バーチャルキャストは10月2日と9日に、メタバースコミュニケーションサービス「バーチャルキャスト」にて、ホロライブ所属のVTuber宝鐘マリンさんと1対1でトークができる有料イベント「宝鐘マリンVRグリーティング」を開催した。「船長」の愛称で国内外から大人気の宝鐘マリンさんと直接会って話せるということで、お値段7700VCCのチケットは抽選制となるほどだった(編集註:VCCはバーチャルキャスト内で使えるコインで、1VCC=1円で購入できる)。
1部1時間の枠を、2日間で14枠も実施するという大サービスぶり。1枠には10人程度が参加したのでおよそ140人ほどが体験したことになる。その様子をPANORAで取材させていただいたので、現地の熱気、会場の様子などをレポートしていこう。
海外や遠方のファンへの思いから生まれたVRグリーティング
そもそも、なぜVRでのイベントとなったのだろうか。過去には、「会える! 話せる! VTuberおしゃべりフェス on バレンタイン ホロライブ編」や「hololive Valentine2022 イチ推しトーク!」といったリアル会場に集ってのお話会も開催してきた。
だが、これらのイベントは遠方や海外のファンは参加しにくいこともあり、宝鐘マリンさんはそうしたファンとも会える場所としてVRに注目。かねてから「VRでキミたちと会えるイベントを計画しています」と配信でたびたび話していた。それがようやく実現したのが本イベントというわけだ。
過去にはバーチャルライブサービスVARKにてVRライブ「VARK Presents. hololive Virtual LIVE series in VARK『Cinderella switch ~ふたりでみるホロライブ~』vol.1」を開催していたが、こちらはあくまでも音楽ライブで、1対多数のイベントであった。宝鐘マリンさんとVR空間内で実際に1対1で会って話せるのは、今回が初めてとなる。
VRの魅力である3D立体視で「本物の船長」に「宝鐘の一味」(ファンのニックネーム)として対面し、直接触れるような距離で、細かな仕草も目に焼き付けながらコミュニケーションを取れる。VRとVTuberの相性の良さを感じるイベントだ。
また、VRといえば、参加者自身が自分の姿であるアバターを選べることも面白さの一つ。宝鐘マリンさんのコスプレ、宝鐘海賊団の一味としての海賊コスプレ、自分でモデリングしたアバターなど、それぞれが思い思いの姿で参加していたのも印象的だった。筆者も実際は中年男性だが、銀髪の美少女として取材にうかがったのは以下の写真の通りである。
待機部屋からお楽しみ要素ズラリ
参加者が最初に通されるのは待機部屋だ。木造の部屋で、窓の向こうには海。そう、ここは海賊船の船室なのだ。作り込まれた会場に、気持ちが高まっていくのを感じた。
ここでは、VCCコインで購入出来るアイテムも並んでいる。バーチャルキャストはVR空間内でアイテムを購入し、他のルームに持参するVCIという仕組みがある。今日ここで買ったお土産を、イベントが終わっても自分のルーム内に残したり他のルームに持ち込んだりできるのは、バーチャルキャストならではの楽しみ方と言えるだろう。
等身大パネルとの記念撮影も叶。
フレーム付きカメラは、マリン船長とのグリーティングの場に持ち込めた。
ピストルはハートの弾を発射することができ、サーベルは鞘から抜いて構えることができるなど、凝ったギミックが搭載されていた。
この部屋では、同じ時間帯の参加者同士が会話することもできる。PANORAの取材であることを明かし話を伺ってみると、今回のためにVR機材をレンタルしたVRが初めてのファンはもちろん、流ちょうな日本語を話す海外からの参加者もいらっしゃった。
時間になると、バーチャルキャスト社のスタッフが来て整列を呼び掛ける。対面する際に、宝鐘マリンさんの衣装を通常衣装、ホロライブサマーの水着衣装、100万人記念の衣装を選ぶことができる。参加者はそれぞれ希望する衣装ごとにグループになってグリーティング会場へ移動する仕組みだ。
グリーティング会場は甲板!
