10月26日にMetaが発売した一体型VRヘッドセット「Quest Pro」。VRヘッドセットの主な用途として、ソーシャルVRサービスの名を挙げる方が多い現在。Quest ProでソーシャルVRにログインしてみたら、どんな印象を抱くでしょうか。第一報としてお届けしたハードウェアのレビューに続いて、試してみました。
低音も拾う低ノイズな内蔵マイク
Virtual Desktopを用いてWindows PCとQuest Pro、PICO 4、Quest 2をつなげてしゃべってみました。
まずQuest Proですが声に厚みがあり、低音成分も捉えている様子。ノイズも少なくスムースな音です。Horizon WorkroomsなどのQuestアプリで録音すると音声圧縮によるザラつきもありません。
PICO 4は帯域こそ広いけれども常にノイズが交じる感じ。そのせいか、ラジオの声という印象が残ります。Quest 2は明瞭感があるけど捉えている帯域は中高域でしょうか。軽めの声となりました。
マイクの音質は好みによって判断が分かれますが、筆者としては重い音も出せるQuest Proは男性声向き。軽やかなトーンとなるQuest 2は女性声向きと判断。なおPICO 4はマイク付きヘッドセットが使えるので、オプション盛り盛りにして声を作りたい方に向いているとみました。
首の後ろまでトラッキングしてくれるコントローラー
Quest Proに付属するMeta Quest Touch Proコントローラーは3つのカメラを内蔵し、コントローラーそのもののトラッキング性能を高めました。
このMeta Quest Touch Proコントローラーは、外部センサーを必要としないインサイドアウト方式でありながら、VRヘッドセット側カメラの死角となる自分の背後に腕を回しても、位置を捉えてくれます。
ただし正確にトラッキングできるのは頭の上、頭の後ろ、首の後ろ、腰の後ろくらいまで。コントローラを握った手を背中の後ろにもっていくと肘の角度がおかしくなり、トラッキングが切れて認識できなくなったような状態となりました。
でも、十分です。アウトインサイド方式のVRヘッドセットが使えない環境においては、最強のコントローラとなるんじゃないかという予感があります。なお Meta Quest Touch Proコントローラ。Quest 2と合わせて使うこともできるとか。期待しかない。
認識エリアは限られるがハンズフリーで楽すぎるハンドトラッキング
Quest Pro側のカメラで腕や手、指の動きを認識してくれるハンドトラッキング機能です。これはHorizon Workroomsで試しました。
認識範囲は身体前面のいち部分のエリアのみ。ラッキング範囲が極めて広いMeta Quest Touch Proコントローラと比較すると、狭いという印象です。しかしコントローラを持たなくていいし、指の1本1本も思い通りに動かすことができます。
ジェスチャーによる機能の呼び出し、機能の実行ができるようになれば、より使いやすくなるでしょう。特別なパフォーマンスをするのでなければハンドトラッキングでいい、という時代が来そうです。
補正機能がほしくなるアイ/フェイストラッキング
アイトラッキング(目)とフェイストラッキング(表情)の機能をONにすると、目蓋がさがって眠そうな目になるし、ちょっとムッとしているような無表情よりの表情になりました。
機能としてはとてもおもしろい。目は口ほどに物を言うの慣用句どおりに、今まで以上に自分の感情を相手に伝えることができます。しかしディフォルメされたアバターではっきりと区別できる表情を出すには、自分がディズニーランドのキャストになったかのような気持ちで表情を作り込む必要があります。表情筋を思いっきり働かせることになるので、ぶっちゃけ疲れます。
可能であればソーシャルVRアプリ側で、「目の開き方」「笑顔のレベル」といった調整機能、補正機能があるといいのに……と感じたことを記しておきます。
綺麗なものがもっと綺麗に見えるディスプレイ
ハードウェアレビューでお伝えしましたが、Quest Proは映像の見え方のスイートスポットを追求できる機能を持っています。念入りにセッティングしてVRChatに入ると、いつも遊んでいる友達のアバターがいつもよりも綺麗で可愛くて、ちょっと目覚めそう、恋しちゃいそうと思えてくる危険性醍醐味があります。
レイトレーシングの色味も鮮やかに見えてきますし、風景・景観描写にこだわりを感じられるワールドではリアリティが強くなります。
Quest Proは開発用機材だよなあ、と思っていましたが、前言撤回。VRのなかで綺麗なものをより綺麗に見たいと思う方に、一度は体験してほしいVRヘッドセットですね。
またホラーワールドの臨場感も極めてきそうなので、そっち方面がお好きな方もぜひご体験を。