怒涛のてぇてぇコラボにファン感涙! 「にじさんじ JAPAN TOUR 2020」名古屋公演レポート

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いちからはこの2〜3月、同社が運営するVTuber/バーチャルライバーグループ「にじさんじ」の音楽ライブ「にじさんじ JAPAN TOUR 2020 Shout in the Rainbow!」を全国5都市のライブハウス・Zeppにて開催中だ(関連ニュース)。

26日には愛知県名古屋市にて、椎名唯華(しいなゆいか)さん、郡道美玲(ぐんどうみれい)先生、鷹宮リオンさん、竜胆尊(りんどうみこと)様、ジョー・力一(りきいち)さんの5人が出演する名古屋公演を開催。いつもの1階スタンディングに加えて、今回は2階席まで追加販売で開放し、会場いっぱいに集まったファンと共に約2時間・17曲を完全燃焼した。

XR/VTuberメディアのPANORAでは、札幌福岡難波と本ツアーを取材してきたが、もちろん名古屋も現地を訪れた。他の会場に負けず劣らずの熱気だったので、早速、レポートしていこう。なお、新型コロナウィルスが原因で3月5日に開催予定だった東京公演は中止となっている。

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Zepp Nagoyaの所在地は、JR名古屋駅を南に15分ほど歩いたところ。近くには、「ナゴヤVTuberまつり」が行われた中京テレビ社屋もある。

名古屋の来場者は男性が中心。開演少し前に椎名さんの影ナレが入り、さらにオープニングムービーが流れると、観客は大きな歓声を上げていた。


ついにリアルに姿を現したRRR!

毎回同じことを書いている気がするものの、にじさんじ JAPAN TOURは各会場で色がまったく異なるのが本当に面白いところだ。

名古屋公演で目立っていたのが、にじさんじのグループ内コラボだった。具体的には、鷹宮さん、尊様、力一さんのトリオ「RRR」(りりり)、椎名さんと郡道先生のペア「しぃせん組」、椎名さんと鷹宮さんの「SiiRii」という3グループが出演していた。

その中からピックアップしたいのはRRRだ。3人ともにじさんじSEEDsの2期生出身で、鷹宮さんは第1弾力一さんと尊様は第2弾として同じ2018年8月にデビューしている。

今や「にじさんじ」といえば、新人でもデビュー配信に数万人が集まり、YouTubeの「銀の盾」がもらえる10万登録者数に数ヵ月で達することも珍しくないほど強い「箱」となっている。一方で3人がデビューした2018年当時のVTuber業界は「四天王」をはじめとする個人が目立っており、「にじさんじ」に所属しても今のようにすぐ注目されるわけではなかった。

特にSEEDsは可能性の「種」として企画されたグループだ。1期生で13人、2期生で19人とライバーの数も多く、才能があっても目立つのにひと苦労で、グループをつくって企画を仕掛けたり、「にじさんじ」の外でもコラボ配信を増やすなど、各ライバー自身が大いに努力してきた(SEEDsに関してはこちらの記事にも詳しい)。

RRRもそんな中から生まれたユニットで、2018年12月のクリスマスイブに配信した「秘密のR城」がお披露目だった。

お付きのメイドの鷹宮さん、お抱えピエロの力一さん、女王の尊様が登場し、リスナーからもらった怒りのお便りを読み上げて尊様が答えていく……というのが本来の企画だったのだが、蓋を開けてみればお酒(鷹宮さんはポーション)を飲み始めてテンションが上がり、お便りから脇道に逸れまくって4時間(!)も雑談するというものだった。

VTuberの配信というと数時間の長尺はよくあるものの、企画やゲームなどを抜きで雑談だけで4時間続くというのはそう多くない。なぜそんなに続いたのか。答えは配信を聞けば伝わると思うが、「この3人であつまるのは本当に楽しい」「笑い過ぎてほっぺたが痛い」「うわー楽しい」「RRRのときにしか見せないところがある」と本人たちが語るように、とても仲がいいのだ。

