【VIVEトラッカー】アンバサダーインタビュー VTuberに聞く「多点トラッキングって実際どう?」

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HTC NIPPONはDMM.comと共同で、「VIVEアンバサダー」プログラムを実施している。このプログラムは、アンバサダーとして選出されたVTuberやインフルエンサーに、ブログやSNS、動画配信チャンネルなどを通じてVIVE製品の魅力を発信してもらうもの。アンバサダーには未発売のものを含む最新機器が貸し出され、アンバサダーたちがそれぞれ使用感や魅力を伝えていくというコンセプトだ。

今回PANORA編集部では、4名のアンバサダー経験者に集まってもらい、VIVEを使ってVR空間で合同インタビューを実施した。登場いただいたのは、ばぶかすさん、青森りんこさん、レオン・ゼロミヤさん、雲母ミミさんの4名のVTuberだ(ミミさんのみ後半から参加)。

各自に、4月に発売されたモーションキャプチャー機器の新製品「VIVEトラッカー(3.0)」「VIVEフェイシャルトラッカー」を使ってみて感じたことや、アンバサダーとしての活動で得られたものなどを聞いた。VTuberたちの演者・配信者としての生の声が聞けるインタビューとなっているので、ぜひ最後までお読みいただきたい。

「VIVEトラッカー(3.0)」「VIVEフェイシャルトラッカー」の紹介動画

もはや6点以上は当たり前?

──まずは簡単に皆さんの自己紹介をお願いします。

ばぶかす 研究所で開発された人造人間のばぶかすです。趣味、大好きなことはお酒とサウナです。動画配信とかTwitterでよくゲームの雑談をしていて、深夜ラジオとかスナックとか言われています。

りんこ ご当地VTuberの青森りんこです。青森県を盛り上げるために1人のキャラクターとして活動しています。あと麻雀とかゲームとかも好きなのでそういう配信もしています。

ゼロミヤ レオン・ゼロミヤと申します。企画動画VTuberという、やってみたとか、検証動画とかのいわゆるYouTuberっぽい投稿をしています。あとフルトラで踊ったりとか、細かすぎて伝わらないモノマネとかも最近やっております。

左から、ゼロミヤさん、りんこさん、ばぶかすさん

──よろしくお願いします。いきなり細かい話になりますが、皆さんはVTuberをするとき、何点トラッキングでキャプチャーしてますか?

みや ヘッドセットに付いている3点に3点プラスして6点ですね。

りんこ 私は今日は3点ですが、普段は6点でやってます。トラッカーは6個持っているので9点までいけます。

ばぶかす 今は8点で、マックスで11点です。

──11点は多いですね!

ゼロミヤ 11点の最後の1ってどこなの?

ばぶかす お腹と背中を分けたりとか。

ゼロミヤ どっちも着けられるんだ。

──トラッカー王を目指すとそこにいきますよね。皆さんって最初からトラッカーをたくさん使ってたんですか? それとも3点から始めて増やしていったみたいな感じですか?

ばぶかす 3点から始めました。

りんこ 私も3点から。

ゼロミヤ 僕は6点からでした。

トラッカーの数によるモーションの違い

「ちゃんと伝える」ための多点トラッキング

──3点から6点になった瞬間って、けっこう感動あるじゃないですか。そういう、初期の頃の感想を聞かせてもらえますか?

ゼロミヤ 初心か~。でもやっぱり足が動くのって全然違いますよね。例えばステップとか踏もうと思ってもこう、上体だけが揺れるみたいになっちゃうから。

りんこ わかるわかる! すごいわかります!

ばぶかす 引きずられた死体みたな感じで動くよね。

ゼロミヤ そうそう(笑)。足が上がるだけで全然違う。

ばぶかす あと腰の動きがあるとやっぱり躍動感が出る。

りんこ 確かにそれはすごい違いますね。

──そうすると、やっぱり踊る時とかがいちばん違いが顕著なんでしょうか?

ゼロミヤ そうですね、踊りとか歌とかする人はやっぱり感じると思います。

ばぶかす あと大きい動きとかじゃなくても、仕草がちゃんと相手に伝わるのはありますね。下半身にトラッカーがあると、ただ普通に立ってるだけでも、どこに重心があって、どういうポーズしてるっていうのが伝わる感じはあります。

──確かに。身体の中の力のかかり具合がトラッカーだとちゃんと表現されて、より生っぽくなるっていうのはありますね。多点トラッキングを導入してよかったと感じたエピソードなどあれば聞かせてください。

ゼロミヤ 細かすぎて伝わらないモノマネとかジェスチャーゲームとか、動きで面白さが出るバラエティー動画ができるようになりました。これはデカイです!