いよいよグリーティング会場へ移動すると、なんとそこは上は青空、下は大海原の海賊船の甲板だった。世界観を大切に細部にまでこだわっており、イベントへかける情熱を感じ取ることが出来た。
一段高い場所にある舵の前が1対1のお話の場になっており、ファンは下段で待機していた。参加者によると、遠くから微かに宝鐘マリンさんが明るい声で対話する様子が聞こえており、いよいよ近くに来たと感じられたという。
せっかくの1対1の対話で音声トラブルで話が出来ないなんてことがないように、事前にスタッフとマイクチェックする機会も設けられていた。デジタルなVR空間であっても、そこにはイベントを成功させるために働くスタッフがいる。そんなスタッフのホスピタリティにあふれた対応は、参加者からも非常に評価されていた。
そしていよいよお話と記念撮影へ。対面直後の参加者へ感想を伺ったところ、宝鐘マリンさんのサービス精神にあふれた対応に語彙力を失うほど感動している人もいらっしゃった。記念撮影でも様々なポーズの要望に応じてくれたとのことで、参加者にとってはとても楽しい時間になったことだろう。
バーチャルキャストでは自分のカメラを他の人に渡すことが出来るので、宝鐘マリンさんとのツーショットはスタッフの人が撮影してくれる。バーチャルキャストの操作に慣れていない初心者でも綺麗な写真を思い出として持ち帰れるのも、このイベントのよかったところの一つだ。
お話と記念撮影が終わると、退場者ルームへ促される。ここでもファン同士が交流できるようになっており、船長とのツーショット写真をみんなで掲げてグループでの記念撮影を行っている場面もあった。
終了後に、宝鐘マリンさんにお話をうかがえた。
──2日間にわたる長時間のイベント、お疲れ様でした。かねてから、VRでイベントをされたいとおっしゃっておられましたよね。
以前VARKさんでVRのライブをしたときに、ステージから降りるシーンがあって。その時に、ライブをVRでやるのもいいけど、お話の方をVRでやるのもいいなと思ったんです。何より一番いいのは、今までホロライブでやってきたおしゃべりフェスとかだと海外や遠方の方は参加不可能だったんです。VRなら、3Dで「そこに存在する」船長を見ることができる上に、今回も大勢海外や遠方の方もいらっしゃって。普段だったらこういうイベントに来られないという方も参加できて、本当に良かったなと思います。
──待機室も取材をさせていただいたのですが、私も海外の方にお目にかかれました。
しかも、今回参加された方が、ほとんど、船長も認知しているような、よくスパチャしてくださる方やエゴサするとよくつぶやいてくださっている方とかで。「あ、この名前、この人知ってる!」という方がいっぱいいらっしゃっていました。「いつメン」いっぱいで楽しかったですよ。
──ファン同士の交流も図られているように感じました。
待機室で一味同士で仲良くやっていたみたいですね! 一味同士が楽しく推し活できているなら本当にいいことだなと思いました。仲良くしてくれてありがとうと伝えたいですね。
──今回は3種類の衣装から選べる形でしたが、どの衣装が一番人気でしたか?
圧倒的に通常衣装ですね! オーソドックスないつもの船長と話がしたいんだなと。
──そして、VRミニライブも予定されているんですね。
そうなんです。今回のVRのグリーティングの方はどうしても競争率が高くなってしまって、VR空間で船長を見られるチャンスなんだけども当たらなかった……という人もすごく多かったと思うので。直接お話出来るわけでは無いけど、VR空間で歌って踊って「そこにいる」船長を見られるって機会は全員にあって欲しいなと。チケットを買えば全員見られるようにと思って、提案させていただきました。
──VRライブは船長からの提案だったんですね! 配信でもVRゲームの実況をされたりしていましたが、以前からVRに興味をお持ちだったんでしょうか。
実はデビューするちょっと前から、VRの機材を持っている友達の家で遊ばせてもらったりしていました。
──今後、VRでこんな活躍をしてみたいというのはございますか。
やっぱり当選しなかった方も当然いらっしゃるので、こういった催しはまたやりたいです。目標としては、新しい3D衣装か、ホロライブサマーの水着ではなく船長オリジナルの水着でバーチャルキャストに登場したいなと思うので、次やるときはその目標を叶えたいなと思います!
大人気VTuberであり、VRのような新技術にも意欲的な宝鐘マリンさんの、今後のますますの活躍に期待したい。
(Text by 松xR)
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