スクウェア・エニックスがプロデュースするアイドルグループ「GEMS COMPANY」(ジェムズカンパニー、通称「ジェムカン」)は11月18〜20日、4thライブ「ジェムカン学園祭っ!2022」を東京・神田スクエアホールにて開催した。1年ぶりの有観客ライブということでファンの期待も高まる中、MCやセットリストがすべて異なるという5公演を3日間でこなし、客席に興奮の渦を巻き起こして大熱狂で幕を閉じた。
本記事では、メインMCを長谷みことさん、星菜日向夏(ほしなひなか)さん、一文字マヤさんが務めた5公演目、千秋楽の様子をレポートしていこう。11月27日の20時まで販売しているアーカイブについては、11月27日の23時59分まで視聴可能だ。
●アーカイブ
・dTV:https://video.dmkt-sp.jp/ft/s0007387
・Z-aN:https://www.zan-live.com/live/detail/10255
●過去のライブレポート
・GEMS COMPANY、初ライブ「Magic Box」レポート 宝箱から飛び出した彼女たちの生々しさに感動
・GEMS COMPANY「Magic Socks」ライブレポート メンバーとファンの愛が埋めた、珠根うた不在の穴
・GEMS COMPANY、2ndライブ「プレシャスストーン」レポート 美しさあふれるライブの現場に自然と涙
・GEMS COMPANY、3rdライブ「CHANGENOWAVE!!!!」レポート 新体制で生まれるもの、受け継がれるもの
相変わらずの全力パフォーマンスに感銘
今回、ジェムカンのライブに参加して改めて確認したのは、彼女たちとそれを支えるスタッフのライブに対する真摯さだ。
バーチャルアイドルというジャンルにおいて、一番の晴れ舞台といえばやはりライブだろう。わずか1、2時間ほどの上演時間に対して練習を繰り返して歌や踊りを突き詰め、ステージの上で一気に花を咲かせる──。
VTuberというジャンルはネットの動画投稿や生配信から始まっているものの、バーチャルアイドルの本懐はリアルの場でパフォーマンスで観客を沸かせて興奮と一体感を生み出すことにあるはず。リアルのアイドルとなんら変わりはないし、シンガーやバンドなどとも共通する話だ。
その点で、今回の「ジェムカン学園祭っ!2022」は見事な突き詰め方だった。一番印象に残ったのは、もちろん彼女達の存在感だ。感情のこもった歌声やダンスだけなく、1回の公演では歌い尽くせないほどの数、かつ曲調も楽しい方面からシリアスなものまで豊富なオリジナル曲たち、バーチャルアイドルとしては異例な衣装の多さなど、いくらでも列挙できる。
全編が見どころだったが、目新しさであげるなら、全体曲では8曲目に歌った新曲「サヨナラノート」に触れたい。失恋を綴った切ない歌詞をメンガーが1人ずつしっとりと歌い上げ、ステージ上で白い学生服(?)の新衣装でフォーメーションを変えていく様子はまさに「美しい」の一言。
ジェムカンの全体曲といえば、元気をもらえるアップテンポなものが多いが、シックな「サヨナラノート」は逆にクールダウンパートとしてライブのセットリストに組み込みやすく、これからも感動を呼び起こしてくれそうな印象を受けた。
ソロ曲からは、小瀬戸(こせど)らむさんの初オリジナル曲「Happy♪ Lucky♪ Sharing!!」をピックアップ。YouTubeにて先行でショートバージョンを公開していたもののフルバージョンを今回のライブの初日に初披露した。ジェムカンのソロ曲は、割と歌うメンバーの等身大を歌詞にしていることが多く、「Happy♪ Lucky♪ Sharing!!」もその路線だ。ステージの小瀬戸さんがとにかく可愛い(語彙力)ので、ぜひアーカイブでチェックしてほしい。
3人のMCパートもとても楽しかった。体の柔らかさを競ったり、男装コンテストを開いたりと、シリアスなステージのまさに箸休めになっていて、笑顔で見ることができた。
インタビューパートに思わず涙
彼女たちを引き立ててくれる演出もとてもよかった。
