【データで見る、ツイ伸び新人VTuber】2022年1月第1週はVox Akuma、Nina Kosaka、猫羽かりん、OniGiri、市松寿ゞ謡

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企業・個人を問わず、毎日何十人もの新人がデビューしていくVTuberの世界。一方、すでに業界内には多くの才能が存在しているため、今の「推し」の動画・配信を追うだけで精一杯、新人まで気が回らないというVTuberファンも多いはず。そんな方に向けて送るのが本連載「データで見る、ツイ伸び新人VTuber」です。

分析・執筆は、Twitterのリストから随時3万人以上のVTuberのデータを収集して分析しているmyrmecoleonさんが担当。直近の7日間でTwitterのフォロワー数が急増したVTuberを数名紹介します。


あけましておめでとうございます。myrmecoleonと申します。今回も最近勢いのあるVTuberを紹介していきます。今回は新年第1回として特別に、昨年末から1月3日までの2週分から5名をピックアップいたします。

以下は直近にTwitterのフォロワー数が急増したVTuberを並べたグラフです。過去に連載で取り上げたMysta Riasさん、博衣こよりさん、Millie Parfaitさん、Enna Alouetteさん、紫宮るなさんも引き続き伸びており掲載されています。今回はここからVox Akumaさん、Nina Kosakaさん、猫羽(ねこま)かりんさん、OniGiriさん、市松寿ゞ謡(いちまつすずか)さんの5名をピックアップ。伸びた原因も推測しつつ、プロフィールをまとめました。

VTuberリスト登録のTwitterアカウントから、2021年12月20日13時から2022年1月3日13時にフォロワー数が10%以上増加したうちの増加数上位
データはTwitter APIより取得(以下同じ)。記事で取り上げたアカウントの棒グラフはオレンジ色に変えている
OniGiriと市松寿ゞ謡はピックアップのため追加

Vox Akuma

初配信よりスクリーンショット

Vox Akumaさんはにじさんじの英語圏向けプロジェクト「NIJISANJI EN」の新人バーチャルライバー。人々を魅惑する声から「声の悪魔」と呼ばれ、かつてその力で人々を日本の端にある彼の里に集めていたのを徳川幕府に討伐されたものの現代に蘇りました。昨年12月17日より活動開始、先輩の「LazuLight」「OBSYDIA」「Ethyria」と同様に同期5名でユニット「Luxiem」を構成し、20日の初配信の後には5人が歌うオリジナル曲「Hope in the dark」も公開・音楽配信されています。 衣装等のデザインはホロライブインドネシアのKureiji Ollieさんなど複数のVTuberを手がけるイラストレーターのLAMさん。

日本出身ですが日本語は忘れてしまったとのことで配信は英語が中心。ゆったりしゃべりかける低音の声が魅力的で、投げキッスなどファンサービスも活発です。配信はゲームが中心でこれまで「Five Nights At Freddy’s: Security Breach」や「原神」などをプレイ、またデビューから2週間ほどですが同期やNIJISANJI EN内でのコラボが活発で、後述のNina Kozakaさんともコラボしています。

今回の14日間では196%増となる8万人以上が彼をTwitterでフォロー、YouTubeのチャンネルも9万4000人以上が登録しました。Luxiemの5名はいずれも好調に人気を拡大しており、中でも前回紹介のMysta Riasさんと並び人気が高いのがVox Akumaさんです。特にYouTubeでの伸びが目立ちます。

フォロワーの傾向(該当アカウント群から300名超を無作為抽出の上フォローしているアカウントを集計。以下同じ)を見ると同期のMysta Riasさんのフォロワーが半数近くを占めました。ほかMysta Riasさんと同様にさんなどにじさんじ男性ライバーやGawr GuraさんなどホロライブEnglishメンバーのフォロワーも見られます。