そして雑談なのに、力一さんのトーク回しが2人の個性を存分に引き出していて面白い。特に尊様のぶっ込み方がヤバく、深夜&どんどんお酒を飲んで酔ったテンションで「オ○ナインを塗ったら乳首開発できるのですか?」というお便りを読み上げて無理やり力一さんに軟膏を塗らせようとけしかけたり、鷹宮さんがスマブラをやっているときの声がエロいという話をしたりと暴走しっぱなしだった。

力一さんに言わせれば「これを見せたかった」とのこと。尊様も「もとはわらわがサバサバ喋っているのを見て、なんかマツコデラックスの『怒り新党』(マツコ&有吉の怒り新党)みたいなことをやったら面白そうと言うことを(力一さんが)言い出して、この企画につながったのじゃ」と、力一さんから持ち込まれたコラボという裏側を明かす。

当時、力一さんが濃いキャラとトークのうまさで注目を集めたり、尊様の才能も徐々に認められ始めた時期でもあった。仲間であり、実力も備えている3人それぞれに光が当たって、多くの人に知ってほしい。恐らくそんな想いもあって始まったRRRのコラボが、2019年の「にじさんじ」のブレイクを受けて追い風を受け、ファンを大きく増やしてオリジナル曲を作り、変わらぬ仲のよさのまま3人でZeppの大舞台に立つ──。

ファンとしてはライバーとユニットを1年越しで追ってきて、そんな節目を目撃できただけでも感無量だったのではないだろうか。1曲目となる「神のまにまに」で、「鷹宮リオンでーす!」「ジョー・力一です!」「竜胆尊じゃー」「3人合わせて、RRRです!」といつもの流れで名乗り、Rのポーズを取る姿を見て、「てぇてぇ」と涙目になった方も多いはず。

「飲めや歌えやドンチャン騒ぎ」「時にはみんなでバカ騒ぎ裸踊りで大笑い」という歌詞も3人のシチュエーションにあっていて気持ちを高めてくれる。「にじさんじ」ファンには関係性大好き侍が多いと思われるが、ニコニコ生放送でも「てぇてぇ」「泣いた」「エッモ」と喜びの声があふれていた。

MCパートでは、椎名さん、郡道先生も入れて「5人揃って、RRRRRです!」とポーズを取るはずが、郡道先生だけタイミングが合わずに「できてない!」と突っ込まれていた。

さらに本編ラスト前では、事前に発表していた八王子Pさん作詞・作曲の「Radical Rabid Riot」に加えて、未公開の「Your Secret Party」というオリジナル2曲を披露。Radical Rabid Riotはとにかくアツくて、間奏の「はい!はい!はい!」の合いの手が楽しい。

Your Secret Partyは、なんと力一さんが作詞で、作曲は「威風堂々」などのボカロ曲で知られる梅とらさんが担当。3人の歌声だけでなく息の合ったダンス、そして影を生かした映像演出もカッコよく、ニコニコ生放送でも「言葉を失う」「震える」と絶賛だった。

 
椎名さんと郡道先生の「しぃせん組」も負けていない。歌ったのは「magnet」と「フタリボシ」というボカロ曲で、特に「magnet」のほうが激しかった。冒頭では、

椎名「しぃせん組でさぁ、『てぇてぇ』しようやぁ」
郡道「お、いいねぇ、じゃあ『愛してるゲーム』とかしちゃう?」

郡道「椎名、愛してるよ」
椎名「ぐんみち、愛してるよ」
郡道「唯華、愛してるよ」
椎名「美玲、愛してるよ」
郡道「椎名唯華、愛してるよ」
椎名「郡道美玲、I love you」

……といきなりの寸劇を展開。途中、椎名さんが「先生って結婚せんの? 私が卒業するまでせんとってな」と振り、最後に郡道先生が「椎名、さっきのどう言う意味? 卒業するまで待ってるからねー!」と叫ぶという、女教師&女子高生の「禁断の愛」を見せる。

