10/27〜29に新宿にて開催 XR映画祭「Beyond The Frame Festival 2023」で珠玉の25作品を体験しよう

LINEで送る
Pocket

XR映画に特化した映画祭「Beyond The Frame Festival 2023」は今年で4回目を迎える。開催は10月27日から3日間、新宿「XR Communication Hub NEUU(ニュー)」にて体験できる。今年のテーマは「XR で世界を繋ごう – Connect the world with XR – 」。今回は、始まって以来初めて全世界を対象とした公募と特別上映作品をあわせて25作品が上映される。

これまでのBeyond The Frame Festivalは日本で世界のXR映画作品を上映する機会という側面が大きかったが、今回は本格的に映画祭としての趣が強くなり、アワードも設置。名だたる映画祭のように、審査員によって受賞作品が選ばれる。

「XR映画に特化した映画祭」ということもあり、ゴーグルをかぶって体験するVR作品だけではなく、ARやMRの作品もラインナップ。また、VR作品であっても積極的なコミュニケーションが必要となる作品もあるなど、既存の映画体験をアップデートするようなXRならではの映画表現を楽しめるのが特徴的だ。

特別上映作品として、ヴェネチア国際映画祭XR部門「Venice Immersive」にもノミネートされた日本の作品「SEN」や「周波数」、オランダの作品で審査員特別賞を受賞した「Flow」なども楽しめる。

日頃からXR作品を楽しんでいる方はもちろん、映画好きの方や新しい表現を模索しているクリエイターにおすすめのイベントだ。


Beyond The Frame Festival2023とは

(左から)ディレクター待場さん、小田急電鉄・宮内さん、CinemaLeap・大橋さん、VRアニメーション監督・伊東さん

2021年1月にVR映画祭としてオンライン開催で始まったBeyond The Frame Festival。世界のVR映画や日本のVR映画を一挙に楽しめる場として、過去3回にわたって注目を集めてきた。

4回目となる今回、初の試みとして世界中から公募を行い、96作品が集まった中から選ばれた20作品と特別上映5作品の合計25作品が上映され、最終日に三つのアワード「Grand Prix」、「XR Story Award」、「XR Experience Award」が発表となる。これまでも国内作品を対象とした公募・アワードはあったが、世界中の作品からBeyond The Frame Festivalがアワードを選出することで、XR映画業界全体を盛り上げようという意図や、クリエイターが世界に羽ばたくきっかけになればという狙いがあるという。


また、今回から「アジアアライアンス」という試みもスタート。アジアからXRを盛り上げようという意図で、台湾・高雄国際映画祭、韓国・富川国際ファンタスティック映画祭、中国・Sandbox Immersive Festival、そして、Beyond the Frame Festivalの四つの映画祭がタッグを組んだ。各映画祭の方をゲストに呼んだトークイベントも開催し、アジアアライアンスの構想や第1弾ビッグプロジェクトの発表もあるとのこと。

このほか、XR先進国であるフランスから「NewImages Festival」のディレクターMichele Zieglerと、世界最大級のXRコンテンツプロダクションAtlas Vの共同創業者・プロデューサーArnaud Colinartを招いたトークショーと、最終日のアワードの発表が行われるクロージングイベントも行われる。


●イベント

10月27日(金) 19:00-20:30(リアル/オンライン)
『フランス発・XRコンテンツの最前線とこれから』
チケット:https://btff20231027.peatix.com/

10月28日(土) 19:00-20:30(リアル/オンライン)
『XRでつながるアジアの映画祭〜アジアアライアンスが目指す未来』
チケット:https://btff20231028.peatix.com/

10月29日(日) 16:00-17:30(オンライン)
『Beyond the Frame Festival 2023クロージングイベント』
チケット:https://btff20231029.peatix.com/


参加するにはそれぞれの回ごとのチケット(無料)が必要で、現地でトークイベントに参加する場合も通訳はZoom上で行われるため、同時通訳を希望する方はデバイスとイヤホン環境を用意しよう。


映画祭で上映される作品を一部紹介

映画祭で上映される全25作品のうち取材で体験できたのは一部作品だったが、その中からいくつか紹介したい。


「Flow」(監督:Adriaan Lokman 時間:15分)

ヴェネチア国際映画祭「Venice Immersive」にて審査員特別賞を受賞した本作品は、匂い、熱、呼吸といったさまざまな風の流れを描くことで、見えないものや存在しないものの気配を感じさせます。次々と変わるダイナミックな景色の変化に15分間、目が離せません。

例えるなら、ディズニー作品「ファンタジア」のような音と映像の超体験をVRとして楽しめる本作は、そもそもVRに慣れていなかったり、XR映画をとりあえず体験してみたいという人にもうってつけだ。


「Sen」(監督:伊東ケイスケ 時間:15分)

茶道の世界観をベースにお茶の精霊「Sen」を通じたコミュニケーションを伴う、XR映画としての意欲作だ。畳に座って複数人がゴーグルをかぶってメタバース上の茶室に入り、千利休ゆかりの茶碗をもとにした専用触覚デバイスと、Google Pixel Watchで計測する自身の心拍が体験に絡み合うという、Senだけでしか体験できない世界を楽しめる。(関連記事


「周波数」(監督:大宮エリー 時間:30分)

今回体験した中でも、とりわけ既存の映画の延長線上を思わせるXR映画作品がこちらの「周波数」。XR映画は全体的にヴィジュアルやサウンドの演出で言葉に頼らない作品が多い中、日本語(英語版もあり)での一人称語りで物語が進む私小説のようにドメスティックな心象風景は痛々しさが伴って、作品としての強度を感じた。語りは女優・モデルの水原希子さん。
それでいてコントローラーで名前を書いたところから物語が始まるといったインタラクティブ性は映画作品の来たるべき未来を感じさせ、こういう作品をもっと観たいと思ってしまった。


「Eggscape」(監督:German Helle 時間:30分)

こちらはQuest3のパススルー機能を使ったMR作品で、一言で言うとマリオのようなアクションゲームに近い。日本の住宅事情ではなかなか難しいMRゲームを広いスペースで楽しめるので、日頃からVRゲームなどを遊んでいる方には特におすすめだ。


映画祭のインフォメーション

映画祭は10月27日から3日間、新宿にあるXRをテーマにした常設施設「XR Communication Hub NEUU」にて開催される。

作品を体験するためのチケットは三種類。VR/AR/MRの全24作品が視聴可能なAチケット、Aチケットに加えマルチ体験型6DoF VR作品「GAUDI, The Atelier Of The Divine」も視聴可能なSチケット、自分が動くことはできないが360度の没入体験ができる3DoFVR映画作品の中から好きな1作品のみ視聴可能なトライアルチケットの中から選ぼう。

ヴェネチア国際映画祭「Venice Immersive」にて審査員特別賞を受賞した「Flow」も3DoF作品。もし、とりあえずXR映画を観てみたいとトライアルチケットを予約した方におすすめだ。

チケットは公式サイトにリンクされているPeatixで受付中。残り枚数が少なくなってきているので、検討中の方はぜひ早めの購入を。なかなか観る機会のないXR映画作品をぜひこのタイミングで楽しんで、映画表現の未来系を感じて欲しい。


●Beyond The Frame Festival 2023
・開催:XR Communication Hub NEUU
・住所:東京都新宿区西新宿1-5-11
・開催日:10月27日~10月29日
Aチケット:1000円
・Sチケット:1500円
・トライアルチケット:無料

(TEXT by ササニシキ

関連リンク
Beyond the Frame Festival
XR Communication Hub NEUU