ばぶかす しゃがむ動作がきれいに出るようになったかなと思います。こうやってしゃがんだ時に、ちゃんとヒザを曲げてるのがわかるんですよ。3点だとつぶれる感じになるというか。

りんこ そうそう! めちゃめちゃわかります。3D空間でリスナーさんと交流するイベントなんかの時に、座りポーズで片足伸ばして片足曲げたりとか、そういうグラビアっぽいボーズもできたりするから、色々なポーズができるのも楽しいなって。写真撮ってもらったりできるし、いいなって思いました。

──グラビア! 想像したことなかったですね。

ゼロミヤ 座われないとできないですからね。

りんこ EXILEのグルグル回る動きとかもできます。

ばぶかす あと腕を組んだ時とかも、3点だとぐにょってつぶれた感じになるんですけど、トラッカーが増えると腕を組めるんですよ。これ今ちょっと胸が邪魔なんですけど(笑)。ちゃんと腕を組んでいるのがわかるっていう。

トラッカーに名前記入欄が欲しい!?

──ああー、よくわかります。ちなみに、現状のトラッカーに対して要望とかってあります? こういう部分を改善してほしいとか。

ゼロミヤ すぐバッテリーが切れる!

りんこ わかる~。

ばぶかす あと接続がちょっと面倒くさいっていうもあります。1個ずつオンにしていかなきゃいけない。

ゼロミヤ 最初のセットアップはやばいですね。

ばぶかす ヘッドセット付属の3点はつなげれば始められるんですけど、追加するとなるとハードル上がりますね。パソコンから電源入れたり全部操作できるといいんですけど。

──なるほどー。設定の煩雑さは多点トラッキングならではの悩みですね

りんこ あとりんこは色違いが欲しいって思います。どれがどれかわかんなくなるから。今は付箋付けて区別してるんですけど。ごちゃごちゃになっちゃうから。

ゼロミヤ 僕は(トラッカーの)裏に貼ってる。

ばぶかす 名前書くとこみたいなんでもいいから、何か欲しいですね。

──名前記入欄て、超アナログ(笑)。ただバッテリーについては、3.0で75%ぐらいアップするみたいなんで、駆動時間はある程度増えるかもしれません。それにしても、やっぱり使っているからこそ言える意見という感じで面白いですね。

ゼロミヤ そうですね、使ってみないと全然わかんない。前ににじさんじさんで流行ってたインドダンスを踊ったんですよ。そしたらにじさんじファンの人がいっぱい来てくれたんですけど、にじさんじファンの人はめちゃめちゃクオリティーの高いモーキャプ配信を見慣れてるから、「なんでこんな足ガクガクしてんの?」みたいな感じで書かれたことがあって……。それはシステムのお値段のケタが3つくらい違っててね、みたいな。

──あれと比べられると個人勢はツラいですね。逆に言えば、それくらい高価なシステムと似たようなことが個人でできるソリューションって考えるとすごいですよね。

ゼロミヤ そうなんですよ! 普通にすごいですよ。だから個人勢VTuberとか、ソーシャルVRとかで楽しみたい人にはすごく良い製品だと思います。

リップトラッカーを使ってみた感想

──フェイシャルトラッキングについても聞きたいのですが、「VIVE Pro Eye」みたいなアイトラッカーお使ってる方、いらっしゃいますか?

全員 ……。

──使ってない! じゃあフェイシャルトラッカーを使っている人は?

ばぶかす リップトラッカーはVIVEさんから貸し出ししてもらったので、使い心地はわかります。

──じゃあばぶかすさんに。最初使ってみた時の印象ってどうでした?

ばぶかす 口の表現力がすごい上がりますね。普段ってマイクの音に反応して、自動で口がパカパカ動いてるんですけど、逆に言うと音を出さないと口が動かないんです。今だと口を大きく開くには「ぱーっ」とかって言わないといけないんですけど、トラッカーがあると、無言で口を開くだけでいいんです。だから、特にアンバサダーの中でも無言で活動してる方っていうのは、表情の幅が出せるのでいいですね。

リップトラッカーの使い心地をレポートするばぶかすさんの動画

──それは重要ですよね。全身トラッカーもそうですけど、ニュアンスとかを表現するうえで細かい動きってすごい大事じゃないですか。意図通りの表現が、しかもリアルタイムでできるのがいいですよね。実際に使ってみてこのシチュエーションですごい良かったとかありますか?

