに10回以上行ったことがある 〇か×か」でさっそく8割ほどの参加者が脱落するというハプニングが。

さらに「ママママが考えてくれた初期のういのイメージカラーはハイビスカスの赤 〇か×か」などマニアックな問題が続く中、最終的には「ういんちゅ」(*根間ういさんのファンネーム)が最も多く残った。ちなみに、せんのいのりさんはリアイベは9回しか参加していないので×、根間ういさんは「朱里色」だったため×が正解だ。

そして続くは、「推しの元に届けよ! チーム対抗ボール運び」。それぞれ「推し」チームに分かれて、空間上に現れた灰色のボールを「推し」のもとに届けるというゲームだ。運動会のような雰囲気のゲームで、盛り上がっていた。ところどころ、ボールが消失したり掴めなかったりといったバグは発生していたものの、最終的には9個集めた「よかとも」(*舞鶴よかとさんのファンネーム)が優勝し、「よかとも」と舞鶴よかとさんとで記念撮影が行われた。

アットホームで和やかだった「ガチ恋2Sトーク」

2つのゲームを楽しんだ後は、エリアを渋谷から「イベントホール」へ移動し、「究極のご褒美タイム♡ ガチ恋2Sトーク」の時間となった。こうしてエリアをみんなで一緒に移動するという体験も、「一緒にイベントに参加しているんだ」という結束感が生まれる場面だと感じる。

「究極のご褒美タイム♡ ガチ恋2Sトーク」は、1人90秒間で「推し」と1対1のおしゃべりを楽しめるほか、一緒にツーショットの写真を撮れるコーナー。待合室となった「イベントホール」では、スタッフの会話が聞こえてきたり、ファン同士がコメントやボイスを利用してコミュニケーションをとる様子がうかがえたりした。こうした空白の時間も楽しめるのが「ファンミーティング」の良さである。

「ガチ恋2Sトーク」のあと、メインエントランスの渋谷駅ハチ公前広場に戻ると、そこには先ほどまでなかった日本烈島4人のパネルが飾られていた。パネルと記念撮影をするファンも。待ち時間を含め、参加者には約2時間ほどフリーの時間があったように思うが、みんなが思い思いの時間を過ごしていた。

育んできた団結力が試されるチーム対抗全員リレー

ここまで3時間以上、一緒の空間で過ごしてきたファン・タレント一同が挑む最後のコーナーは「みんなで繋げ! チーム対抗全員リレー」。会場に用意された4レーンを、各VTuberのファンが走ってリレーをするというもの。欠番はタレント自身が走るというルールで、ファンとタレントが一緒にリレーをしたり、お互いに応援しあったりする光景が見られた。

会場を使えるのが21時までとのアナウンスが入り、その時点で20時40分を過ぎていたため、最後のほうはかなり駆け足にはなったが、最後には参加者全員が「日本烈島」メンバーと並んで記念撮影をして、イベント終了となった。以下に、メンバーたちの最後の挨拶を紹介していこう。

せんのいのり「いやほんとにね、勝負とか勝敗とか関係なくめちゃめちゃ楽しかったです! また、いっぱいこういったイベントやりたいので、また遊びに来てください。これからも応援よろしくお願いします。スタッフさんもありがとうございました、烈島のみんなもありがとう!」

舞鶴よかと「今日はありがとうございました! ほんとにばり楽しかったです! 待ち時間も長かったとは思いますけれども、一緒に楽しんでくれたら嬉しいなと思います。これからも日本烈島の応援をよろしくお願いします! Twitterでの感想もお待ちしておりますので、本当に今日はみんなありがとう!!」

根間うい「今日は本当に応募、当選おめでとう! そして参加ありがとう! もうねほんとに、れったーのみんなのチームワークも楽しいし、ういんちゅ同士のチームワークとか、せんの民、LEFTY、よかとももみんなで一体感が生まれた感じがして、すごい楽しかったです! この後第2回、3回、4回、100回とかいけたらいいなと思いますので、これからもよろしくお願いします!!」

大蔦エル「みなさんありがとうございました! いっぱい争ったけど、みんなが優勝です! 一生の思い出にしましょう! みなさんありがとうございました!!」

新しいファンイベントの形になる予感

今回は、「とりあえずやってみる編」「β版」ということで、かなり実験的な内容となったこのファンミーティング。バーチャルならではの進行の難しさや、操作方法がわからないといった問題を最終的には自身で解決しなければならない点など、課題はあるものの、参加者の満足度はとても高いように感じられた。今後こうしたファンミーティングがVTuberイベントの新しい形として広がっていくのではないだろうか。

イベントに最後まで立ちあって感じたことは、第一に濃密な4時間弱だったということだ。予定を大幅に延長しての4時間弱となったが、これだけの長時間、タレントとファンが垣根なく会場を歩き回り、交流したり一緒にゲームをしたりおしゃべりしたりという体験は、なかなかできるものではない。

コロナ禍にあってもバーチャルであれば「密」を避ける必要はないし、接触によって事故が起こる危険性も小さい。現状では、100人以上の規模にもなると負荷の問題があり、グラフィック面などの制限があるものの、この「バーチャル空間を使ったファンミーティング」という手法にはさまざまな展開の可能性があるように思う。

例えば、声優のバスツアーのように、日をまたぐ「お泊り」を含むイベントや、沖縄、福岡、愛知、福島などそのタレントに縁ある場所を再現したワールドを一緒にツアーするイベントなども考えられるだろう。「日本烈島」は今後も、こうしたバーチャルファンミーティングを継続して続けていくとのことだ。根間ういさんが話したように「第2回、3回、4回、100回」と続けていくうちにどのような進化を見せていくのか楽しみにしたい。

(TEXT by アシュトン

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