中国と日本を拠点に活動し、6人のメンバー全員が両国の言葉を流暢に操る国際的バーチャルアイドル「リブドル!」(ReVdol!、战斗吧歌姬!)。bilibili動画とYouTubeでの公式チャンネルの総再生数は7000万回を超え、9月に開催されたバーチャルアイドルライブフェス「Life Like a Live !」(えるすりー)でも、洗練されたライブパフォーマンスを披露して話題を集めた。
10月11日には日本では初めてとなるオンラインワンマンライブ「ReVdol! 2nd Anniversary Live Wish -願い-」を開催し、その様子をOPENREC.tvとニコニコ生放送で生配信した。
昨年10月の初ワンマンライブは上海で実施し、リアルタイム配信はbilibili動画のみ。後日、日本語字幕の付いたアーカイブがYouTubeで公開される形だったが、今回のライブではすべてのMCが日本語で、楽曲の大半も日本語バージョンで披露していた(リブドル!のオリジナル曲の多くは、中国語と日本語の2バージョンがある)。
6人の歌とダンスだけでなく、楽曲、衣装、セットなどあらゆる面でリブドルならではのスケールの大きさを感じた全16曲、約2時間のオンラインライブをレポートしていく。
なお、リブドル!の活動当初の流れについては、2019年8月に開催した「シーズン2 一気見応援上映会」の記事にもまとめている。
「キミのためのアイドル」がステージに登場
さまざまな国から集められたアイドルの卵が、未曾有の危機に瀕した世界を歌声で救うことのできる歌姫「スワン」を目指して、競い合いながら成長していく。そんなストーリーがショートアニメや生配信によって展開し、サポーター(ファン)の応援の結果によって物語も変化することがリブドル!ならではの特徴だ。
このライブの配信も、まるでアニメのようなオープニングから始まった。
開演時間になると、ステージへと向かう通路で円になり中心で手を重ね合っているメンバーの姿が映しだされる。モーシィさん、イザベラ・ホリーさん、カティア・ウラーノヴァさん、神宮司玉藻さん、ローズ・バレットさん、李清歌(りー・せいか)さんの順に、今から始まる2周年ライブに向けての思いを語り、「リブドル!いつでもあなたのそばに!」と全員で声を合わせて気合いを入れて、ステージへと歩いて行く。
そして、カメラに映る映像がステージの全景へと切り替わり、ライブが開幕。
最初の曲は「World of the happiness! -Japanese ver-」。まずステージ上には、3~4倍に巨大化したメンバーのホログラムが映し出され、入れ替わるようにその足下に6人が登場。6人全員、3人ずつなど、さまざまな組み合わせでシンクロしたダンスを踊りながら、日本語がネイティブなアイドルとしか思えない綺麗な発音の美声を響かせていく。
また、楽曲ごとの専用衣装が豊富な上にハイクオリティなのがリブドル!だ。
「World of the happiness!」の衣装は、スカートの後ろ側だけ長くなっているのだが、スカートの裏生地はタイル柄で、メンバーカラーを基調にしたグラデーションの光を放っている。しかも、ライブ中も色を切り替えながら点滅しているのだ。ちなみに、このライブで披露したステージ衣装は、すべての楽曲で異なるものだった。
「みなさん、こんばんはー。私たちは、君のためのアイドル、リブドル!です!」という挨拶から始まった最初のMCでは、さっきまでのクールな姿からは一変して、メンバー全員が大はしゃぎ。大きく手を振りながら、配信を見ているサポーターに呼びかけていく。
アイドルライブの定番、メンバー個々の自己紹介を終えた後の2曲目は、チョコレート色のドレスに着替えて「HEART WINGS~心の隨に~」を披露。全員曲でありながら、ユニゾンもコーラスも一切なく、ソロパートをリレーする形で全編を歌うユニーク構成の曲だ。メンバー全員の歌唱力が高く、穴がないからこそできる歌割りだろう。
続く「HEROINE」は、衣装も曲調も中国的イメージの強い曲。それに合わせてか、1番は中国語バージョン、2番は日本語バージョンで披露していた。ステージの背景も霧深い山並みが描かれた水墨画だった。
6人のメンバー全員が個性あふれるオリジナルソロ曲を披露
「HEROINE」の歌割などが決まった春の「アイドル超特訓」の思い出を振り返るMCの後は、ソロ曲コーナーだ。6人のメンバーがオリジナルソロ曲を順番に披露していく。
黒いドレスと網タイツの姿と力強い歌声で大人のステージを見せたローズさんの「Believe The Rainbow」。
和装風衣装とアイシャドウ濃い目のメイクで妖艶な雰囲気を放ち、しなやかな手足の動きを生かしたダンスも魅力的だった玉藻さんの「本気STARDOM!!」。
歌声やダンスはもちろん、ジャンプをするときの「やあ」という掛け声も可愛すぎるカティアさんの「No_GameOver_World」。
タイトなパンツスタイルの衣装がぴったりと似合い、ダンスも歌声も色気があるのにカッコ良いモーシィさんの「Ambitious Beast」。