VTuberのライブというと、ド派手な背景動画や、印象的な動きを見せる歌詞を映像演出として使うことも珍しくない。一方で、今回のライブは背景は真っ黒。ステージには彼女達が立っているのみで、視覚演出といえばリアルの照明だけ。
一見シンプルに見えるが、例えば、スポットライトが前から当たった際に後ろに影ができていたり、後ろから当たる光に肌の表面が透けていたりと、いつもながら細部が突き詰められている。定番といえば、ジェムカンのライブでは、曲の前にメンバーが舞台袖から歩いてきてポジションに着くという演出をきちんと入れている。
料理で言えば素材の味を最大限に引き出すように、本当に細かいことの積み重ねで、バーチャルだけどリアルのアイドルとしてステージに存在させているのがめちゃくちゃすごいのだ。それを第1回から変わらずに続けてきていることが、スタッフ側のエンターテインメントへの真摯さを感じさせる。
さらに千秋楽のアンコール前に入った、全員のインタビューパートがとてもよかった。ピアノのBGMも相まって、客席の周囲からは啜り泣く音が聞こえるぐらい、ライブやジェムカン自体への思いを真摯に語る言葉がとても心に響いた。現地やネットで見ていて感銘を受けた人も多いはず。一部だけ抜粋していこう(敬称略)。
Q.どんなライブになっていると思いますか? 希望も含めて
一文字マヤ えー、なんか来た人たちが私たちのライブを見て、「すっごいジェムカンってかっこいいじゃん。推しててよかったなー」って思えるライブになっていると思います。色んな人に支えながら作ったライブなので、めちゃめちゃ超大盛り上がり! ハハハ、なんかこう言葉にすると軽いな(笑)。また来たい、次は友達連れてこようみたいな、新しなみを呼べるようなライブになっているんじゃないかな、と思います。
Q.ライブで何を伝えたい?
音羽雫(おとわしずく) このライブステージもさぁ、一つの人生というか、人生を歌で見せるみたいな感じだから、その歌に楽しいなとか、悲しい……でもないけど切ない曲とかだとなんか感動とか、いう感じで感情をね、揺さぶれるようなステージができたら一番お客さんも楽しんでもらえるのかなって思っているので、感情を揺さぶられるような歌を届けられるように、ポン姉はがんばりたいなって思います。
Q.見てくれている皆様に一言お願いします。
赤羽ユキノ みなさん本日は「ジェムカン学園祭っ!」、千秋楽に足をお運びいただき本当にありがとうございます。この学園祭がみなさんにとって素敵な最高に楽しい思い出になっていれば、本当にユキノたちにとって最高に嬉しいことです。ユキノもこの3日間、5公演、すごく楽しかったと思います。今、袖にいるユキノは最高に楽しい状態だと思います。ぜひこれからもGEMS COMPANY、楽しいことをいっぱい作ってみんなと一緒に楽しい人生を送っていきたいと思いますので、これからもGEMS COMPANYよろしくお願いします。ご来場、ありがとうございました。
鳴り止まない力強い拍手から、観客全員の素直な感動が伝わってきた。ライブもMCも、インタビューのパートも文字だけのレポートではなかなか伝わりにくい部分があるので、未見の方ならぜひアーカイブを視聴しておいてほしい。
●セットリスト
M1. チアリータ♡チアガール
M2. Happy♪ Lucky♪ Sharing!!/小瀬戸らむ
M3. ジンセイJust do it!!!表明/星菜日向夏
M4. FUN FUN JAPAN ~ 津々浦々四季折々 ~/びびっとぺんたぐらむ
M5. ガダルカナル/赤羽ユキノ、長谷みこと
M6. 形而境界のモノローグ/水科葵
M7. 少女聖戦パラドクス/長谷みこと
M8. サヨナラノート
M9. ときめきドリームライン
M10. 凛と舞いましはんなり小町
M11. ゴールデンスパイス
M12. GHANGENOWAVE!!!
*アンコール
M13. チアリータ♡チアガール
(TEXT & Photos by Minoru Hirota)
*次ページでは紹介しなかった曲の写真をどどんとレポート!