ばぶかす 頬をプクーって膨らませたりとか……。表現がやっぱり変わるというか、こういう風に使えますよってツイートした時とかも「わあすごい!」みたいな感じで反響があったりして。やっぱり音ナシで口が動くのがいい。あっかんべーとかもできたりして。顔の表情が全部出せますね。

──VTuberって3Dから始まって、でも今、意外とライブ2Dのほうがい表情を色々出せるし2Dでいいじゃんみたいな流れがちょっと来てるじゃないですか。ここに来て、トラッカーによって3Dでもこれだけ多彩な表情もできて、しかも全身で表現できるみたいなところで、3Dが再評価される流れが来る気がしているんですよね。

ばぶかす なんならVTuberよりもVRチャットとかやってる一般の方とかのほうが意外と取り入れたりするかも。

ゼロミヤ そう、意外とそことコミュニティーが被ってないんですよね。だから、VTuber勢がモーキャプやってるVRチャット勢見て「スゲェ~」みたいになってるのはあるかもしれない。

アンバサダーをやって良かったこと

──わかります。さて次の質問ですが、アンバサダーとして活動していて楽しかったこととか、うれしかったこととかありますか?

ゼロミヤ 僕あんまり声が良くなくて。VTuberってけっこう声優さんのマネとか、歌ってお客さん集めたりとかしていると思うんですが、僕はそれがなかったんで最初はけっこうコンプレックスだったんです。でもアンバサダーになってから、踊ってみたとかモノマネとか、そういう新しい範囲のことができるようになって。ゼロミヤくん踊れたんだとか言ってもらって、そういう自分の新しい魅力みたいなものを表現できるようになったのはすごくうれしかったです。

──いい話だ! ちゃんと自分にハマるものをバーチャルの身体でも出せたっていうのがすごいいいと思います。

ゼロミヤ そうなんです。細かすぎて伝わらないモノマネって身体がないと面白くないんですよ。2Dだと限界があるんで、それができたのはすごくよかったです。

──素晴らしい! えっと、ここでゼロミヤさんはスケジュールの都合で退場ということなので、最後はける時、細かくて伝わらないモノマネではけていただきましょうか、って無茶ぶり。

ゼロミヤ マジで伝わらないんですよね……。じゃあ、「もしかして下にトランポリン入ってるんじゃね? と思わせるほど跳ぶMonsterZ MATEコーサカさん」で。これご本人にも気に入っていただけたネタです。

モノマネを披露するゼロミヤさん

──ありがとうございました~! ちゃんとトラッカーを生かしたネタで去っていく姿がアンバサダーの鑑ですね。じゃあお2人にもアンバサダー活動していて良かった話をお願いします。

りんこ 私はアンバサダーになって初めて3Dになったので、それまでは2Dだったのでできることが限られていて。うれしかったのは皆さんに手を振れるようになったこととか、全身動けることでよりキャラクターをわかってもらえるようになったことですね。2Dのときは大人しいイメージを持たれていたんですけど、3Dではしゃいでいたらけっこう明るい感じなんだねとか言ってもらえて、りんこのキャラクターをわかってもらえて、より親しみやすくなったのかなって思ったりしました。

──これもいい話ですね。ちゃんと自分のキャラがファンに伝わったっていう。ばぶかすさんはどうですか?

ばぶかす ん? 何か音が……。

──あ、今、雲母ミミさんがいらっしゃいました。

雲母ミミさんが登場

ミミ よろしくお願いします!

──よろしくお願いします。えーと、質問の途中だったので、先にばぶかすさんにご回答いただけましたら。

ばぶかす やっぱりリップトラッカーを借りた時は、まだ発売前の製品を体験できて、使ってみてこうしたほうがいいんじゃないかとか、これだったら絶対買いますよとか色々と意見を言って、製品化に貢献できたことですね。もちろん私の意見だけではないと思うんですけど。こちらからHTCさんに提案できるし、HTCさんからも色々お話をもらえたりとかするので。世界が広がるというか、自分だけじゃできないことが経験できてすごくいいなって思います。

──何かを作りたいとか、何かを表現したいっていう人にとっては、新しいものに触って、自分の表現が色々と試せるっていうのはいいですよね。

ばぶかす アンバサダーの中にはVTuber以外にも技術系の方とかもいて、その人たちに色々新しいこととかどうすればいいかとか教えてもらって、VTuber以外の人の見方とか考え方とか、そういう輪の広がりみたいなものも得られたかなと思います。

──そうか、アンバサダー同士で情報交換したりもあるんですね。ということは、アンバサダーになると、使ってる人たちの濃い情報が集まったり、トラブルシューティングなんかもやってくれたりするんですね。

ばぶかす そうですね、手厚くやってくれると思います。

雲母ミミさんはトラッキングエリート!?

