一般社団法人電子情報技術産業協会は9月18〜21日、幕張メッセにて国際展示会「CEATEC 2022」を開催する。今年は10月1〜31日に実施するオンライン会場だけでなく、3年ぶりのリアル会場を用意し、ホール4〜8に562社が出展する。
XR/VTuber/メタバースが専門分野のPANORAとしては、ホール6にブースを構える「METAVERSE EXPO JAPAN 2022」に注目した(ニュース記事)。Metaを中心に組織するメタバースエキスポジャパン実行委員会での出展で、ブース内に16のコーナーを設けて、国内で展開しているメタバース事業の一端を体感できるようにしている。
基本的には7月に六本木で業界・報道関係者向けに開催した内容と同じ(下記リンク参照)だが、来場登録することで無料参加できる展示会という点で入場ハードルが下がっている。
メタバースは昨年末頃から注目のキーワードとなっているが、興味があっても「VRゴーグルが必要なの?」「何がメリットなの?」とわからないことだらけな人も多いはず。なんらかの事業展開したいという企業にとっては、体験してみて、主要企業と接点をつくれるという意味でありがたいだろう。
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REALITY
今回、新たな出展に出展していたのがREALITYだ(ニュース記事)。REALITYは元々、自分好みのアバターをつくってライブ配信するというVTuberの文脈から生まれたスマホ向けサービスだが、2021年8月に親会社のグリーがメタバースへの参入を発表したタイミングでワールド機能を追加。自分のアバターの姿でログインして、他のユーザーと交流できるスマホ向けメタバースとしても注目されてきた。今ではダウンロード数が、世界で1000万に迫るとのこと。
・「未来のメタバースはひとつじゃない」 DJ RIOさんが語るREALITY・100億投資のねらい
このワールド機能は、そのまま法人向けに「REALITY World」として提供しており、プロモーションや展示会イベントとしても利用可能だ。今回の出展では、REALITYとREALITY Worldを知ってもらい、協業相手を探すところにある。出展に合わせて、50社限定でワールド内に広告を1週間掲載するキャンペーンも展開する。
大日本印刷
大日本印刷では、バーチャル空間を活用してリアルタイムに映像をつくれる「バーチャルプロダクション」が、展示サイズで目を引いていたが、新要素としてはXRアイデンティティシステム「PARALLEL ME」を発表していた(ニュース記事)。
ブロックチェーンの技術を組み合わせてユーザーの属性を証明するという「分散型アイデンティティ」のシステムになる。現状でもGoogleやFacebookのアカウントを使って他のサービスにログインするといった本人認証の仕組みはあるが、そうした中央集権的な発行者に依存しないため、より情報漏洩やプライバシー保護を実現しやすいメリットがある。
ブロックチェーンというと同じ技術を使うNFTが思い浮かぶが、分散型アイデンティティは譲渡できないという点で異なる。メタバースで言えば、そのアバターの姿が本人かどうかを証明することに利用可能。VRChatのトラストレベルと効果が似てる感じで、複数のメタバースサービスでも本人だと信頼される仕組みを実現してくれる。もちろんメタバースに限らない話で、例えば、大学の卒業や運転免許の取得などを証明する用途にも使える。
大日本印刷は、もともと長年ICカード製造を事業として展開してきており、その流れで個人認証のDXも推進。今年「Trusted Web の実現に向けたユースケース実証事業」に採択されて、この「PARALLEL ME」にもつながっている。裏方の技術だが、メタバースの普及にとってはとても重要になるだろう。
ソフトバンク
スマホやタブレット、PCで体験できる「バーチャルPayPayドーム」の一部である「バーチャル投球体験」をドーム型スクリーンで体験できるようにしていた。3Dメガネを装着し、最大7人で同時に視聴できる。VRゴーグルは、被ることに抵抗があったり、まったくの初心者が操作を覚えるのに時間がかかることもあるが、よりライトな体験でその迫力の一端を伝わるようにしている。
HIKKY
メタバース上で展開する世界最大級のイベント「バーチャルマーケット 2022 Summer」のワールド(パラリアル大阪、パラリアルニューヨーク)をVRで体験可能だ。12月3〜18日に開催する「同2022 Winter」の出展勧誘も行っていた。
ガジェット好きにとっては、携帯型のゲーミングPC「Steam Deck」(スチームデック)や、スマホに繋いで使うARグラス「Nreal Air」にて、バーチャルマーケットを体験できるというデモが興味を引くはずだ。
(Reported by Minoru Hirota)