KMNZ、4thワンマンライブ「AREA111」レポート 満員の客席と叫んだ「3、2、1ではなく 1 、1 、1 3人まとめてNo.1」

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RK Music所属のバーチャルガールズHIPHOPユニット・KMNZが、川崎のCLUB CITTA’にて4th ONE-MAN LIVE「AREA111」を開催した。今年1月15日に行なった3rd ONE-MAN LIVEから半年も経たずしてのライブ、しかも場所はCLUB CITTA’ということで、メンバー3人・集まった観客たちも気合十分に臨むこととなった。

アンコール含めた19曲は、ダンス&ポップな一面から早回しのラップ、意外なカバーソングまで揃えており、平日に関わらず集まった観客たちをロックしたのだった。高いハードルを乗り越えてみせたこの日のライブを振り返ってみよう。

KMNZ、6/25ライブ「AREA111」直前インタビュー トリオとして繋がった団結と連帯

6月は梅雨の時期。ライブ当日までの数日は雨模様となるぐずついた天候が続いていたが、当日は雨からは運良く逃れ、晴れ間も見える、そんなライブ当日を迎えた。多くの人が晴れを願っていたのは言うまでもないが、メンバーのネロは自身の晴れ女ぶりをアピールしていた。

会場に入ると、ステージの大型スクリーンが表示する赤い引き幕に目を引かれる。その幕の後ろをメンバー3人がそれぞれ歩いて通過したり、左側や右側、さらに幕の間からしっぽや頭、耳をみせるなどして会場の観客にアピールしていた。

開始5分前になると、メンバー3人によるライブ中の諸注意を促すナレーションが始まる。最初は少しだけ落ち着いた口調でしゃべりかけ、その後は和やかに3人が注意を促していく。明るく返事をする会場のファンたちだが、実はこの時点でCLUB CITTA’のフロアはパンパン状態。係員が前へ詰めるようにアナウンスし、ようやく入りきれるようになるほどだった。

オープニングムービーがスタートすると、ムービーは流れるが音声が聞こえないという状態であることにハッと気づく観客たち。そんな空気を察してハンドクラップで迎え入れ、音声が戻ると歓声があがった。あたたかなムードのなかでスタートした1曲目は、「SUNDAY NIGHT MAGIC」であった。

赤い幕が左右へと引かれ、オルゴールに似た導入から金管楽器の音色が華やかなイントロとともにティナ、リタ、ネロの3人が並ぶ姿が見えると、会場からワッと歓声が上がる。パーティを始めるには若干穏やかな選曲だが、カラフルなサウンドと出足に会場のテンションがあがっていく。

2曲目からは「NEW DAYS」「FREELY」とクラブミュージックライクなダンスポップがつづき、グッと盛り上がりを強めていく。手を上げて観客を煽り、サイドステップを軽く踏みながら歌っていく3人。4つ打ちやPPPH(アニソン関係でよく使用されるリズムパターン)でリズムを合わせたりと、観客を盛り上げていく。

それに加え、3人それぞれのボーカリストの振る舞いも堂々としている。観客にむけてオドけたり、ボーカルにフェイクを加えて歌い、3人とも集中してパフォーマンスしていく。ティナのふわっとした高めの歌声、ネロのパンチの効いたボーカル、その2人のサポートを受けながらリタのボーカル&ラップはよりハッキリと目立つようだ。

MCに入ると、開幕の挨拶からボケを挟みながら進行していく。KMNZ自体が7周年を迎えたことにくわえ、ティナとネロの加入から1年を迎えたことにも喜びつつ、4曲目「META FICTION」「LUNATIC BEAST」を立て続けに歌っていく。

ワブルベースが効いたサウンドに4つ打ちやドラムンベースが降り混ざったトラックに、3人のマイクリレーとなった「META FICTION」、「LUNATIC BEAST」では3人の瞳がギラリと輝き、青・緑・紫・黄の細いサーチライトが会場内を妖しく照らしていく。6曲目では、より深くクラブサウンドに寄った「GROWL」を披露。ゴリゴリなベースサウンドでイカつい楽曲を会場にカマしていった。