ライブ冒頭から特にテンションが高く、常に楽しそうな笑顔を見せていたイザベラさんの「Smile For My Life」は、イメージどおりにポジティブな曲。
ソロ曲コーナーを締めくくる清歌さんは、「清らあの舞台」で美しい琵琶の旋律と、透明感あふれる歌声を響かせた。
約3ヵ月の猛特訓の成果を見せた生バンド演奏
ソロ曲コーナーが終わると、今度はメンバー全員が楽器とともに登場した。6人は、この2周年ライブで生バンド演奏を行うために、約3か月間、それぞれの担当楽器を猛特訓してきたのだ。
ローズさんはギター。モーシィさんはベース。カティアさんは電子ドラム。イザベラさんはDJでキーボードも演奏。清歌さんは中国の伝統的な弦楽器の二胡。そして、中央のメインボーカルポジションに立つ玉藻さんはタンバリン。変則的な編成のバンドだが、演奏の前からすでに楽しそうだ。
ファンのコメントを相手にコールアンドレスポンスをしてテンションを高めた後、新曲でありバンド曲の「Unite -Japanese ver.-」を初披露した(練習中の様子)。
楽器を触ったこともないメンバーもいた状態からの短期集中特訓ながら、見事に1曲を演奏。何よりも、メンバーが楽器の演奏を楽しんでいることがしっかりと伝わってくるステージだった。また、ギターやベースなどを持ったまま動き回っても映像的な破綻はなく、楽器を操る指の細かな動きも反映。バーチャルライブに関する技術力の高さも改めて実感した。
続いては、突然、お芝居コーナー「アドリブ劇場」がスタート。テーマは「浦島太郎」。語り手の清歌さんからの無茶振りに応えながら、5人のメンバーが即興でセリフや行動を考え、物語を展開していく。
イザベラ亀を助けたカティア・ウラーシマは、竜宮城で豪華な歓待を受けるのだが、そのもてなしとは、水着姿のメンバーのスクショタイム。カティアさんの指示に従い、5人がさまざまなポーズを取っていく。最後は、他のメンバーの指示により、カティアさんもカメラに向かって可愛くポーズ。カオスな展開の浦島太郎だったが、サポーターも大満足で、めでたしめでたしとなった。
リブドル!の始まりの曲「Pre-STAR」などでさらに熱狂
サポーターの間でも人気の夏曲「Cool Girl -Japanese ver.-」でライブパートが再スタート。海と砂浜の映像を背景に、キュートで練度の高いフォーメーションダンスと歌声を披露すると、配信のコメント欄は「くーが! くーが!」の文字で埋まる。
「Cool Girl」で盛り上がったままのテンション高めなMCで、イザベラさんが「ここからは本当にラストのラスト。最後のスパートをかけていくよ、みなさん!」と宣言すると、玉藻さんも「怒濤の曲ラッシュ、いきますわよー!」と絶叫。清歌さんは「次の曲は、リブドル!としての始まりでもあるあの曲です」と優しすぎるヒントを出し、モーシィさんが「みんな、ここから3曲、続くよ。盛り上がる準備はできてるよね?」とサポーターを煽る。コメント欄の熱い反応を見て大喜びのメンバーが告げたラストスパート最初の曲名は、ショートアニメ シーズン1の主題歌でもあったリブドル!最初のオリジナル曲「Pre-STAR -Japanese ver.-」
イントロ後すぐに力強いサビが来る初速の速い楽曲で、コメント欄のサポーターもいきなりクライマックス状態に。6人が完璧にシンクロしたフォーメーションダンスの魅力と、各メンバーの個性が表現されたソロダンスの魅力の両方も楽しめる、まさにリブドル!を代表する曲だ。サビやラストの決めポーズがメンバーごとに異なるのも戦隊物やプリキュアのようで、オタク心が刺激される。
ラストスパート2曲目は「絶対!Has Come -Japanese ver.-」。ここまでのセトリの中では、少し異彩も放つほどに可愛さ全開のアイドルソング。全員ミニスカートの衣装もダンスも、可愛さに全振りだ。片足を上げたままぴょんぴょんと横にスライドしていくサビの振り付けは、思わずループして見たくなるほどだった。
続いては、ショートアニメのシーズン1最終話、リブドル!の初ライブシーンで歌われた「Music Fighter」。モーシィさんが加入しメンバーが6人になってからは初披露となる曲で、歌詞は中国語バージョンのため(日本語バージョンは未発表)、筆者には内容はまったく分からなかったのだが、そんなことは無関係に、観て聴くだけでテンションがまた高まっていく曲。サビの「Fight!Fight!Fight!」というコールも楽しい。
ちなみに6人は、この3曲連続のブロックでも1曲ごとに異なる衣装でステージに立っていた。リアルアイドルには不可能な速さで衣装替えができるのはバーチャルアイドルならではの魅力だが、リブドル!ほど衣装持ちのグループを筆者は知らない。
最新曲「Wish You」でライブ本編はフィナーレ
