米国VRChat社は3月5日、ソーシャルVRアプリ「VRChat」の最新オープンベータ2022.1.2 Build 1181にて、新機能群「Avatar Dynamics」を公開、これまで揺れモノの表現を実施していた「DynamicBone」に代わるオリジナルの揺れモノコンポーネント「PhysBones」をリリースした。
同機能は、約1年前となる昨年4月14日に実施した「VRChat Developer Stream」にて公開した大型アップデートに向けたロードマップにて、「夏」に実装すると予告されていたものの、現在までリリースが遅れていた(関連記事)。
日本コミュニティの間では、昨年夏に「夏を壊せ」というキャッチコピーとともに大きな話題を呼んだヨツミフレーム氏のワールド作品「PROJECT: SUMMER FLARE(プロジェクトサマーフレア)」も重なり、昨年は「夏」というキーワードが流行語と化していた(関連記事)。VRChat公式も、この流れを意識してか昨年12月末に進捗発表をした際、日本語ツイートで「いつも世界のどこかが夏である」と呟いたり、今回のオープンベータ公開に際しても「BREAK THE SUMMER」と宣言するなど、リリースが間に合っていないことを自らネタにしていたほどだ。
アバター向けの最新SDKをVRChat公式Discordの#open-beta-infoチャンネルにて配布。独自コンポーネント「PhysBones」の提供を開始した。これにより、従来のDynamicBoneに比べ大幅な負荷軽減を実現、これまで揺れモノ表現が制限されていたQuestプラットフォームを含む、全プラットフォームにて「PhysBones」が実装された。
また、「お触り機能」とも呼ばれていた「コンタクト」(Contact)を実装。これにより、アバター間の信号の送受信が可能に、他者のPhysBonesに干渉ができるようになった。筆者も早速、オープンベータを実装し、このAvatar Dynamicsを試してみた。このように触れられるだけでなく、掴んで引っ張るような挙動も可能としている。
これには、「Avatar Dynamics許可システム」を導入しており、許可設定で誰が自分のAvatar Dynamicsシステムに干渉できるかの設定が可能だ。設定は、「誰もできない」「フレンドのみ干渉可」「誰でも干渉可」に分かれ、お互いのユーザーが許可を出すことでインタラクトが可能になる。
今回のアップデートでは、従来のDynamicBonesからPhysBonesへの自動変換に対応している。方式、変数、数式などが異なるため、完全な互換性はないものの、自動変換により、改めてUnityを用いてコンポーネントの再実装を行うことなく、Avatar Dynamicsの挙動を試すことができる。
なお、本オープンベータビルドは、通常ビルドとは異なるサーバーにて実行されているため、オープンベータ利用時には通常ビルドの利用者とは合流ができない点は注意してほしい。そのほか、詳細はこちらの公式リリースノートより確認してほしい。
(TEXT by アシュトン)