Mixalive TOKYOの「NHOT BOT」XRライブを体験 池袋・上海の同時上演、観客ステージ登壇など新要素が面白い!

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講談社を中心に運営する東京・池袋のエンタメ複合施設「Mixalive TOKYO」(ミクサライブ東京)は16日、XRライブ設備の常設を発表。9月23日から6人組の女性バーチャルアイドルグループ「NHOT BOT」(ノットボット)の音楽ライブを、10月6日からハイパー講談「講談のおそ松さん」を上演していく(ニュース記事)。

XRライブ施設が常設となるのは、Mixalive TOKYOにある4つのイベントスペースのうち地下2階にある140席の「Hall Mixa」と、6階・300席の「Theater Mixa」になる。本記事では、16日の記者発表会でお披露目したTheater MixaにおけるNHOT BOTのライブをまとめていこう。


1秒のラグで中国と日本で同時上映を実現

キャラクターのバーチャルライブというと、2010年代の初音ミクから注目を集め、2017年末〜2018年頭に爆発的に注目を集めたVTuber業界をきっかけに、今では多くのイベントが採用してきている上映方法だ。

実は池袋は、「池袋HUMAXシネマズ」や「harebutai」といったそうしたバーチャルライブを想定したイベント施設が多い土地になる(かつては「MAZARIA」「Prhythm☆StellA」などもあった)。

そうしたライバルがいる土地において、Mixalive TOKYOの特徴は、国を跨いだ多拠点展開と、リアルの人間も登壇できるシステムにある(正確には6階・Theater Mixaの設備になる)。


国を跨いだ多拠点展開は、上海にある「VAPOLLO THEATER」(ヴァポロシアター)と連携して、同じライブ内容を日中で同時上映しようという試みだ。VAPOLLO THEATERは、かつてホロライブの白上フブキさんの「Congratulations!! FUBUKI BIRTHDAY PARTY.2019」湊あくあさんの「あくあ色すーぱー☆どり~む♪」を上海側で同時上映していた劇場になる。コロナ禍でイベント自体を縮小していたものの、ようやくMixalive TOKYOをパートナーにして、以前のような多拠点での同時中継を展開できるようになったわけだ(関連記事)。

記者発表会におけるNHOT BOTのでは、グループ名と同じ代表曲「NHOT BOT」を6人で歌った後に、メンバーから神楽めあさんと雨音るなさんの2人が登場してトークパートを展開し、実は中国でも同時に上映していたことを明らかにしていた。

上海側でのライブの様子

中国側の客席後方からの映像が日本のステージ後方のスクリーンに映し出されると、メンバーの2人は「私たちがいるー!」と驚き、「上海のみなさんみえてますかー? 日本のみなさんも見えています」と両方の会場にアピール。そのコメントを受けて、中国側でペンライトを振る様子が日本側のステージでも見てとれた。

「時間差も1秒から5秒ぐらいですかね?」というMCの話では、神楽メアさんが「ん、そうですかね?」と反応し、手を振ってタイムラグを確認。筆者の体感では1秒ぐらいの遅延で同時中継していたことが見てとれた。

多拠点での同時ライブは、投影装置でキャラクターを出現させることが必須となるバーチャルタレント・アーティストなら、パブリックビューイングやサテライト中継ではなくどの会場も「本会場」となるわけだ。場所や距離の問題を解決する手段として、ぜひ注目しておきたい。


バーチャルの舞台に生身で出演できる魔法!?

もうひとつのリアルの人間も登壇できるシステムも興味深かった。

まずは顔だけ登壇のシステムについて。先ほどのトークパートにて、日本側のMCから「上海のお客さんにステージに上がっていただきましょう」と声をかけると、ステージに投影された上海料理(?)が並ぶ机のイラストの中央に生身の女性の顔が出現。上海側の女性が「めあ、るな会いたかったよー。東京のみなさんお元気ですか?」と呼びかけ、メンバー2人と会話する。

どうやってリアルの人間を出演させているのか? その答えは、日本側からもステージにリアルの人間が登場させる際、グリーンバックの顔出しパネルを使っているということが判明した。

今回の事業展開を手がけた講談社 事業開発部の松下部長がステージに姿を現し、パネルに開いた穴に顔をはめて、寿司職人のイラストの顔部分に実写が現れる。あまりにアナログな手法に会場からクスリと笑いがあがったが、これはこれでコロンブスの卵的なスマートなやり方だろう。

さらにリアルの人間を出す方法は、もうひとつ「ARボックス」もお披露目した。これもステージ脇の特定位置に立つと、その様子を丸ごと長辺2mほどの4K透過スクリーンを備えた箱に映し出すというシステムだ。これにより、日本側の松下部長をステージ前に置かれたARボックスに出すだけでなく、中国側のARボックスにも登場させていた。リアルの人間でも多拠点登場できるというわけだ。

日本側でリアルタイム撮影している様子とARボックス
中国側のARボックス

 
そんなバーチャルタレントにおけるライブの可能性を広げる仕組みをいろいろと用意したMixalive TOKYO。個人的にはキャラクターを投影する手前の射幕がもう少しシャープだといいかもと感じたが、機材の搬入コストなどを考えるとこのお手軽さはイベント主催にとって魅力だろう。ステージも広めなので、あえてディラッドスクリーンなどをフロント/リアの間に持ち込んで、3層で映像演出を考えることもできるかもしれない。

そうしたVTuberのライブイベントを検討している方々は、23日に上演するNHOT BOT初となるファンミーティング「NHOT BOT LIVE 〜First Fan Meeting〜」をチェックして、劇場のポテンシャルを考えてみてはいかがだろう。

また、実はNHOT BOTは1年という期限付きのプロジェクトだ。経験豊富な人気VTuber3人と、このプロジェクトでデビューした新人3人がどういう展開を見せて終わるのか。そうした点でもVTuberファンは、劇場も含めてぜひ「今」を見ておいてほしい。

(TEXT by Minoru Hirota

*発表元の訂正に合わせ、「講談のおそ松さん」の開始日を改めました。


●関連リンク
Mixalive TOKYO
VAPOLLO THEATER
NHOT BOT