オンラインのワールドを探索して、「8番出口」おじさんや「パルワールド」のパルと一緒に写真が撮れる。しかも本物──。
というのが、本記事で取り上げる「東京ゲームショウ Digital World 2024」(TGSDW2024、ここではTGSDWとする)の醍醐味のひとつだ。
「東京ゲームショウ2024」といえば、一般社団法人コンピュータエンターテインメント協会が主催し、9月26〜28日に開催するゲームの総合展示会だ。幕張メッセの1~11ホール、国際会議場、イベントホールを貸し切って実施するリアル会場のほか、YouTube/X/ニコニコなどで配信する公式番組、Steamでのセールや体験版の提供など、さまざまな方法でゲームの今を体感する機会を提供してくれる。
TGSDWはその企画のひとつとして、9月20日〜10月6日にオンラインで展開。入場料は無料で、専用のアプリをダウンロードして参加するという形態になる。同じネットの公式番組と異なるのは、ゲームのようにキャラクターを操作し、他のプレイヤーと一緒に話しながら特設の展示会場を回って、展示物を眺めたり、写真を撮ったり、クエストを解いたり……といった「体験」が可能だということ。
しかも対応する環境は、Windows PCや、iPhone/Android端末といったスマートフォンだけでなく、VRもサポート。このVRで参加するTGSDWががスゴいんです……!ということで、実際にVRゴーグルをかぶって体験したレポートをお届けしていきたい。
今年からVRではなく「デジタルワールド」に
TGSDW2024は、2021年のコロナ禍にスタートした「東京ゲームショウ VR」の名称変更版となる。
東京ゲームショウ VRも昨年、PCの画面やVRだけでなく、スマートフォンでの参加も可能になっていて約30万人が訪れて大盛況に終わったわけだが、名称に「VR」とついていると「VR持ってないからなぁ……」と名前だけで敬遠されてしまうケースもあったらしく、誤解されないように「Digital World」とリブランディングされることとなった。
PANORAでも初回から4年連続で取材してきており、毎年ワールドの作り込みに超気合が入っていて、TGSの期間中だけのオープンというのが本当にもったいないと感じている企画だ。
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今年のデザインコンセプトはお祭り。ワールド自体は2023年と共通しているのだが、随所に和風の装飾や花火といった演出がふんだんに盛り込まれている。単純にワールドを巡って展示物を眺めるだけでなく、クエスト要素があったり、物理&デジタルのアイテムが買えるショップも用意していたりと盛りだくさんだ。
カメラ機能の向上で撮影がより楽しく!
さて、その魅力のひとつといえば、本物のゲームデータに触れられるという点だろう。
例えば、TGSDWの会場には、ゲームに出てくるキャラクターのフィギュアがあちこちに立っている。こうしたフィギュアは、リアルのTGSの幕張メッセで展示していたとしたら、たとえ等身大でもそれはデータからのレプリカになってしまうのだが、TGSDW側のものは実装時に調整している部分はあるものの、元はゲームで使われている「本物」だ。
そうした実物に対して、ユーザーが近づいて細部を見たり、下からのぞいたり、回り込んで背中側を見たりと、VRならリアルと同じように自然に鑑賞できるのがとてもいい。そのゲームのファンなら、「このキャラのこの部分はこうなってるんだー」と発見を噛み締めながら体験できるはずだ。
しかも今回、カメラ機能がパワーアップして撮りやすくなっているのも嬉しいところだ。VRでは、左コントローラーの上にあるボタンか、メニューから「CAMERA」を選ぶなどで指示すると、空中にフレームが出現。左右いずれかのコントローラーにあるグリップボタン(中指部分)でつかんで縦や横に構えて、フレーム内にあるシャッターボタンを押して撮影できる。
フレーム上部のスライダーではズームが調節できる上、回転している矢印のボタンを押すことで自撮りモードに変更可能。三脚やタイマーの機能も用意しているので、撮影範囲を決めてからカメラを置いてみんなで記念撮影も可能だ。自宅にいながら気の合う仲間と旅行感覚でTGSDWを訪れて、「本物」と一緒に思い出として写真を撮りまくれる。しかも前述のように、1年のうちの限られた期間だけオープンして、毎年展示物が変わってしまうTGSDWなわけで、ネットの仲間との2024年を残す貴重な機会となるだろう。
ちなみにTGSDWは、一つのワールドに最大で500人入れるとのこと。さすがに数百人となるとひとつのフレームに収めるのは難しそうだが、普段のメタバースの友達と示し合わせて大人数で訪問して、撮影ツアーを組むというのも楽しそうだ。ネットで話題になっていて最近VRChatに興味を持ったという方なら、ぜひこのタイミングでVR機器を揃えてぜひVRで訪れてほしい。
TGS自体は9月26〜28日の開催だが、TGSDWは9月20日〜10月6日とプレ&アフターなタイミングも含めて実施中だ。リアル会場に行く気持ちを昂らせるために事前に見学するもよし、余韻に浸って事後で訪れるもよし。今日からオープン、しかも無料なので、この秋、注目のメタバーススポットとしてぜひ遊びに行ってほしい。
●イベント概要
・開催期間:2024年9月20日(金) 10:00 〜 10月6日(日) 24:00
・入場料:無料
・対応デバイス:Windows PC、Meta Quest 2/3、Oculus Riftシリーズ、HTC Vive Proシリーズ、Valve Index、iOS iPhone/Androidスマートフォン
*Windows PC単体でも利用可能
*一部のiPhone、Android端末は動作しない可能性あり
・入場方法:開催期間中にアプリをダウンロード
・主催:一般社団法人コンピュータエンターテインメント協会(CESA)
・共催:日経BP、電通
・後援:経済産業省
●制作・出展概要
・テクノロジーパートナー:ambr
・出展社一覧(五十音順):イマジナリーゲームスタジオ、インティ・クリエイツ、Gugenka、公益社団法人2025年日本国際博覧会協会、thatgamecompany Sky 星を紡ぐ子どもたち、Survios、スクウェア・エニックス、Top Game Creators Academy、日本ファルコム、パルワールド、ビサイド、FANY、MyDearest、room6
・協力社一覧(五十音順):カプコン、コーエーテクモゲームス、コナミデジタルエンタテインメント、セガ/アトラス、センス・オブ・ワンダー ナイト 2024(SOWN2024)、バンダイナムコエンターテインメント、ProVision
・プロモーション協賛社一覧(五十音順):Inworld、東京都・(公財)東京観光財団「HELLO! TOKYO FRIENDS」、ピクシブ、HEBEL HAUS、明治安田、レッドブル
・技術協力社:ソニー(360 Reality Audio)
・メディアパートナー:ファミ通
●基本操作
(TEXT by Minoru Hirota)
●関連リンク
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