──すごくいい環境ですね。ありがとうございました。さて、最後に、今入ってきていただいたミミさんですが、簡単に自己紹介をお願いします。

ミミ バーチャルユーチューバー、ジャンガリアンハムスターの雲母ミミと申します、よろしくお願いします。普段、ポルトガル語を中心に語学系の配信をしてまして、ブラジルですごくバズってしまって……。

──存じ上げております。うちでも記事で取り上げさせていただいて。すごいこういうバズり方する子もいるんだって、編集部で話題になってました。

ミミ 本当ですか! ありがとうございます。記事拝見しました。

──こちらこそありがとうございます。皆さんにした共通の質問をミミさんにもしたいと思います。本日って何点トラッキングでしょうか?

ミミ 今日は6点です。

──おお、やっぱりみんな複数トラッカーなんですね。

ミミ できれば10点とかがいいです。

──多点指向なんですね。以前は3点とかでやってたと思うんですが、それが6点になった時ってどういう風に感じました?

ミミ 私アンバサダーにしていただいて、その時からトラッカーを貸していただいたので、最初から6点でした。

──なんと! 恵まれたお嬢様キャラみたいな。じゃあ6点しか体験してないから3点との違いがわからないですよね……。

ミミ 3点でやる時もありますよ。今日とか下半身はあんまり使わないなっていう日は3点の時もありますけど、なるべく6点でやるようにしています。私、Instagramもやっていておしゃれな写真を撮るんですが、そういうので3点だとけっこう限界があるので、ほかのインスタグラマーに近づけるために6点でやってますね。

──このポーズをとりたいっていう時に3点だととれなかったりする?

ミミ そうですね。足が棒立ちになっちゃうので。

──先ほどの3人のお話の中でも、やっぱりグラビアみたいなポーズは3点だと難しいって言われていて。やっぱり3DのVTuberにとって身体をどう見せるかってすごく大切なんだなと思いました。逆に使っててここを改善してほしいとかありますか?

ミミ 今度新しい小さいのが出ると思うんですけど、小さくてバッテリーが長持ちするのが出たらいいなと思っていたので、私が持ってたモヤモヤがかなり解消されるかなっていうのはあります。

「VIVEトラッカー(3.0)」のウリのひとつが、バッテリー駆動時間が従来モデルから75%アップしたこと

──完全に通販番組の流れですよ、これは。

ミミ そうですよね(笑)。ちょっと綺麗にいきすぎなんですけど。でも本当に、私ダンスとかもするんですけど、足に重たいものが付いてると、動きが重くなっちゃうので、軽くなったらいいなと思ってました。

──なるほど。じゃあ「VIVEトラッカー(3.0)」は願ったり叶ったりみたいな感じですね。

ミミ はい。あと、これは新しいモデルでも難しいかもしれないんですが、「腰トラックが飛ぶ問題」ってあると思うんですけど、トラッカーを身体から浮かすと軽減できるという話があって、私もそれをやっていて、今すごいひどい格好でやってるんですよ。これが改善できるといいなと思っています。

──確かに。先ほどばぶかすさんがお腹と背中に着けてるって言われていたので、それも腰トラックが飛ぶ対策なのかもしれないですね。

ミミ そうなんですね。私も前と後ろに着けてみよう。

──続いてフェイシャルトラッキングのお話なんですけども、過去にアイトラッキングとかリップトラッキングを使った経験はありますか?

ミミ 実はまだ使えてなくて。

──じゃあ、現状で表情に関してこういうことが不満だからこうなるといいなみたいな部分とか?

ミミ  フェイシャルトラッキングがないと、VRの表情ってコントローラーを押して出すとかだと思うんですけど、VRチャットとかをしていて、コントローラーを操作してる手の動きも見えてしまうので、それが嫌だなと思っていて。

──今あいつ表情入れたな、みたいにわかってしまう。

ミミ そうです! だからコントローラーを持たなくてもよくなったりとか、あとは表情をもっとより細かいところまで反映できたらいいなと思います。

──なるほどー。やっぱり使ってる人のリアルな意見って参考になりますね。最後の質問ですけど、アンバサダーとして活動してきてよかったなとか、ここすごいからみんなもやったほうがいいよみたいなお話とかあれば教えてください。

ミミ メーカーさんに直接質問とかできるのがいいですね。けっこう気軽に質問させていただいたりとかできるのと、あとほかのアンバサダーさんが代わりに答えてくれたりとか。私のこの身体を作ってくれた方ができなかったことをアンバサダーさんが代わりにやってくれたりとかっていうのがあります。さっきばぶかすさんもおっしゃってましたけど、技術系の方が結構いらっしゃるので。

──素晴らしいです。本日はありがとうございました。

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