8/21までFUJIFILM協賛のVR写真展が表参道で開催中! リアルに広がるVR PHOTOの世界

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2024年1月に好評を博した「VR PHOTO EXHIBITION Supported by FUJIFILM」が、表参道に再び帰ってきた。会場は、FUJIFILMの直営店である「FUJIFILM WONDER PHOTO SHOP」。VRChatのフォトグラファーたちが手掛けた作品が、8月21日までの期間限定でリアルの場に展示される。また、FUJIFILMが運営するメタバース「House of Photography in Metaverse」会場リンク)内のパノラマギャラリーでも同時に展示が行われ、合計11名のバーチャルフォトグラファーが参加している。

バーチャルフォトグラファーとは、メタバースやゲームの空間などでフォトジェニックなスクリーンショットを撮影するクリエイターのことを指す。特にソーシャルVR「VRChat」では、その高機能なバーチャルカメラを用いた写真撮影が盛んにおこなわれており、日常の記録から、アバターファッション、さらにはVR写真作品まで「VR PHOTO」に関するさまざまなカルチャーが生まれている。

VRChat写真展ワールド「Re˸collection2 – リコレクション2 -」by rocksuch(リンク

今回、写真展に参加した11名のフォトグラファーもそうした「VRChat」で活躍するバーチャルフォトグラファーたちだ。それぞれが作家性を持った最前線のフォトグラファーたちで、そうした写真が印刷物として展示されることで、「作品」に昇華されている。しかも、写真作品に関連したリアルグッズの展開もされており、今後のVR PHOTOの展望にさらなる期待感が持てるイベントとなっている。本記事では、9日夜に行われたオープニングレセプションの様子を交えつつ、イベントの様子をお伝えしていきたい。

●REAL会場(敬称略)
BISdonえこちんToMoSanrocksuchとらおAmaneko

●VIRTUAL会場(敬称略)
マドフキなのくん此花ゆうな龍神_黒墨


FUJIFILM WONDER POHTO SHOPでVR写真も印刷!

店舗案内 | WONDER PHOTO SHOP(ワンダーフォトショップ)
FUJIFILM WONDER PHOTO SHOP店舗概観

会場となる「FUJIFILM WONDER PHOTO SHOP」は、大手写真メーカー・富士フイルムが直営する写真店。日頃、さまざまな写真展を行うギャラリースペースのほかに、思い出の写真をプリントアウトするだけでなく、缶バッジやチェキ、フォトブックなどに印刷できるオーダーメイドのプリントサービスなども展開されている。

今回の「VR PHOTO EXHIBITION」も、同店のプリントサービスである「WALL DECOR」詳細)を用いた銀塩プリントのプロフェッショナルな仕上がりだ。

実際の「質感」はなかなか伝わりにくいので、ぜひ現地で確かめてみてほしい。

実際の「質感」がなかなか筆者の写真では伝わりにくく、ぜひ現地に確かめていってほしいのだが、どれもデジタルの画面で見るのとは比べ物にならない発色の良さと存在感があった。印刷物として展示されるだけで、一気にVR PHOTOが「作品」に昇華された感がある。

また、各フォトグラファーにきちんと作家性を見出せるのも見どころだ。今回は、1月の第一弾展示会でディレクターを務めたまつゆう*さんがキュレーションを行った6名に加え、リアル会場ではAmanekoさんが新しく参加している。ちなみに、Amanekoさんは、今展示会のディレクションサポートを務めており、バーチャル会場の方の4名は彼のキャスティングによるものだ。

たとえば、作家性が際立っているのは、えこちんさんやBISさん、ToMoSanなどの作品。目を惹く青・黄・赤・緑の背景に花を添えたアバターのポートレート写真や、切り絵のようなアバターや、重力を度外視した配置など、「バーチャルならでは」を最大限に活かした作品、撮影模様が想像もできないような繊細さを感じる作品など、VR PHOTOの可能性を感じさせてくれる。

BISさんの写真はプリントTシャツにもなっている。
モノクロで透明感のある写真で、「VRChatの写真」だとは思えない繊細さだ。レセプションの現場でも、3枚購入されていた人気商品。

Amanekoさんは、コンセプトが際立っていて、4枚を通して1つのストーリー性を感じさせるような意味深な連続性を持つコンセプト重視のセレクトだ。とらおさんは、4枚とも同じワールドで撮影することで、遠目で見た際にもすぐにわかる統一感が生まれており、rocksuchさんの写真は現実の撮影技法を意識したボケなどを駆使し、実写に見紛う風景写真となっている。