「Wish You」の衣装に着替えてからのMCでは、一人一人順番にデビューからの2年間の思い出やこのライブのことを振り返り、メンバーやサポーターへの思いも語っていく。後ろで流れる静かなBGMの力もあり、コメント欄のサポーターも感傷的な雰囲気に。筆者は、その内容に感動しつつ、今さらではあるが「みんな本当に日本語、上手だな」と感心していた。
そして、ライブ本編最後の曲は前日にMVが公開されたばかりの「Wish You -Japanese ver.-」。柔らかく温かみのある楽曲で、それにぴったりマッチした6人の歌声とダンスに心が癒されていく。また、流れるようにしなやかな動きをここまで再現できる技術力の高さにも改めて驚かされた。
歌い終えたばかりでまだ呼吸も乱れ気味の6人が「皆さん、本日は本当にありがとうございましたー!」とサポーターにお礼を伝え、「以上! リブドル!でしたー!」とステージを去ると、コメント欄は「アンコール」の文字で埋まる。中には、「アンコールしていいのかな?」と様子を窺っているコメントがあるのも、オンラインライブならではの光景で面白い。
サポーターの声に応えてステージに戻って来た6人は、ここでも衣装を着替えており、上は2周年記念Tシャツ、下はスカート、ジーンズ、ハーフパンツなど各メンバーの私服っぽいチョイスになっていた。
しかも、Tシャツは裾を切ったり、穴を開けたり、記念グッズの缶バッジを付けたりと、一人一人異なる形にカスタマイズしており、背中にはメンバー間でメッセージを書き合っていた。アンコールでカスタマイズしたライブTシャツを着て登場する演出は、声優などのリアルライブでよく見かけるものだが、バーチャルアイドルのライブで見たのは初めて。ここでも、リブドル!の衣装に対するこだわりの深さを感じた。
年末にデジタルファーストアルバムが発売!
6人が通販でも販売中のTシャツや缶バッジを紹介しながら盛り上がっていると、突然、リブドル!が所属する組織「イドゥン機関」のアイ教官によるアナウンスが流れ始める。
「なんと、年末にリブドル!のデジタルファーストアルバムの発売が決定。そして、そのアルバムには、今からアンコール曲で歌うあの曲の日本語版を初収録しているわ」
サプライズ告知を聞いて、喜びあうリブドル!の6人とサポーターたち。
ローズさんの「私たちの締めの曲と言えば、この曲だよな」という声に応えて、全員で叫んだ曲名は、ショートアニメ シーズン1のエンディングだった「Happy Candy Life」。
この曲用の衣装であるパステルカラーのミニドレスに着替えた6人は、明るくキュートな王道アイドル曲で最後まで最高の「可愛い」をぶつけてくる。
最後のMCでは、全員が手を繋いで「本日は、どうもありがとうございましたー」と深々とお辞儀をした後、「リブドル! いつでもあなたのそばに!」と声を合わせて叫び、ライブは終了。会場にカラフルな風船が大量に飛ぶ中、カメラがステージから遠く離れていっても、6人は大きく手を振り、お礼の言葉を伝え続けていた。
元々、持ち曲が多い中、日本語版の歌詞を覚え、アドリブの芝居やMCができるレベルの日本語も習得。複雑で高度なダンスも身につけて、このライブに向けては楽器まで猛特訓した6人の歌姫。
そして、その活動を支え、最先端のオンラインライブという形に結実させたスタッフたち。この2周年ワンマンでは、ステージに立つ6人だけでなく、「リブドル!」という存在に賭ける大勢の人々の圧倒的な熱量を実感した。
すでに完成形にも思えるクオリティでありながら、まだまだ進化や成長を止めようとしていないリブドル!。この先も、われわれの期待や想像を軽々と越えていき、新しいバーチャルアイドルの世界を見せてくれることを確信している。
●セットリスト
M01.World of the happiness! -Japanese ver.-
M02.HEART WINGS~心の隨に~
M03.HEROINE
M04.Believe The Rainbow
M05.本気STARDOM!!
M06.No_GameOver_World
M07.Ambitious Beast
M08.Smile For My Life
M09.清らあの舞台
M10.Unite -Japanese ver.-
M11.Cool Girl -Japanese ver.-
M12.Pre-STAR -Japanese ver.-
M13.絶対!Has Come -Japanese ver.-
M14.Music Fighter
M15.Wish You -Japanese ver.-
アンコール
M16.Happy Candy Life -Japanese ver.-
(TEXT by Daisuke Marumoto)
●関連記事
・リブドル!「シーズン2 一気見応援上映会」レポート 日本での初ライブにペンライトの花が咲き乱れた!
●関連リンク
・チケット販売ページ(OPENREC.tv)
・チケット販売ページ(niconico)
・物販ページ(BOOTH)
・リブドル!(公式サイト)
・リブドル!(YouTube)
・リブドル!(Twitter)