ドリフトとおさらばできそう!? Diver-X、新フルトラ&汎用トラッキングシステム「ContactTrack」発表会レポート

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12月21日のVRC大交流会で、Diver-Xからアウトサイドイン方式のフルトラッキングシステム「ContactTrack」が発表されました。

ここ最近の新型フルトラッキングシステムは、手軽に扱えるインサイドアウト方式のものが多かったのですが、ContactTrackは外部カメラを必要とするアウトサイドイン方式。しかし、従来製品のネガティブな要素をことごとく払拭する機能・性能を持った意欲作のようです。発表会の様子を含めてご紹介しましょう。


光学・IMU複合式を採用したContactTrack

純粋な光学式トラッキングシステムは精度に優れ、腕を身体の後ろに回すようなポーズをとっても、現実と同じ姿勢をアバターにとらせることができる反面、赤外線を発するカメラセンサーと身体につけたトラッカーを遮るものがあると、途端に位置が計測できなくなります。

モーショントラッキング用スーツのように凹凸がない服と合わせて使うなら問題はありませんが、普通の服を着たまま装着すると、動いたときに布がひらめいてしまい、赤外線を遮りがち。また布団をかぶるなど、VR睡眠をするときにも姿勢が計測できなくなるため、全身が複雑骨折しているような姿勢となってしまうことがあります。フルトラ体験者であれば、一度のみならず何度もこのようなドリフト現象に悩まされてきたでしょう。

そこでContactTrackは、独自の光学式トラッキング機構とともに、ジャイロ・加速度センサーを含めたIMUも内蔵しています。カメラセンサーとトラッカーの間に遮るものがあり、赤外線による計測ができないときはIMUで位置や角度を計測して、正確な姿勢をバーチャル空間内のアバターに反映させる仕組みです。


VR/XRヘッドセットの位置をつかめる精度の高さ

従来のIMU式フルトラッキングシステムは、身体につけたセンサーのみ位置・角度情報を集約していました。この方式のデメリットはVR/XRヘッドセットやコントローラーの座標を、フルトラッキングシステム側で認識できないこと。VRChatなどのアプリ側でキャリブレーションする必要がありました。

ContactTrackは、他社製のトラッキングシステムと共存することを目的として開発。ContactTrack以外のトラッカーやVR/XRヘッドセットの位置も自動的に認識できるようになっています。


様々なトラッカーが開発できる汎用性の高さ

仕様さえあっていれば、どんな形状のトラッカーでも認識できる点もContactTrackの大きな特徴です。デモムービーではグラス型のデバイスが映し出されましたが、VR/XRヘッドセットを装着しなくても頭部・アイポイントの位置をトラッキングできるもののようです。

また、フレームから何やら前に飛び出しているパーツがありますね。これはきっとアイ/フェイシャルトラッカーを模した形状なのでしょう。

これは、VTuber活動を強力にサポートしてくれる神デバイスになる予感がしませんか。


トラッカー開発の民主化が期待できるハードウェア開発キット

さらにDiver-Xは、ContactTrackのトラッカー部のオープン化を目指すとのこと。指先サイズの小さな基板となるContactTrack HDK(ハードウェア開発キット)を提供し、誰でもContactTrackの仕様に準じたトラッカーデバイスが開発できる環境を整えるそうです。

ペン型トラッカー、銃型トラッカー、テニスラケット型トラッカーなどなど、ContactTrackエコシステムによって様々な用途に合わせたトラッカーが登場するのでしょう。これはトラッカー開発の民主化といっても過言ではありません。


スターターセットは5万9800円 単体販売にも対応

気になるお値段ですが、カメラセンサー2台、トラッカー2台、キャリブレーションユニット1台、接続用USBケーブル2本のスターターセットは5万9800円。カメラセンサーを固定する台や、トラッカーを身体に装着するストラップが2つずつ付属するスターターセットは6万4980円となります。

なお現在はセール中につき、固定台・ストラップなしのスターターセットが5万4800円。固定台・ストラップありのスターターセットが5万9800円で予約受付中です。単体のContactTrack Trackerは1万4700円、ContactTrack Cameraは1万8500円です。

トラッカーはContactGlove2にそのまま固定できる仕様となっており、全身だけではなく指先の表現力も追い求めたいVRパフォーマー、VRミュージシャン、VRアクターやVRファッションモデルにとっても見逃せないシステムとなりそうです。

またカメラセンサーが小さく、スマートフォン/コンデジ用の三脚類でも部屋にインストールできそうという期待も抱きました。

 
 
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