みなさんこんにちは。ドイツ・フランクフルト在住のライター、Katahoです。
昨年に引き続き、ドイツのデュッセルドルフで6月4〜5日に開催された大型アニメ・マンガ・日本ファンイベント「DoKomi」(ドコミ)に参加し、ドイツにおけるVTuberの最新事情を探ってきました。
昨年は「ホロライブEnglish」に所属するVTuber・小鳥遊キアラさんによるライブ・コンサートが大盛況だったドコミですが、今年も盛り上がってました!
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2日間のべで7万5000人が集まる欧州屈指の規模・DoKomi
ドコミといえば、欧州各国からアニメやマンガ、日本のファンが大集結する欧州屈指のイベントのひとつです。第1回の開催は2009年で、今年は開催地のデュッセルドルフに2日間の延人数で7万5000人が集まり、コロナ前の過去最多となる来場者記録を更新しました。
今年は商業エリアでもドイツ語版のアニメやマンガを翻訳・販売する現地会社も各社ブース参加していました。また、ドイツ国外からのブース参加も再開していたようです。
今年は連なるブースの中にVTuberエリアが形成!
さてここからが本題です!今年のドコミではVTuberはどうだったのでしょう?
まず、昨年会場を沸かせた小鳥遊キアラさんがカムバック。今年はさらに同じくホロライブEnglishに所属するIRySさんも参加し、ライブ・コンサート、トーク・パネル、「お話し会」を実施し、ファンを喜ばせていました。
このライブステージの様子は、Twitchのドコミ公式アカウントにより全世界に向けて終日ライブ配信されました。土曜日の配信では視聴者が全体で9万人を超え、同時接続数も6000人を超えたそうです。余談ですが、日本から視聴されていた方のなかには、スクリーンに映し出されたキャラクターを応援するカルチャーの浸透っぷりに驚かれた人もいるかもしれません。ドイツでは過去に初音ミクの公式コンサートがベルリンとケルンで開催され、ドコミの会場でも初音ミクのコンサート映像の公式上映会が過去に2回実施されています。こうしたボカロ文化の普及もドイツのVTuber人気を後押ししているのかもしれません。
そして、今年のドコミで注目すべきはブースが集まるホール3でした。なんとVTuber関連のブースが集まるエリアが形成されていたのです。
アメリカのVTuberエージェント「VShojo」のブースを始め、昨年始動したドイツのVTuberエージェント「Lightmotif」も最近デビューしたLunyさん、Monaさん、Finsteyさんの3人を積極的にアピールしていました。
ドイツのVTuber・chiemyuさんや、ドコミと関係が深いとされるFiskyさんといった個人勢のブースも盛況でした。
さて、冒頭に紹介したVTuberメディア・BEAUTVのブースでは交流テーブルを設置し、総勢11人のドイツのVTuberが入れ替わりでファンと交流していました。
「現在、ドイツでは約700人のVTuberが活動しています」
「ドイツのVTuber事情についてもっと色々知りたい!」と思い、BEAUTVを主宰するZockMikuさんに会場で話を聞きました。
──そもそも「BEAUTV」とは?
「BEAUTV」はドイツのVTuber界隈を支援する目的で1年ほど前に立ち上げられたプロジェクトです。日々のニュースや技術情報のほか、ドイツで活動するVTuberの名簿プロジェクトもの提供しているのが大きな特徴です。このVTuberリストには現在、600人以上のVTuberが登録しており、自己紹介や各種SNSのアカウント情報を知れます。
──ドイツのVTuber界隈とは?
現在、ドイツでは約700人のVTuberが活動しています。言語は基本的にドイツ語で、一部は英語も使用しています。配信プラットフォームはほぼ全員がTwitchとなり、YouTubeで配信するという純粋な意味でのVTuberはドイツではごくわずかです。最初期のVTuberが現れたのは2019年でした。2020年には徐々にグループやエージェントも結成されましたが、それらのいくつかはすでに存在していません。入れ替わりの激しい界隈ですが、ほとんどのVTuberは個人で活動しています。特徴としては基本的にアニメファンですが、イラストレーターやコスプレイヤーも多いです。
──配信内容や使用しているツールに傾向はある?
先ほども触れたように基本的に配信プラットフォームはTwitchで、ほぼ全員がSNSにTwitterを使用しています。ツールは3DであればVRoid Studio、2DはLive2Dです。2Dモデルの準備段階としてのPNG勢も若干存在します。2Dのほうが見た目がきれいだと思う人がいる一方で、3Dの柔軟性を好む人もいます。VRoidのような3Dのほうが始めやすい傾向がありますが、イラストレーターにとっては2Dのほうが簡単だったりします。2D、3Dどちらも存在しますが、より多くのファンを獲得できるかどうかは、ツールの問題ではなくキャラクターの性格などによるところが大きいです。
配信内容については、ゲーム配信が圧倒的に多いと言えますが、ゲームジャンルは非常に多岐に渡っています。お絵描き伝言ゲームの「Gartic Phone」といったパーティーゲームは、みんなで遊ぶことができるので好まれています。他には、絵を描いたり、歌ったりする配信もありますし、様々なテーマについて話すだけの人たちもいます。
──日本のVTuberの知名度は?
ドイツのVTuberで日本語が分かる人はほとんどいません。国外のVTuberとなると、VShojoやホロライブEnglishのような英語を話すVTuberが人気です。もちろん日本で最初に誕生したVTuberのキズナアイは誰でも知っています。
VTuberはネットが主な活躍の場ということもあって、概要を把握するのは難しい面もあります。今回のドコミでは、リアルイベントを通じて、VTuberの「中の人」やエージェントなどの関係者、そして多くのファンが可視化され、ライブの盛り上がりや声をかけた全員と直接話すことでリアルに熱気を感じとれました。
ドイツのVTuber界隈は、去年よりもさらに盛り上がっていました。この拡大傾向は今後も続きそうな予感がします。来年はどうなるのか非常に気になるところです。
(TEXT & PHOTO by Kataho)
●著者プロフィール
ドイツゴチョットワカル系ライター&コーディネーター。ドイツ・フランクフルト在住。ドイツのオタクイベントでの遭遇率が高い人。日独オタク文化交流がライフワーク。
●関連リンク
・DoKomi(公式サイト)
・DoKomi(Twitter)