ここから3人それぞれがソロ歌唱していくパートへと移っていった。ティナが「ビビデバ」、ネロが「感電」、リタが「よふかしのうた」とそれぞれに歌っていく。VTuberシーンで最もヒットした楽曲と言えよう「ビビデバ」をカバーするティナ、自身がもっとも刺激を受けた1曲を歌うネロ、最低限のコーラスのみかつほぼ自身自身の声だけでラップしていったリタの「よふかしのうた」と、三者三様のパフォーマンスだった。

そのなかでも米津玄師「感電」をカバーしたネロのパフォーマンスは、原曲の細やかな生ドラムがある程度シンプルな8ビートへ差し替わった音源に変わっていたことで、まるでブーンバップのように響く。そんなサウンドのなかで、力強いハイトーンから力を抜いて歌っていくところまで、しっかりと抑揚をつけたボーカルで会場を掌握していたネロ。その姿に、この日訪れた観客は驚いただろう。

ソロ歌唱を終えた3人が揃い、今度は3人で「ウェカピポ」をカバー。あの早口ラップはもちろんのこと、「ア アラララァ ア アァ!」というネットミームにもなっているおなじみの言い回しまで再現した。ミラーボールに反射したライトが青とピンクの照明とともに会場を染め、会場はまさにディスコなムードに包まれていった。観客側とコール&レスポンスを交わすオリジナルパートをはさみ、よりグッと盛り上がっていく。

つづいてアップテンポな「Kickin The Pride」では、3人のボーカル&コーラスは声質とハマりかたともにぴったり。アップテンポなこの曲につづく「DROP IN」が披露されると、会場のボルテージはついに頂点に達した。

「Drop in the World」のバースでリズムが落ち着いたあと、スネアロールによるビルドアップと「音に乗りな 楽しみな!」「Dance Bounce! Dance Bounce!」というボーカルから、「ト・ビ・コ・ミ・ナ!」で一気に爆発。会場の観客ほとんどがジャンプ&アラウンドする熱狂空間が生まれたのだ。

6月13日に正式リリースされてから2週間と経っていないわけだが、すでにキラーチューンとしてファンに受け入れられているのがわかる。その狂乱ぶりに、曲が終わった後にメンバーが「盛り上がりすぎ!!」と声を上げるほどだった。

そこにこちらも新曲「WAVE」をフロアに投下。NCT DREAM、Stray Kids、SEVENTEENらに楽曲を提供した経験もあるTAKによる提供楽曲は、バイレファンキ~ベースミュージックに影響を受けたポップス。途中でビートチェンジしたり拍の取り方が難しいはずのこの曲、観客を前にして歌うのはもちろんこの日が初めてのはずだが、難なく歌っていった。

「ここからはKMNZのチルでグルーヴィーな感じの曲を楽しんでいただけたらなと思います」というMCから、「CALLING」「MIRROR」を披露した。どちらもギターサウンドやシンセサウンドを活かしたグルーヴィな楽曲であり、3人それぞれがファルセットと地声を絡めて歌っていく。

KMNZ3人のうちでふわっとした質感と高めの声色を持っているティナが、こういった楽曲ではより華を放つ。ポップ&グルーヴィなサウンドに愛らしさや柔らかさが混ざり、彼女らしさが映えて響くのだ。

直後のMCで「アゲな曲が多すぎて疲れた」とこぼすティナに、リタとネロが隣で笑っているという構図になったが、確かにここまでのライブの流れを見れば「疲れた」とこぼしてしまうのも納得だ。和やかな会話のなかで「うちらはまだまだ走っていけるなと思いました」とリタが言葉にすると、大きな歓声と拍手が起こる。まだライブは終わりを迎えていないが、それほどの達成感が彼女の中にあったのだろう。

本編ラストは「BE NOISY!」。アップテンポなエレクトロサウンドで会場の熱を再度点火し、「最後まで楽しめー!」という煽りとともに観客全員をハンドクラップさせ、ガツンと盛り上げていった。

左右から引き幕がゆったりと引かれていき、惜しまれながらメンバーを見送った観客らが、すぐさまアンコールを要求する。するとアンコールを求めはじめて数分と経たずに再び幕が開き、なんと「R U GAME?」を披露した。