ただ、普段の椎名さんや郡道先生を見ているファンはよくわかっていて、ニコニコ生放送では「これは営業」「ビジネスてぇてぇ」と散々な言われようだった。同じ「にじさんじ」でてぇてぇ警察(?)の剣持刀也くんも「作られたてぇてぇを許すな」とTwitterでツッコミを入れ、郡道先生が「養殖から始まるてぇてぇもあると思わない?」と返す一幕もあり、様々なところで物議を醸していたようだ。

ちなみに選曲については、MCパートで郡道さんが「活発な曲にしようとしたら、椎名が『いや、うちらはてぇてぇだから』って。うちびっくりしまして」とmagnetに決まったという裏話を明かしている。

そんな「ビジネスてぇてぇ」疑惑だが、「フタリボシ」で重なる2人の美声と左右に美しく揺れるペンライトの海で見事に浄化していた。

椎名さんは「『ゴリスナー』のみんな、こんな適当なあたしをいつも応援してくれてありがとう」と、郡道先生は「『子豚』のみんな、たくさん愛してくれてありがとう。これからもみんなのことを全力で抱きしめていくから、負けんなよー」とそれぞれ感謝の気持ちを口にして、「やはりてぇてぇ」とファンを感動させる。最後に「今日のこと絶対に忘れないでね。しぃせん組、御用改である」と2人でポーズをとって曲を締めていた。

椎名さんと鷹宮さんの「SiiRii」は、ボカロ曲の「LUVORATORRRRRY!」を熱唱。歌もダンスも可愛く、一緒に「><」の目をする一幕もあって、曲中のほとんどで「かわいい」とニコニコ生放送のコメントをざわつかせていた。


一体感がハンパない「ファンサ」などソロパートも✌️

コラボの話だけでだいぶ長くなってしまったが、もちろんソロパートも見どころ満載だった。

筆者が最も一体感が高かったと感じたのは、鷹宮さんの「ファンサ」だ。昨年12月、3D化記念に投稿した動画でも歌っており、鷹宮さんが「好きになって!」と歌い始めると、客席が即座に「もっと!」と返すほど多くのファンが待ち望んでいた曲だった。

「もっと!」「愛のこもった投げキッスで!」「Fooo!!」など、そもそもコールがわかりやすい曲ということもあって、盛り上がりがハンパない。大歓声を前に「今日この曲がみんなの前で歌えてよかったよー!」と鷹宮さんは感謝の言葉を述べる。

一方でボカロ曲「命のユースティティア」はカッコよく歌い上げ、ニコニコ生放送で「これはキリトの彼女」「これはヒロイン」など、彼女が「ソードアート・オンライン」のキリトが好きなことをネタにしたコメントが飛び交っていた。

 
尊様は、水樹奈々さんの「DISCOTHEQUE」とアイドルマスター・如月千早の「眠り姫」という2曲で「口からCD音源」ともいうべき歌唱力を見せつける。

アップテンポとバラードという方向性が違う曲だが、「DISCOTHEQUE」では可愛さと妖艶さ、「眠り姫」では壮大さと美しさを見事に表現していたところに魅了された。ニコニコ生放送でも「さすが鬼の女王」「(酒好きなので)禁酒以外はパーフェクト」と褒め言葉が流れる。

 
力一さんのソロパートは、米米CLUBの「ア・ブラ・カダ・ブラ」、さだまさしの「道化師のソネット」で、両国のライブでも見せつけた伸びやかな美声を存分に響かせる。MCパートでは進行役を務めるなどステージで常に存在感を放っていて、まさにスポットライトを浴びるために生まれてきた道化師だと実感した。実際、力一さんはいつ撮っても様になるのです。

 
郡道先生は、さすが郡道先生だった。先生なのに1曲目がボカロ曲の「くたばれPTA」という攻めのチョイスで、開幕早々、Fワードを叫んで蹴りを放つというぶっ込み具合だ。さらに間奏では「テメェらー! カチコミいくぞー!」「『みんなー、今日はとーってもたのしかったよー』なんて言うわけねーだろ!」とドスの効いた声で客席を圧倒。2曲目は自身で作詞した和ロックなオリジナル曲「傍若美人」をかっこよく歌い上げていた。

