11月19日(土)と20(日)、ホロライブ三期生の宝鐘マリンさんが出演する「宝鐘マリンVRミニライブ」が、メタバースコミュニケーションサービス「バーチャルキャスト」内の特設ステージで開催された。
手が届くほどの超至近距離で歌い、踊り、話すマリン船長に魅了され続けた幸せすぎる約30分のミニライブをスクリーンショットとともにレポートしていく。このイベントは、Quest版とSteam(PC VR)版のどちらのバーチャルキャストでも参加できたが、筆者はSteam(PC VR)版で参加した。
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ライブ会場は、海賊船の甲板の上!
10月には、同じバーチャルキャストで「宝鐘マリンVRグリーティング」を開催したマリンさん。超高倍率の抽選を勝ち抜いた幸運な「宝鐘の一味」(ファンの愛称)は、同じVR空間内にいるマリンさんと1対1で話せるという神イベントで、その模様はPANORAでも詳細なレポートが投稿されている。レポートによると、マリンさんは2日間で約140人もの一味と会い、楽しいトークを繰り広げたそうだ。
しかし、応募者全員には会えなかったことを残念に思ったマリンさんは、「望んだ人は全員が会える」イベントとして、このミニライブを計画し、運営に提案。事前に録画したライブ映像を配信するという形式ではあるが、2日間で合計14公演を開催し、多くの一味の思いに応えた。
ライブの開場時間になりバーチャルキャストを立ち上げて会場に入ると、そこは青空の下、広大な海に浮かぶ海賊船の甲板。「宝鐘マリンVRグリーティング」でも会場となっていた場所に、ステージやスピーカーが設置され、ライブイベント仕様に変貌していた。スピーカーは、高さ1mくらいはありそうな大きなものだが、ステージは10cmくらい床から高くなり絨毯を敷いてるだけの簡易的なもの。そのおかげで客席エリアとステージの精神的なハードルも低く、距離以上に近く感じられる。ちなみに、待機時間にステージへ上がれるか試してみたのだがやはり無理だった。
筆者が入室したのは、取材メディア専用のルームで定員は8名。入室する際、すでに他メディアの記者も入室していると表示されていたのだが、無料で使用可能な透明アバターに全員が着替えていたため、実質、ライブ会場を独り占めしている気分だった。
ルーム内ではボイスチャットによる他のユーザーとのコミュニケーションも可能だが、マイク音声だけボリュームを下げることも可能で、マリンさんの声だけに集中することもできる。そういった「バーチャルキャスト」の簡単な設定方法は会場内に掲示され、マイク音声のボリュームについては、船長による開演前のアナウンスでも改めて説明があった。
田中公平氏作曲の「マリン出航!!」でライブ開幕!
アナウンスの後、お馴染み海賊服姿のマリンさんがステージに登場。1曲目は、レジェンド級作曲家の田中公平さんが作編曲を担当したオリジナル曲「マリン出航!!」だ。待機中、ステージとの距離感は把握していたつもりだったが、実際にマリンさんが目の前に現れると、「思ったより近い!」という感想がまず頭に浮かんだ。身長150cmのマリンさんは、至近距離だとますます小柄に見えて可愛いらしい。
そして、長く余って揺れる萌え袖の先からは、キラキラ光るひし形のエフェクトが発生し、小さな体を大きく使ったダンスがより華やかになっている。
開演前は抜けるような青空だったが、「マリン出航!!」が始まると、周囲は嵐になり、甲板には横殴りの強い雨が降り始める。ライブ演出のため、天候まで操れるのもVRライブならでは。しかし、筆者がそのことに気づいたのは、マリンさんがMCで、「MVに嵐のシーンがあるので、それに合わせて嵐にしてもらいました」と演出の理由を説明してくれたとき。それまでは、華麗に踊るマリンさんを凝視し続けるのに夢中で、天候の変化にはまったく気づいていかなかった。
MCでは、VRミニライブ開催の経緯を語った後、残すはあと3曲と予告。マリンさんのソロでのオリジナル曲は、最初に歌った「マリン出航!!」を含めて全4曲。つまり、持ち曲を全部歌ってくれるということだ。「嵐止め~」という声に合わせて、世界が綺麗な夕焼けに染まると、バスドラムのようなリズム音が響いてくる。2021年8月に発表した2曲目のオリジナル曲「Unison」のイントロだ。
「Unison」を初めてきいたとき、リズムも音程の変化も変則過ぎて、どこでどう合わせて歌えているのかと驚きつつ、いつかライブで聴きたいと思ったのだが、まさかこんなにも近い距離で聴ける日が来るとは思っていなかった。また、MVや音源で聴いているときは、中毒性のあるキュートな曲という印象だったのだが、しなやかなダンスとともに聴く「Unison」は、可愛さだけでなく、少し艶めかしいセクシーさも感じた。