また、VR PHOTOのカルチャーはアバターファッションとも親和性が高い。今回の出展者の中では、donさんが特徴的だが、自身の写真の技術と改変の腕前を組み合わせ、「衣装テスター」として自身でポーズモデルもこなしながら、写真も撮影しアバターの魅力を伝える人も多い。

7人それぞれが、異なる特徴を持っており、こうした人たちが活躍する場が、今後もどんどん広まっていくといいな、と素朴に感じた。また、通常営業時に会場に足を運んでみたところ、たまたまお店にふらっとよった一般のお客さんも、展示を見て行っている場面を何度か見かけた。写真展として作品が現像され示されることで、新たな層にも「こんな綺麗な世界があるのか」「こんな活動をする人たちが存在するのか」と知ってもらうきっかけにもなっているのだろう。こうしたリアルの場に出展することで、新しい接点を築けるのもいい機会だ。

さらに、会場では出展者それぞれのオリジナルグッズも販売されている。缶バッジや、Tシャツ、フォトジン、マグカップなどのこうしたグッズも実際に今回の企画展に合わせて「FUJIFILM WONDER PHOTOSHOP」にてプリントされたオーダーメイド品だ。

今回、会場で販売されているプリントグッズの一部。
フォトグラファーが自身で販売したいグッズを選んで店頭に並べているとのこと

今回は、新しい試みとして「みんなのVR PHOTO WALL」も開催されている。こちらは、会場でスマートフォンに保存した自身のVR写真を、店頭でプリントアウトして写真展の一角に貼ることができる企画だ。バーチャルフォトグラファーの作品を楽しみつつ、自身の日常の写真、思い出の写真をこうしたプリントサービスでリアルグッズにしてみるのも楽しいかもしれない。

11日時点での様子。VRChatユーザーもすでに多く訪れているようで、さっそくたくさんの写真が貼ってある


FUJIFILMとバーチャルフォトグラファー:約1年の歩み

レセプションパーティーでは、今回の企画をプロデュースしたMiwonderfulさんによるイベント背景の説明もあった。

実のところ、このFUJIFILMによるバーチャルフォトグラファーをフィーチャーした取り組みは、今回に始まったことではない。1月の第一弾ももちろんのことだが、その前段も含めると約1年にわたる継続的な取り組みでもあるのだ。

FUJIFILMが今回の取り組みに関わり始めたのは、2023年4月頃。新領域でのフォトグラフィーの写真を探る中で、「写真を楽しむコミュニティ」としてのバーチャルフォトグラファーという存在にたまたま出会ったとのこと。そこから、6名のフォトグラファーとの取り組みが始まった。

2023年7月には、関係者を集めた撮影会を行い、同月にVRChatイベント「MAL文化祭2023」でのトークセッションなどを実施。

2023年11月には、富士フイルムビジネスイノベーションアジアパシフィックが開催するコンテスト「Innovation Print Award」にて、フォトブック「メタバース時代の新たなフォトブック市場開拓」を制作し、同コンテストのフォトブック部門にて1位を獲得したとのこと。こうしたFUJIFILMとバーチャルフォトグラファーたちの約1年間の交流があり、この写真展プロジェクトは生まれている。

プロデューサーのMiwonderfulさんによると、今年の冬には六本木 ミッドタウンのフォト・サロンギャラリー「FUJIFILM SQUARE」にて公募形式のVR PHOTO写真展を実施する予定とのこと。企画展の詳細や応募方法などは、追って公表となるが、FUJIFILM×バーチャルフォトグラファーの取り組みはまだ続いていきそうだ。


イベント概要

タイトル:『REAL✖️VIRTUAL  VR PHOTOGRAPHY EXHIBITION Supported by FUJIFILM』

●REAL会場
・期間:2024年8月9日(金)~8月21日(水)
・営業時間:11:00 ~19:00
・会場:FUJIFILM WONDER PHOTO SHOP
*展示作品の製作にはFUJIFILM WALL DECORを使用。プリント商品を活用した各種作品を販売。

●VIRTUAL会場
期間:2024年8月9日(金)~8月23日(金)
会場:House of Photography in Metaverse  パノラマギャラリー
URL:https://houseofphotography-jp.fujifilm.com/

*推奨環境確認
パソコン
【OS】Windows10/Windows11/MacOS(11.7.3以上)
【ブラウザ】Google Chrome 最新版
【CPU】Intel Core i5 第10世代以上/メモリ: 8GB以上

●House of Photography in Metaverse
写真とカメラ好きが集うメタバース空間。訪れたみなさんが思い思いの時間をすごしたり、またある時はお互いに語り合ったり。きっと、写真とカメラがもっと好きになる。メタバースで繰りひろげられる様々なプログラム新たな発見、偶然との出会いをお楽しみください。


●関連リンク
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