花譜ワンマンライブ「不可解弐 REBUILDING」1万字レポート 激動のコロナ禍に花咲いた魔法のライブ

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激動の変化の中でも、変わることを恐れない

今回の「不可解弐REBUILDING」3公演を体験して、浮かび上がってきたキーワードが「変化」だった。

2018年10月のYouTube初投稿からまだ3年も経っていない花譜だが、この短期間で彼女を取り巻く状況は大きく変化した。

例えば世界。2019年末ぐらいまでは、誰しも2020年に東京オリンピックが普通に開催されると思っていたはず。しかし、新型コロナウィルスの感染拡大防止のために、普通のイベントはおろか、飲食店まで制限されるという異常な日常に変わってしまった。

VTuber業界も同様だ。活動単位が「四天王」や個人勢などの「ピン」から、グループで活動する「箱」が強くなっていき、ネットでのフィールドも動画から生配信に変わっていった。芸人的な見せ方だけでなく、音楽やアイドル、クリエイターなど、「バーチャル×○○」のような別の切り口も広がってきた。

そしてKAMITSUBAKI STUDIO。カンザキイオリ・PALOW.・川サキケンジに支えられて始まった花譜だが、2019年10月にKAMITSUBAKI STUDIOを発足して、より多くのクリエイターが関わり、仲間のシンガーとともにV.W.Pを結成するにまで至った。

もちろん彼女自身が変わっていないわけがない。歌声についても、場数を踏んだことで、初期の「歌ってみた」(カバー)曲と今回のライブでは、か弱さや力強さの表現などが大きく変わってきている。受験のために一時期、活動を休止したうえで高校に進学など、私生活でも大きな変化を迎えた。

環境が大きく変わるということは、心身に相応の負担をもたらす。今ある自分を安定したやり方を変えることも、勇気と努力が必要だ。

だからこそ、逆境でも既存の音楽業界やライブエンターテインメントの定石とは異なる手法を選択し、新しい価値を提供しようとする花譜のチームに敬意を表したい。

花譜のライブでは、衣装チェンジのための変身シーンが定番だ。

芽を伸ばし、蕾をつけ、大輪を咲かせる花のように。

あるいはサナギから繭を経て、翼を広げる蝶のように。

ステージでの変身を見るたびに、まさにこの約2年半という短期間で何度も生まれ変わってきた彼女自身を連想させる。

変わることは怖くないよ、あなたもいくらでも変われるよ。

それは今、辛い状況にあって花譜を求めているファンに対する、ひとつの証明なのかもしれない。

変化の波に揉まれ、自らとチームが成長してきた「花譜」が次にどんなライブを見せてくれるのか。2022年の「不可解参」が楽しみでならない。

 
(TEXT by Minoru Hirota

 
 
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不可解似REBUILDING
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KAMITSUBAKI STUDIO