普段、配信で歌のイメージがない郡道先生がZeppの大舞台に上がったことについて、たまたま会場にいた知り合いの先生ガチ勢・taskさんに話を聞いたところ、「歌を歌うのは好きな人ではないが、『ファンサ』の塊で、ファンが喜ぶことには常に全力、やると決めたら自分自身もとことん楽しむ人。その答えがオリジナル曲」と分析していた。「郡道さんは自称コミュ障で、イベントに出るなら気の知れたライバーが共演なら安心するはず。一緒にUSJにも行っていたリオンさんや、『推し』の力一さんたちもいたので楽しんで出演できたのでは」とも語ってくれた。

ライブ前日、ツイキャスで約束した罰ゲームでセクシーポーズも取らされていたが、これも先生のサービス精神のなせる技だろう。

 
椎名さんは、普段のキレッキレなゲーム実況とは異なり、ライブ中に「歌は苦手だったけど、このメンバーでライブができてよかったです」と語って謙遜していたが、「惑星ループ」と「うそつき」のボカロカバーを可愛く歌い上げて会場を沸かせる。写真を見ればわかるが、とにかく笑顔が可愛くて、見ているだけで幸せになれる。

ツアー定番の即興劇コーナーでは、「舞台『にじさんじ』公演で急遽役者を務める素人集団」というお題で、「霊能者」という椎名さんの能力をうまく生かして、力一さんを退治する流れに持っていく。過去4会場でいちばんきちんとした劇が成立していた回で、その見事な活躍に会場からMVPが贈られていた(なお、ニコニコ生放送のMVPは力一さんだった)。

 
語るとずいぶん長くなった怒涛の演目の最後は、やっぱり「にじさんじ」の全体曲である「Virtual to LIVE」。同じ七色でも決して同じ形にならない虹のように、参加メンバーによって歌の輝きが変わる名曲だ。

名古屋公演では、5人組ヒーローのようなシルエットで登場。ラスサビ前で鷹宮さんが「いくよ!」と号令を出すなど、かっこよさが随所に散りばめられて、「おおおおお!」と会場を沸かせる。バーチャルだけど、この感動はリアル──。観客は「同好の士」と一体となってペンライトを振り、コールを合わせて、最後まで全力で楽しんでいた。

銀テープが客席に向けて放たれ、すべてのプログラムが終わった後に、「今日はありがとうー!」「愛してるよー!」「さよならー!」「伏見ガクー、ピーッス!」とお別れの言葉(?)を口にする出演者に向けて、多くの観客が「ありがとうー!」と絶叫していたのが印象に残ったライブだった。

 
●セットリスト
M1.DISCOTHEQUE(竜胆尊)
M2.くたばれPTA(郡道美玲)
M3.LUVORATORRRRRY!(椎名唯華、鷹宮リオン)
M4.ア・ブラ・カダ・ブラ(ジョー・力一)
M5.惑星ループ(椎名唯華)
M6.命のユースティティア(鷹宮リオン)
M7.眠り姫(竜胆尊)
M8.神のまにまに(鷹宮リオン、竜胆尊、ジョー・力一)
M9.うそつき(椎名唯華)
M10.magnet(椎名唯華、郡道美玲)
M11.傍若美人(郡道美玲)
M12.ファンサ(鷹宮リオン)
M13.道化師のソネット(ジョー・力一)
M14.フタリボシ(椎名唯華、郡道美玲)
M15.Radical Rabid Riot(鷹宮リオン、竜胆尊、ジョー・力一)
M16.Your Secret Party(鷹宮リオン、竜胆尊、ジョー・力一)

*アンコール
M17.Virtual to LIVE(竜胆尊、ジョー・力一、鷹宮リオン、郡道美玲、椎名唯華)

 
(TEXT&Photos by Minoru Hirota

 
 
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