印象的なシンセサウンドとギターリフのイントロが響いて大盛りあがりの観客たち、ハネるようなギターサウンドとスネアドラムにのって、3人のボーカルがユニゾンし、観客らもピョンピョンと跳ねていくように踊っていく。

アンコール2曲目は「MID JOURNEY」。ライブの最終盤にリタ、ネロ、ティナの出会いを描いた1曲を歌うという流れに、心温まった観客もいただろう。それはメンバーも同じようで、歌い終えてMCへとうつると、白シャツ・黒シャツにそれぞれ着替えたメンバーを紹介しようと口を開いたネロが、うまく言葉にできずに詰まってしまったのだ。

「誰か読んで!」と他2人にMCをパスし、涙を拭うネロ。メンバー2人や観客からあたたかな言葉や拍手が送られたのはいうまでもない。3人それぞれに観客に向けて言葉をかけ、「VERSE」をラストに披露した。

先日伺ったインタビューでは、「VERSE」について「新しく3人になったKMNZにとってのテーマソングや主題歌というイメージ」とリタは語り、ティナとネロも同調するなど、彼女らにとって最も重要で大切な楽曲だといえよう、最後を飾るにはふさわしい。

リタからは「しんみりしないよー!」と、ネロからは「 泣くなーー!」とこの日集まった観客に向けて声を掛ける。3人それぞれにパワフルなボーカル&ラップ、7色のサーチライトがカラフルにフロアを染め、そのなかで観客は最後の瞬間を楽しんでいった。

3人ってそんなに簡単じゃないけど

たどり着くなら順番は

3、2、1ではなく1、1、1

3人まとめてNo.1

観客全員で合唱していくその光景は、ある種の美しさすら感じさせてくれるものだった。

アンコールを終え、改めて幕が引かれていく。大きな拍手とともに彼女らを見送っていく観客らの胸中には、1つのショーを見終えた感傷と、まだまだ楽しみたい!という気持ちが混ざりあった心が見えてきそうだ。すこし泣き声気味のネロが閉場アナウンスをつたえると、3人ともマイクを通さずに「ありがとうございました!!」と大きな声で感謝を伝えてくれた。

5ヵ月という短いスパンで4度目となるソロライブを開催するため、彼女ら3人はこの間にいくつものライブやイベントに出演し、ライブパフォーマンスの精度を高めていくことに注力した。それでいてどの現場においても、「3人体制となったKMNZ」であることをいま一度アピールし、納得させることも重要になってくる。こうしてサラリと書いてみたが、3人体制となったKMNZにとってこれらは最初のハードルであったのはいうまでもない。

前回のライブからいかに成長し、飛躍したかが自ずと問われた今回のライブで、バッチリな回答を見せたのではないだろうか。

ネロが途中のMCで「1人のシンガーとして、歌が爆速進化しました」と話していたが、ティナとネロの成長を感じたファンは多かったはずだ。ソフトタッチかつ高めの声で華を添えるティナ、リタに負けず劣らずパワフルなボーカルすらみせたネロ、2人がリタに寄り添ってコーラスを合わせていく。2人の色をハッキリと感じられたファンはいたはずだ。

さて、新体制1周年とデビュー7周年を迎えたKMNZだが、当然その歩みが急に止まることはないだろう。むしろこれまでの活動から考えれば、いまが一番ハイペース。このまま様々なライブイベントに出演しまくり、ライブ巧者なグループへと成長していくようなことがあれば、ファンにとっても嬉しいだろう。


●セットリスト
M1. SUNDAY NIGHT MAGIC
M2. NEW DAYS
M3. FREELY
M4. META FICTION
M5. LUNATIC BEAST
M6. GROWL
M7. ビビデバ(cover)
M8. 感電(cover)
M9. よふかしのうた(cover)
M10. ウェカピポ(cover)
M11. Kickin The Pride
M12. DROP IN
M13. WAVE
M14. CALLING
M15. MIRROR
M16. BE NOISY!

*アンコール
M17. R U GAME?
M18. MID JOURNEY
M19. VERSE

(TEXT by 草野虹


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