Luxiemは英語圏の男性VTuber展開として注目すべき例ですが、その伸びの背景にはこれまでのVTuberグループ同様に同期との関係性が大きいようです。

Nina Kosaka

初配信よりスクリーンショット

Nina Kosakaさんはにじさんじの英語圏向けプロジェクト「NIJISANJI EN」のバーチャルライバー。幸運を司る九尾の狐。10月6日より活動開始、過去に紹介したMillie Parfaitさんら同期4名でユニット「Ethyria」を構成し、9日の初配信の後には4人が歌うオリジナル曲「God sees all」も公開・音楽配信されています。衣装等のデザインは小説「オーバーロード」などで有名なイラストレーターのso-binさん。

配信は主に英語ですがロシア語とフランス語も達者。セクシーな声で視聴者をハニーと呼び、同僚たちを娘や息子のように扱うNIJISANJI ENのママ。ゲーム配信を中心にASMR配信などもしていますが、特にNIJISANJI ENメンバーを中心にコラボが活発です。最近は声を生かしたショート動画をよく投稿。またLuxiemの5人がデビューしたさいは初配信前に早速彼らについて語る配信を行い、以降もよく彼らとコラボしています。期間中には Mysta Riasさんとのやりとりのショート動画をツイートしよく見られています。

今回の14日間では28%増となる1万9000人以上が彼女をTwitterでフォロー、YouTubeのチャンネル登録数も2万3000人近くと増加しています。14日間の新規フォロワーを見ると7割以上がMysta Riasさんを筆頭にLuxiemメンバーのフォロワー。ほかNIJISANJI ENのライバーのフォロワーなどが見られました。

Nina KosakaさんはLuxiemと積極的に関わっている先輩ライバーのひとりです。今回の伸びから、英語圏でも男性VTuberのデビューが先輩の女性VTuberの人気にもポジティブな影響を与えている様子がうかがえます。

猫羽かりん

初配信よりスクリーンショット

猫羽かりんさんは「けもみみりふれっ!」所属のねこむすめ。「けもみみりふれっ!」はケモミミ娘が集まるバーチャルリラクゼーションサロンで、心と体に癒しを提供することをコンセプトにYouTubeでのASMR配信等に加え、Ci-enやFC2ライブで成人向けの配信等も行っているグループです。 猫羽かりんさんはその初期からのメンバーの一人で、2021年4月からYouTubeで活動開始、8月からLive2Dのお披露目を行い本格的な活動を開始しました。キャラクターデザインは「ぶいすぽっ!」の小雀ととさんなども手がけている木なこさん。

YouTubeでの活動はASMR配信が中心で、ときどきけもみみりふれっ! メンバーとのコラボやゲーム配信もしています。歌ってみたも投稿。またFC2ライブでは成人向けの配信をしており、Ci-enでそのアーカイブなどを支援者向けに公開しています。特徴的な活動として立ち絵以外に配信内容に合わせたLive2Dを複数用意しており、最近もクリスマスに新しいモデルをお披露目しました。YouTubeでは一部しか出せませんが下着姿などオプションも多数あり、成人向けながら意欲的な配信をしています。

今回の14日間では36%増となる9900人以上が彼女をTwitterでフォロー、YouTubeのチャンネル登録数も5000人以上増加しています。このきっかけが12月29日に投稿した栗雪庵さん(上記Live2Dモデルの絵も担当)制作のイラストのツイート(成人向け表現のためリンク先注意)。このツイートが執筆時点で3900RT・3万いいねされており、一晩でフォロワーが急増してご本人も驚いていました。

期間中には上記Live2Dのお披露目やグループ内の成人向けリレー配信なども注目されましたが、14日間の新規フォロワーを見ると美少女イラストで人気のあるイラストレーターのフォロワーがほとんどで、イラストツイートの影響が大きかったことが伺えます。VTuberでは宝鐘マリンさんを筆頭にホロライブメンバーのフォロワーなどが3分の1ほどを占めました。

成人向けの展開をしているVTuberは本連載でも何度か取り上げてはいますが、こちらも独特の動きのあるVTuberの世界です。猫羽かりんさんのように成人向け配信を意図したLive2Dの例は目新しく、興味深い動きです。

