ドワンゴが運営するウィキサイト「ニコニコ大百科」とピクシブが運営するウィキサイト「ピクシブ百科事典」は共同で、インターネット上で流行した単語を表彰するネット流行語100の2021年のノミネートを発表した。
ネット流行語100は、2021年1月1日〜11月24日の期間に、両サービスの各単語ページにおけるアクセス数の合算値が、昨年から今年にかけて特に多かった100単語を「ノミネート100単語」として発表。さらに、ノミネート100単語の中から、昨年と今年のアクセスで最も差分が大きかった単語を「年間大賞」として表彰するもの。100単語のうち、ニコニコユーザーは「今年流行ったと思う単語」をニコニコアンケートを使用して投票し、最も票数の多かった単語は「ニコニコ賞」として表彰される。また、「pixiv賞」では2021年にpixivに投稿された作品に対して付けられたタグを集計し、去年よりも作品数の増大した単語を選出、表彰する。
各賞の受賞発表は、12月15日にTUNNEL TOKYOで行われる大賞表彰式にて実施。単語にゆかりのある人物などが参加し、様子はニコニコ生放送で生中継される。
ネット流行語100は、ニコニコ大百科およびピクシブ百科事典で立項された記事のアクセス数を元にリストアップしているため、ニコニコ動画やニコニコ生放送などのニコニコのサービスやpixivで流行した単語がノミネートされやすい傾向にある。
そのため、初年の2018年よりバーチャルYouTuber（VTuber）関連単語がノミネート／選出されてきた。
初年のトップ20単語には、キズナアイ、月ノ美兎、電脳少女シロ、にじさんじ、ばあちゃる、バーチャルYouTuber。2019年には、.LIVE、花京院ちえり、夜桜たま、バーチャルYouTuber。2020年には、ホロライブ、戌神ころね、桐生ココがノミネートされた。そのほか、20単語以下にも多数のVTuber関連単語が入っている。
今年のVTuber関連のノミネートは、バーチャルライバープロジェクトのにじさんじ関連の「周央サンゴ」「にじさんじ甲子園2021」の2単語のみとなっている。
周央サンゴさんは、2020年8月に登場した、にじさんじ所属のバーチャルライバー。今年6月頃より切り抜き動画などをきっかけにニコニコ動画のランキング上位に浮上。ニコニコ動画が好きであることも転じて、ニコニコ動画を中心に大きくブームを呼んだ。週刊ニコニコランキングによると、2021年6月初週には107位に、2週には9位にランクイン。徐々に存在感を増し始め、8月に「エンターテイメント」カテゴリの人気タグに選出以降は、自身でニコニコ動画に動画投稿をするなどニコニコ動画内での流行にブーストをかける格好となった。
一方のにじさんじ甲子園2021は、にじさんじ所属の舞元啓介さんが開催したゲーム「eBASEBALLパワフルプロ野球2020」のチーム対戦イベント。VTuberの天開司さんが企画した「実況パワフルクズ野球」「Vtuber甲子園」を引き継ぎ、去年「にじさんじ甲子園2020」を開催。今年は引き続いて2回目の開催となり、さらなる盛り上がりをみせた。配信技研が2021年7月に発表したゲームタイトル別ライブ視聴ランキングでは、「パワプロ2020」が6位にランクイン。にじさんじ甲子園2021の影響だと推測できる結果だった。
一方、ニコニコ大百科、ピクシブ百科事典ともに、にじさんじ甲子園2021の記事が作成されており、どちらも熱のこもった編集者独自の視点で書かれた解説記事になっている。このようなファンからの根強い人気がノミネートに寄与したものと推測できる。
今年のネット流行語100のノミネートでは、VTuber関連用語は先年までよりも大幅に減少している。これは、ニコニコ大百科でバーチャルYouTuber関連記事に付属する掲示板の運用方法の変更が昨年行われ、掲示板閉鎖が進んだことなどで、急上昇ワードに記録されにくくなったことなどが軽微ながら影響があったと筆者は推測している。また、今年は「ウマ娘」「呪術廻戦」「シン・エヴァンゲリオン劇場版」など人気コンテンツが多数注目されていたことで、年々注目が分散されているバーチャルYouTuber関連記事のノミネートが難しかった可能性が考えられる。
今年下半期はFacebookがMetaに改称するなど「メタバース」が新語として勢いを見せていたが、もともとアニメやゲームなどのサブカルチャーに関連する単語やインターネットミームに関する記事が人気になる傾向のある両サイトでは、アクセス数が伸びなかった可能性がある。ニコニコ大百科がその週で注目を集めた単語を発表する「今週のニコニコ大百科 HOTワード」では同社が7月以降を調べたところ、1度もランクインしていなかった。
繰り返しになるが、各賞の受賞発表は、12月15日に行われる大賞表彰式にて行われる。様子はニコニコ生放送で生中継される。今回ノミネートされた2単語にも注目だ。
（ツナ津）
●関連リンク
・ネット流行語100 2021
・ニコニコ大百科（公式サイト／Twitter）
・ピクシブ百科事典（公式サイト／Twitter）
・「今年ネットで最も流行った単語を発表「ネット流行語100」年間大賞2021 表彰式 生放送」 – ニコニコ生放送