続けて披露した3曲目は、今年7月に発表された最新曲の「マリ箱」こと「I’m Your Treasure Box *あなたは マリンせんちょうを たからばこからみつけた。」。こちらは元々、妖艶なイメージの楽曲で、腰を左右に大きく振ったり、がに股で膝を広げたりするダンスもセクシー要素が盛り盛り。綺麗な高音で歌うサビでは、バレリーナのような華麗なターンを決めた後、普段のあの声で「開けろー!」と叫ぶギャップも楽しい。サービス精神旺盛で、さまざまな魅力を持っているマリンさんは、その魅力をわずかな曲数と時間の中で、これでもかと披露してくれる。
サービスタイム後「Ahoy!! 我ら宝鐘海賊団☆」でフィナーレ
続くMCは、さらに大サービスの触れあいタイム。マリンさんは手を上げて、右から順に一味の頭を撫でていく。普通のライブであれば、当然、自分の立ち位置でマリンさんが来てくれるのをおとなしく待っているのだが、これはVRライブで自分のアバターは透明。誰の迷惑にもならないシチュエーションなので、マリンさんの移動に合わせて自分も移動。ずっと頭を撫でられ続けてみた。
頭撫でが終わった後もサービスタイムは継続。「キミたちは、どのへんが見たいのかな~? たぶん、普段、見れないところとか見たいよね? 靴の裏とか(笑)」と言いながらミニスカートからスラリと伸びた足を上げてくる。まさかの行動に驚いていると、スカートを押さえながら「あ! 今、見たでしょ!」というツッコミが。危うく「そっちが見せてきたんじゃん!」と叫びそうになった。
さらに、マリンさんは、「今日はいつもと違うところがあります。気づきましたか?」と問いかけながら、萌え袖の先端をゆらゆらと揺らす。その後、話題が変わったことで、「違うところ」の正解は教えてもらえなかったのだが、このVRライブでは、萌え袖以外にも柔らかな部分がいつもの3D配信やライブ以上にゆさゆさと揺れていたのは確認できた。「バーチャルキャスト」のVR空間は、他の配信プラットフォームより重力が軽いのかもしれない。
さらに、ステージの最前で一味を踏みつけるような動きをした後、「このライブ、何回も公演されているので、『あ、今、踏まれたかった!』という人は、もうひと公演入って、ここに踏まれに来てください(笑)」と完璧な販促を実施。今回のライブはキャンセル分を若干数だけ当日券として販売していたが、もし無制限で買えていたら多くのリピーターが生まれたことだろう。
最後の曲は、マリンさんの代名詞とも言える1stオリジナル曲「Ahoy!! 我ら宝鐘海賊団☆」。青空の下、誰もが合いの手を入れたくなる楽しすぎる楽曲で、ライブはますます盛り上がり、「ミラクル船長キャノン、打てー!!!!」のセリフに合わせて、大輪の花火も打ち上げられた!
「出航!」という可愛い叫びで最後の曲を歌い終えたマリンさんは、帽子と海賊服のコートを脱ぎ、右目の眼帯も外して再登場。「頭を撫でて欲しかったの」と可愛いことを言いながら、頭を突き出してくる。
最後のMCでは、寂しそうな雰囲気を出しながらも、「VR空間で一緒にいることがすべてではない。船長たちは、配信でもどこででも一緒にいられますから」と優しい一言。そして、今後もこのようなVRグリーティングなどを続けていきたいという思いや感謝の言葉を語り、配信というホームへ「出航」していった。
自分に会いたいと願ってくれた一味の思いに応えるため、「VRグリーティング」からわずか1ヵ月強で「VRミニライブ」を実現させたマリンさん。ファンへの真摯な思いと、あふれんばかりのサービス精神は、ライブの内容からも大いに感じることができた。引き続き、VR空間でのイベントやライブの開催に積極的なことも嬉しい。今回、参加できなかった一味は、もし次の機会が実現した際には、ぜひ参加を検討して欲しいものだ。
筆者は日常的にVTuberの配信やオンラインのライブを視聴し、リアル会場でのライブなどにも参加しているが、演者との距離感の近さにおいては、VRゴーグルを装着して同じVR空間に入ることに勝る体験をしたことはない。VTuberやVSingerに推しがいて、VR空間でのライブやイベントが開催されているけれど、まだその空間に入ったことが無い人は、レンタルなどを利用してでも、ぜひ最初の一歩を踏み出してみて欲しい。ライターとしては悔しいことだが、推しと同じVR空間で過ごせることの本当の喜びは、文章やスクリーンショットだけでは絶対に伝わらない。それだけは、自信を持って断言できる。
(Text by Daisuke Marumoto)