OniGiri

自己紹介動画よりスクリーンショット

OniGiriさんは個人で活動しているカナダ出身の料理VTuber鬼の将軍ですがおにぎりが好きで、自分のコンビニにおにぎりを集めることを目標としています。twitchを中心に2021年9月頃より活動し、TikTokでもデビュー初期にバズっていました。配信ではおもに英語で話しますがアニメなど日本文化が好きで日本語も勉強中。活動は独特のスタイル(以下の動画参照)で料理配信をよく行っているほか、ゲーム配信などもしています。

今回の14日間では29%増となる2300人以上が彼女をTwitterでフォローしました。このきっかけがOniGiriさんが企画したジンジャーブレッドマン(人型のお菓子)の料理配信。お菓子の家に彼女と交友のあるVTuber50名以上の姿を象ったジャンジャーブレッドマンを作って並べていく配信で、中にはホロライブインドネシアのKureiji OllieさんやVShojoのZentreyaさんやFrootさん、過去に連載で紹介したMonarchさんやミルキークィーンさんやSnuffyさんのものも。彼女ならではの企画で話題になりました。

14日間の新規フォロワーを見るとMori Calliopeさんを筆頭にホロライブEnglishのメンバーのフォロワーが7割。ほかironmouseさんを筆頭にVShojoメンバーのフォロワーなども見られました。英語圏のVTuberのファンが広く注目したようです。

OniGiriさんは過去にも何度かピックアップの候補に入っており、独特の料理配信のスタイルを興味深く見ていましたが、話題性のある企画で改めて伸びた印象があります。比較的新人ながら海外のVTuberとの交友も広く、今後の活動も期待されます。

市松寿ゞ謡

自己紹介動画よりスクリーンショット

市松寿ゞ謡さんは個人で活動している市松人形VTuber。2019年3月に本格的にデビュー。大きく話題となり昨年Nintendo Switch版も発売された「GOHOME」などホラーゲームの制作をメインに活動しており、現在も新作「夜詛」を開発中。またゲームで使われたものなどオリジナル曲も多数制作しています。ゲーム配信や歌ってみた動画などの活動のほか、同じホラー系VTuberの人生つみこさん、ミミカ・モーフさんとともに「バーチャル降霊 百物語」という多数のVTuberが参加する怪談企画を2020年・2021年と主催しました。当初は市松人形そのもののビジュアルでしたがデビュー時にイラスト調のモデルも披露され、現在はいずれも3D化しています。

今回の14日間では11%増となる1900人以上が彼女をTwitterでフォロー、YouTubeのチャンネル登録数も700人近く増加しています。このきっかけが12月20日にお披露目した市松寿ゞ謡さんの新モデル、通称「成長寿ゞ謡」。実写の白塗りの女性のような表情豊かなリアルなモデルで大きく注目されました。年明けにはこのモデルを使った代表曲「花嵐」新曲「呪い」の動画も発表しています。

14日間の新規フォロワーを見るとにじさんじの月ノ美兎さんのフォロワーが3割ほどと多く、ほかVTuberのフォロワーが半数ほど。VTuber以外ではTwitter上でマンガやネタ動画などを投稿しているアカウントのフォロワーが目立ち、こうした面白アカウントの延長として注目されてる様子がうかがえます。

人間と見間違えるような3DCGのモデルは「バーチャルヒューマン」と呼ばれて近年話題となっていますが、VTuberではこうしたテイストのモデルは避けられがちです。 市松寿ゞ謡さんはもともと実写寄りの市松人形だったこと、制作している動画がホラー寄りなこともあり、こうしたモデルが自然と馴染み、面白い動きでした。


本連載もまもなく1年を迎えますが、当初の予想以上に毎週紹介に困らないほど個性的なVTuberが次々現れているのは驚きです。今回紹介したように新しい取り組みも多々行われています。こうした活発なVTuberの世界の動きを2022年も紹介していきたいと思います。今年もよろしくお願いいたします。

(TEXT by myrmecoleon

 
●関連リンク
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