大きいボディーだけど軽くて快適 PC VR「Pimax Crystal Light」体験レビュー

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「Apple Vision Pro」より先となる2018年に8K(片目4K)解像度を持つVRヘッドセットを開発、2021年には12K解像度のVRヘッドセットのプロジェクトも発表したPimax。その最新作である「Pimax Crystal Light」の体験会が5月25日に行われました。

会場となった秋葉原の富士ソフトビル・レセプションホールにはXRコンテンツメーカーやメディアの取材陣、インフルエンサーやXRヘッドセットユーザーが集い、Pimax Crystal Lightの装着感や広い視野、高解像な映像を体験していました。


有線接続のPC VR専用機だが軽い作りの「Pimax Crystal Light」

体験会に先駆けて開催された最新機種発表会では、まずPimaxの歴史から解説。2015年に創業し、2017年にKickstarterでプロジェクトが公開された「Pimax 8K」は多くの注目を集め、「史上最も成功したVRクラウドファンディングプロジェクト」としてギネス記録を更新。以後もPimax 8Kをアップデートした「Pimax 8K Plus」や「Pimax 8K X」をリリースしていきます。

新しく日本市場でも発売されるPimax Crystal Lightは、2023年に発売された「Pimax Crystal」の機能限定ライトウェイトモデル。最高120Hzのリフレッシュレート、そして片目2880×2880ピクセルの解像度を持つQLED/MiniLEDパネルを用いて35PPD(Pixels Per Degree、1度あたりの画素数)を実現。透明度が高いガラス非球面レンズを採用し、固定視点レンダリングによるクリアな描写を可能としました。

MiniLEDパネル搭載機はローカルディミング(バックライトの部分駆動)機能も搭載しており、QLEDパネル搭載機と比較して映像のダイナミックレンジが改善。黒浮きが目立たなくなり、暗いシーンは暗く、明るいシーンは明るくメリハリのある映像表示が可能となっています。

Pimax Crystalとの大きな違いは有線接続のPC VR専用機であること。そして軽さです。Pimax Crystalは845gという重量でしたが、「Pimax Crystal Light」はSoCの冷却ファン、ヒートシンク、DPエクステンションテーブル、IPDモーター、バッテリー、電力ケーブルを廃したことで-310gの軽量化を果たし、535gとなりました。

ハンドルコントローラのトラッキングはインサイドアウト方式。しかしオプションとしてLighthouse方式のトラッキングに対応するフェイスプレートも用意されます。


RTX 4060級のGPUでも美しいVR映像が楽しめる

実際に体験してみると、想像以上の軽さに驚きます。大きな筐体ですが、Pimax Crystalと比較して本体側が-250g、後頭部側が-60gの軽量化となっており、重量バランスがいい。

現時点で視野角のデータは未公開ですが、Pimax Crystalと変わらない広視野角を実現していると感じます。数値にするのであれば、fovは120~140度くらいでしょうか。

目で見たときの解像感も優れています。スクリーンドアやゴッドレイのような現象は感じられず、3D CGの仮想空間をリアルだと錯覚できるほどのクオリティがあります。特にローカルディミングの効果とレンズのクオリティの高さが生きていると感じますね。一眼カメラで高級レンズを使っているときのようなヌケの良さがなんとも気持ちが良い。

筆者が体験したときに接続されていたPCには、GPUとしてRTX 4060が使われていたことも好印象。ハイエンドなGPUでなくても6K VRは実現できるんだという手応えを感じました。

価格はQLEDパネル搭載機が11万2999円、ローカルディミング対応のMiniLEDパネル搭載機で14万3999円。MiniLEDパネル搭載・Lighthouseフェイスプレートつき・コントローラレスのモデルが14万3999円となります。6月末には日本での販売が開始する予定です。


ハイエンドモデルの「Pimax Crystal Super」も日本にやってくる

同時にハイエンドモデルの「Pimax Crystal Super」と、Pimax Crystalをワイヤレス化するオプションユニット「Crystal Airlink」が発表されました。

Pimax Crystal SuperはPimax Crystal Light同様にPC VR専用デバイスとなりますが、交換可能なディスプレイパネルとレンズシステムを用いることで、50~57といった極めて高いPPDを実現。またアイトラッキングシステムも導入しています。

価格はQLED版が29万3999円。MicroOLED版が32万5999円。両方のユニットがセットになったモデルが38万8999円となります。

Crystal Airlinkは60GHz帯のワイヤレス技術WiGigを用いたユニットで、残念ながらPimax Crystal SuperはPimax Crystal Lightには未対応。価格は4万8999円です。

Pimaxは今後、日本国内で5箇所の体験型店舗と、100箇所のタッチポイントを設置する計画があるとのこと。また世界的に見ても先端をいく、日本のVRユーザーの声を取り入れたローカライズを進めるといいます。どの量販店とタッグを組んでいくのかはまだ未定とのことでしたが、高性能でありながら購入しやすい価格帯のCrystalシリーズを体験できる場所が増えるというのは歓迎したいですね。


(TEXT by 武者良太


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Pimax(公式サイト)